ニュースレター No.140 2011年4月30日発行 (発行部数:1224部) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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このレターは、「持続可能な森林経営のための勉強部屋」というHPの改訂にそっておおむね月に一回作成しています。 情報提供して いただいた方、配信の希望を寄せられた方、読んでいただきたいとこちら考えて いる方に配信しています。御意見をいただければ幸いです。藤原 |
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フロントページ:木材調達チェックブックたたき台:ウッドマイルズ研究会編(2011/4/30)
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木材の輸送距離の見える化についての環境指標を提起してきたウッドマイルズ研究会が「木材調達ハンドブック」の暫定版を公表しました。(こちら) 研究会の中心メンバーである建築関係者の「木材にまつわる様々な環境指標と品質指標を現場で利用するためのわかりやすい解説書がほしい」という問題意識が、すばらしい行動力で実を結んだものです。 1産地(森林の持続可能性)、2流通(流通経路の透明性・信頼性)、3省エネルギー(木材生産の環境負荷削減)、4基本的な品質(木材の強度・乾燥)、5長寿命(木材の長期利用)という5つのモノサシが設けられています。 5つのモノサシを既往の18指標(下表)を用いた評価手法のいずれかの手法を用いて評価を行い、Aランク(とても優れたレベル)、Bランク(一般よりも優れたレベル)、Cランク(基本的に達成すべきレベル)、Dランク(改善を検討すべきレベル)、Eランク(すぐに改善すべきレベル)という5つのランクのどこに該当するのかをチェックすることで、現状の木材調達のランクを評価できるようになってます。
森林認証からJASまで世の中に出ている木材の性能を表示する仕組みを網羅して、それを大胆な手法で一刀両断に料理しているので、いろいろご意見はあると思いますが、たたき台になることは間違えありません。 興味のある方はウッドマイルズ研究会HPからダウンロードの上、ご一報して頂けるとありがたいです。(→ウッドマイルズ研究会)
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公表された木材・木材製品のカーボンフットプリント算定基準(PCR)(2011/3/27) 商品の原料調達製造使用などの過程の温室効果ガスを表示するカーボンフットプリントの算定ルールが商品ごとに公表されてきていますが、3月下旬に木材に関するPCRが二つ公表されました。(こちらCFP事務局認定PCR一覧のページ)
私も木材・木質材料(PA-CC-01)の策定過程に関わりましたが、木材学会を母体にしたNOP才の木が農工大の服部先生を中心に業界関係者の意見を聞きながら原案を作成し、昨年9月に認定申請し1月に第9 回PCR 認定委員会で認定され公表されたものです。 すべての産業横並びの「商品種別算定基準(PCR:Product Category Rule)策定基準」など(CFP関連規程一覧参照)に応じながら、多様な木材産業の現場に適用できるよう、できるだけわかりやすく、という大変な苦労をしてできた成果品です。 だだし、いろんな製品のを一つのマニュアルで記載しているのではっきりいってわかりづらいです。 製材業者(A製材所)が自らの製品に正規のカーボンフットプリントを明示しようとする場合を例にとって、木材・木質材料の算定基準をみてみましょう。 (全体概要) どの製品も同じですが、カーボンフットプリントは原料調達過程、製造過程、流通過程、資料・維持管理過程、廃棄リサイクル過程の5つに分けて計算しますが、製材の場合は以下の通りです。
一次データとは「算定する事業者が自らの責任で収集するもの」(策定基準)、二次データは「自ら収集することが困難で共通データや文献データ、LCAの実施例から引用するデータのみによって収集されるもの」(同)とされています。 A製材所が自社のデータを一次データとして集めなければならないのは製材、乾燥の過程だということがわかりますが、他の過程についても共通データ(別表に記載されてある)を使うために若干の準備が必要となります。 (つづく)kokunai4-27<PCRmokuzai> |
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国際セミナー「持続可能な森林経営の挑戦」の結果制度の内容(2011/4/30)
3月8日9日標記セミナーが林野庁の主催により開催されました。 失速気味の持続可能な森林経営の国際的な制度化へのとり組みですが、国際森林年ということで日本で最前線の情報が提供される貴重な機会でした。林野庁のHPより内容を紹介します。
ちょうど国会審議中の日本の森林法改正の動向がこの中でどう位置づけられるのか?ということは興味深い論点だったはずですが、その点が見えなくて少し残念でした。 chikyu1-20<2011SFMsemi> |
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書評 島本美保子著森林の持続可能性と国際貿易(2011/4/30) 林業経済研究所の林業経済誌No.750 20114月号に標記小論が掲載されました。 書評の対象としたのは、法政大学社会学部教授の島本美保子氏が昨年出版された「森林の持続可能性と国際貿易」(岩波書店) 「持続可能な森林管理のために林産物の輸入国と輸出国の両者で合意の上で林産物貿易に関税をかけ、それを財源に持続可能な森林管理のための施策を進めるべきである」というのが筆者の主張です。 林産物貿易の自由化への批判は、NGOや業界関係者など様々な形で議論されることは多いけれど、政策の現場にいた感覚では、霞ヶ関の中では「貿易自由化の方向は決まっており、その中で、どのように時間をかけてソフトランディングをしていくのか、というのが知恵の出しどころ」というのが正直なところです。 そういった風潮への批判は小HPの問題意識でもありますが、今回、出版された「森林の持続可能性と国際貿易」(岩波書店)は、そのような現状に真っ向から挑戦するものとして、経済政策論の基本を踏まえて、持続可能な森林経営を実現する上での国境措置の位置づけを積極的に提示されたものです。 本書の前段部分を中心とした論文が国際学会誌に投稿され国際機関のメーリングリストを通じて反響をよんでいるのは小HPでも紹介しました。(エコロジカルエコノミクス島本論文の国際的な反響) 本書を基にした議論が学術分野の方々はもちろん、国や地方自治体で政策分野に携わる方々の間で大いに広がることを期待し、内容の紹介しました。 また、本書の論点は、国際的な林業政策の形成や持続可能な森林管理の現状への批判にもなっていて、重たいものです。 書評全文をこちらのskydriveにおきます。ご興味のある方はダウンロードしてください。 boueki1-10(simamotobon) |
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