ニュースレター No.163 2013年3月24日発行 (発行部数:1170部) | |||||||||||||||
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このレターは、「持続可能な森林経営のための勉強部屋」というHPの改訂にそっておおむね月に一回作成しています。 情報提供して いただいた方、配信の希望を寄せられた方、読んでいただきたいとこちら考えて いる方に配信しています。御意見をいただければ幸いです。藤原 |
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フロントページ:地域材の可能性ー木材利用拡大京都大会から(2013/2/24)
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ウッドマイルズ研究会が主催者の一人となった第一回森林林業京都大会が3月5日開催されたので、出席してきました。 京都モデルフォレスト運動、京都府産木材:ウッドマイレージCO2認証制度,、京都府立林業大学校の設立と話題の豊富な京都府の森林林業行政ですが、その関係者が一堂に会する初のイベントです。 午前中の全体会議と、午後の三つの分野別会議(モデルフォレスト推進大会、森林林業活性化大会、木材利用促進大会)からなる大きな大会ですが、木材利用促進大会に出席しました。
東京港区の早藤さんのみなとモデルの最近の動向や三澤さんの大規模木造建築の紹介、京都府産材の品質規格の導入などどれもホットで充実した内容でした。これらについては、別途ご紹介します。 わたくしも「京都を出発点としたウッドマイルズによる地域材連係の可能性」という報告をさせてもらいました。以下概要説明。 (木材利用ポイントのポイント、「地域材」) 木材利用拡大といえば、公共建築物等の木材利用促進法に続いて木材利用ポイントが予算制度として登場しています。 先行する住宅エコポイント、家電エコポイント制度が示すのは… 住宅エコポでは、省エネ基準にあった住宅、断熱改修、バリアフリー改修、太陽熱利用、節水型トイレ。家電では、一定の統一省エネラベル以上の省エネ家電製品、地上デジタル放送対応テレビの普及・・・ 木材利用ポイントが何を普及しようとしているかというと、「地域材」ということになります。
(地域材の中心となる都道府県産材) 地域材の第一番目にあげられているのが、都道府県産材。 近畿地方でも、各府県で図のような都道府県産材の制度化がされています。 都道府県産材の認証制度は全国で34。 都道府県の木材住宅支援予算と連携で拡大してきました。 都道府県産材利用促進施策は、木材利用の課題を各都道府県の建築行政も巻き込み広げてきた重要な意義があります。 (都道府県産材の問題点と課題) 前述の木材建材ウィークリーはビジネスの視点から、厳しく問題点を指摘しています。(こちら 「構造用合板、同集成材、内装用圧縮木材などを要求された場合加工施設がない地域がある。都道府県の行政区分での施策が広域供給を阻害となっている」との指摘です。 木材流通からみると、都道府県の行政区界は狭すぎる。 予算を自県産材に使うという考えを転換するのは大きなハードルがあることは確かです。木材利用ポイントはその機会でしょう。 地道府県産材・地域材を環境的側面で問い直し、ブロック単位の連携、隣接県との連携などが必要です。 地道府県産材・地域材を環境的側面で見直すためのツール提供する、京都府産材木材認証制度(ウッドマイレージCO2認証制度)。京都議定書の生まれた地から、グローバルな視点で地域材の運動が発展することを期待します。 (地域産材のグローバルな意義) ところで、国産材に比べて地域材というコンセプトをしっかり固まっていないことは間違えないこと。 その一助にするために、海外の地域材について、紹介しました。 米国のグリーン建築基準の中の地域材です。 米国の建築関係者が自主的に運用しているLEEDという基準。8つのカテゴリの Materials and Resources kokunai10-3(kyoto2013) |
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みなとモデル二酸化炭素固定認証制度、近況(2013/3/24) 第一回森林林業京都会議、木材利用拡大大会の基調報告は「みなとモデル二酸化炭素固定認証制度による国産材利用促進」。東京都港区の早藤係長に久しぶりにお会いしました。
木材が二酸化炭素(CO2)を固定する機能を持つことに着目し、港区内の建築物に国産材の利用を促進する制度。 建築確認の過程で行って規模以上の建築物に木材利用を要請し、 国産材の利用量に相当するCO2固定量を認証するもので、 伐採後の再植林を保証する自治体間協定を基礎とするのが特徴です。 国の公共建築物等利用促進法に基づく東京都の方針が「東京都公共建築物等における多摩産材利用推進方針」という名称になったように、木材利用施策がどうしても山側主導になりがちなところが(残念です)、みなとモデルは消費地主導の木材利用のモデルは素晴らしいです。 なんで多摩産材でないのかとだいぶ圧力があったとか 港区に大規模ビルを建てる人が木材の利用を区から要請されると、設計者は最初「茶室でもつくらなければならないのか」と、戸惑うそうですが、内装用の木材製品が次々と、「みなとモデル対応製品」として開発されてきていているのを紹介すると、「これなら施主を説得できる」と納得してくれると、いわれていました。 27の施設が国産木材使用計画書を提出(内竣工したのは右の港区立プラザ明神1件)、港区に持続可能な木材供給を約束した協定自治体は、63になっているそうです。 都市地域における木材利用の最先端が、今後建築される港区内のビルで見られることになりそうです。 みなとモデルが東京モデル、日本モデルに進化していくことを期待します。 kokunai4-45<minatomodelinkyoto> |
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京都府の第一回森林林業京都会議の報告の一つは、三澤文子さんの「地域の木材を活用した木造建築の推進−長野・北沢建築工場での取り組み−」でした。 伊那谷で「信州の良質な木材を使い、地域の住まいづくりに用いられる素材を使い、先人達の知恵に学びながら、地域風土を知り、材を知り、木組みがわかる匠の技術でこの地ならではの住まいづくり」をしている北沢建築の工場。 フォークリフトが行きかう18メートル広い空間を「地元の木で普通の材」で、というのがポイントです。大規模建築物のコスト問題に切り込む重要な提案で、東大の稲山先生が構造設計を担当しています。(国産材活用と木構造、パッシブ住宅建築シンポジウム2001特別講演) 今回の建築物は500m2未満で、建築確認で構造設計が簡易でよい4号特例、だそうですが、4号特例にした理由は、構造設計書を提出するとJAS材でなければ確認できないという部分が出てきて、ここがいまの建築基準の一番の問題、といわれていました。 複雑な構造計算をするので、設計者側が一本一本含水率と強度(ヤング率)を測定しているのだそうです。それでも、500m2以上になると、JAS材が要求される。 ヤング率を図る過程は、その材の履歴やウッドマイルズなど、設計者が木と係る過程で、その中で設計者が木造についてのイメージを膨らせていくのだそうです。 もちろん単なる品質の良い安い構造部材の選択肢の一つとして木材が使われる場合、JASなどの品質基準つきの部材の意味は大きいけれど、設計者が木材の一本一本にこだわって仕事をする場合はJASを要求する建築基準は大きな問題といわれてていました。 三澤さんが担当した意匠設計がもう一つのポイントです。トヨタのレクサスのキャンペーン用のHPに掲載されています。
ますますの活躍を期待します。 kokunai4-46<kitazawamisawa> |
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2年前欧州議会が定めたEU木材規則が3月3日に施行されました。プレスリリース EUに木材製品を輸出する会社は、EUとの協定(FLEGT-Voluntary Partnership Agreement)が結ばれている国(現時点で6か国アジアではインドネシアのみ、マレーシア、ベトナム交渉中)からの輸入を除き、一定の注意義務(DDSデューデリジェンスシステム=@製品樹種、伐採地域、合法性を示す文書、A伐採国の違法伐採の規模頻度などに関する情報、Bリスク軽減のための措置からなる)が要求され、違反した場合は罰則が科せられることになります。 駐日欧州連合代表部の公式ウェブマガジンにいよる公式な日本語の解説
EUの木材規格に関するHP(英語版) 新しい欧州木材規格に関する事業者向けのHP(英語版、各国語もあり(日本語はない))
左の図にあるように、DDSの義務が除外されるのはVPA締結国からの輸入のほかにワシントン条約の輸出許可品目がEU木材規格に記載されています。 さらにFSC、PEFCといった第三者の森林認証による製品の取り扱いを除外するように折衝が行われているようですが、現時点ではまだ決着がついていないようです。 日本の林野庁ガイドラインによる合法性証明などがどのように取り扱われるのでなども、今後の課題でしょうか。 boueki4-49(USTR201303) |
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