ニュースレター No.197 2016年1月17日発行 (発行部数:1390部) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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このレターは、「持続可能な森林経営のための勉強部屋」というHPの改訂にそっておおむね月に一回作成しています。 情報提供して いただいた方、配信の希望を寄せられた方、読んでいただきたいとこちら考えて いる方に配信してます。御意見をいただければ幸いです。一般社団法人 持続可能森林なフォーラム 藤原 |
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フロントページ:「新国立競技場」の木材利用。ロンドンに学びそれを超えて世界に何を発信するのか?(2016/1/17)
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12月22日、2020年東京五輪・パラリンピックの主会場となる新国立競技場が、「木と緑のスタジアム」を主なコンセプトにしたA案(大成建設・梓設計・隈研吾建築都市設計事務所共同企業体)となることが公表されました。 (木と緑のスタジアムの中の木材) 「日本の伝統的な木構造を現代の技術で甦らせ、世界に向けて発信します」技術提案書新国立競技場整備事業提案書ー日本らしさに配慮した計画2/3)としているように、観客席の上部の大屋根が鉄筋と集成材の混構造になっており、下部のスギとカラマツの集成材が観客を包むようにデザインされているところが、「木と緑のスタジアム」のデザイン上のポイントになっています。(提案書施設計画の概要1/3) 「新国立競技場の整備計画」(8/28)第4回新国立競技場整備計画再検討のための関係閣僚会議 「木材を使った大規模建築」の新国立競技場(!)ができるのですが、もともと、「技術提案を求める課題、審査方法等について」(新国立競技場整備事業の技術提案等審査委員会)の中で、加点要素として「日本らしさを考慮した計画(日本の気候、風土、伝統をふまえた木材の利用の方策)」と記載されており、その背景には公共建築物の木材利用促進法があります。また、公募の過程で、日本建築士会連合会の新国立競技場における「木造の屋根架構に向けた提言」(2015/8)、政府内での2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会における 木材利用等に関するワーキングチーム(2015/10)」、などの動きがそのあとを押したことでしょう。 (ロンドンオリンピック・パラリンピックの伝説から学ぶ) オリンピック施設の木材調達では、森林認証材の普及がはかられ、ロンドン大会2012では木材使用料中の認証木材割合約95~100%で建設されたといわれています。特にロンドンで注目されたのは、FSCとPEFCの二つの国際潮流の森林認証システムが合同して取り組みを進めたことです。 オリンピックサステイナブルサプライチェーン(FSCジャパン事務局) ロンドン大会では、自転車競技のトラックに使われるロシアのシベリアマツから、外壁に使われる南米のルーロベメッロ(Louro- Red )に至るまで、世界中の木材を利用するため、持続可能なサプライチェーン管理を怠ると決定的な批判に直面するリスクがあった」(Learneng Legacy)とされています。 東京大会でのその流れをどのように引き継のかが、課題のひとつであることはまちがいないでしょう。。 林野庁が森林認証取得を支援 (ロンドンを超えて何を発信するのか?) 東京大会の新国立会議場は、「国産材で和のおもてなし」ということなので少し心配なことがあります。、「こんなことをできるのが日本ですよ(ほかにはないからまた来てね)」、というのでなく、「こんなことをしましょうね」、という世界への発信(ロンドン大会の神髄)、なにができるかです。 その一つが前述の木材の持続可能な管理に関する情報提供ですが、その他に今回のプロジェクトでロンドンでできなかった、二つの情報発信があると思います。 (ローカルウッドとしての国産材) ロンドンでできなかった重要な点の一つは、国立競技場で使われる木材が国産材であるということです。ただ、「日本でやるのだから、日本産の木材で建てたのだ」、というのでは、なんの発信力もありません。大切なことは国境の中と外という意味での国産ではなく、プロジェクトに近いローカルウッドであり、産地が明確で、環境に優しい、ということです。 日本では、国産材マーク、都道府県産材認証制度、木材表示推進協議会、ウッドマイルズフォーラムなど様々な産地認定の仕組みが提案されてきました。日本ではここからここまでは、北海道産のカラマツ、そちらは信州のカラマツ、九州のスギ、東北のスギ、福島のスギ、そんなスキームができると、この会場の木材の意味をグローバルに発信することができるでしょう。また、この施設がその後使われるときにも、地方との連携が広がると思います。 ローカルウッドの環境貢献は、各国の緑の建築基準でも記述されています(米国の緑の建築基準最新版)。それを踏まえて、地球環境の視点から、地域材ローカルウッドでできた国立競技場がアピールしてもらえないか、と思います。 (みんなでウッドファースト社会を) また、もう一つは「木材を優先して使っていく」ウッドファーストというコンセプト(「ウッドファースト社会」の実現」に向けた行動宣言について)。 バンクーバー冬季大会ではこのコンセプトがありましたが、ロンドン大会では残念ながら、「木材を使うなら森林認証材」でした。 東京大会では、世界の人に、公共建築物の木材利用促進法の役割、木材に固定された二酸化炭素の量、ローカルな資材を使うことの環境評価、トレーサビリティのシステム、大規模建築物での木材利用の技術開発、などなど、来るべき循環社会の主役である木材を建築物につかっていくことを大切さと、その手段が、しっかり発信されることを期待します。 junkan3-4<shinkokuritu> |
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気候変動枠組み条約COP21パリ協定と森林(2016/1/17)
昨年11 月30 日(月曜日)から12 月13 日(日曜日)まで、パリで「気候変動枠組条約 第21 回 締約国会議(COP21)」、「京都議定書 第11回 締約国会合(CMP11)」等が開催され、「京都議定書」以降の温室効果ガス排出削減等のための新たな枠組みである「パリ協定」が採択されました。 ADOPTION OF THE PARIS AGREEMENT(公式サイトUNFCCC) 「史上初めて、196カ国・地域が温室効果ガスの削減に参加する枠組みが誕生」と評価される、バリ協定の中での、森林の位置づけについえ、みていくこととします。 (協定第4条)排出削減・緩和 排出削減の中身を規定したパリ協定の核心となる第4条は、排出量削減等について過去の経緯を踏まえ、(INDC(約束草案)とは?:国際社会は温室効果ガス排出削減目標の設定について何を学んできたか)、各国が自主的に削減目標と行動(貢献)INDCを提出し、それに対する国内措置をとる(パラ2)、それを5年ごとに見直すこと(パラ9)です。 日本の貢献は、7月に約束原案(官邸地球温暖化対策本部)、として提出したもので、条約事務局のサイトにもつるされています→Submission of Japan’s Intended Nationally Determined Contribution この約束草案の中身と、森林の吸収量、木質バイオマスの関係については、このサイトでも、原案が提示された時点で、検討しました。「2020年以降の温室効果ガス削減に向けた我が国の約束草案(政府原案)の中における森林の関連部分」 今回の「貢献」森林の吸収量(2013年年の排出量基準で2%分の貢献)とともに、木質バイオマス起源のエネルギーは、未利用間伐、一般木材とも2030年に、13年の8倍にすることが想定されています。これをどう達成するか、重要なテーマとなります。 (協定第5条)吸収源および貯蔵庫 協定本文で森林という言葉がでてくる唯一の条文が、第5条です。 二つのパラグラフの短い条文なので、全訳しておきます。
パラ1は、森林の吸収源(だけでなく海や自然資源全体の吸収源)および貯蔵庫の機能の重要性とその保全強化を「すべき」との大切な条項です。前条の貢献を内容とも関係してきます。 2パラは、条約の文章に特有の悪文で、分かりにくいですね。交渉に参加している当事者は、文章を構成するそれぞれの部分が、誰の指摘でどういういきさつで入ったかがわかるので、納得できるのですが、初めて見る人は、こんな長い文章が一つの文章になっているのは、信じられないですね。森林分野の方がだれでも関心のあるREDDプラス(「途上国の森林減少・劣化に由来する排出の削減」(ここまでがREDD)および「森林炭素ストックの保全及び持続可能な森林経営ならびに森林炭素ストックの向上」(この部分がプラス)、であわせてREDDプラス)に関する条文で、「条約に基づく関連する指針及び決定に規定する既存の枠組みを実施及び支援するための措置をとることが奨励される」としています。 以下のサイトに掲載されています COP13からCOP19までの12の文書は以下からダウンロードできますhttp://unfccc.int/land_use_and_climate_change/lulucf/items/6917.php 3つのCOP21決定はそれぞれ以下からダウンロードできます kokukusai2-55(unfccccop21) |
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ニュースレターバックナンバーページのデザイン改訂
勉強部屋のニュースレターバックナンバーページは1999年の初回以降ニュースレターにアクセスできるようにしていましが、今回、デザインを変えて、以下のようにフロントページのタイトルがすべて一覧できるようにしました。 200号の歴史が一覧できます。どうぞお暇なときにお立ち寄りください。ニュースレターバックナンバー新しいページ 2015年
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以下略以下はこちらのページから newsletter<nesletter_new> |
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電力の小売営業に関する指針」(案)に関する意見(2016/1/8)
4月1日、第2弾の改正電気事業法が施行され、電気の小売業への参入が、低圧部門を含めて全面自由化されることとなりました。 それに伴い、「様々な事業者が電気事業に参入することを踏まえ、需要家が安心して電気の供給を受けられるようにする」などのための指針を作成することとし、その過程で意見募集がされていました。 「電力の小売営業に関する指針」(案)に関する意見の募集について当サイトとしても、原発依存度をひき下げ、需用者に木質バイオマス発電の理解を深めてもらうため、電源構成の開示を徹底する趣旨で、意見を提出しました。
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