ニュースレター No.097 2007年9月16日発行 (発行部数:1350部) | |||||||||||
|
|||||||||||
このレターは、「持続可能な森林経営のための勉強部屋」というHPの改訂にそっておおむね月に一回作成しています。 情報提供して いただいた方、配信の希望を寄せられた方、読んでいただきたいとこちら考えて いる方に配信しています。御意見をいただければ幸いです。 |
|||||||||||
|
|||||||||||
|
|||||||||||
フロントページ:シドニーAPEC首脳宣言と森林問題(2007/9/16)
|
|||||||||||
原文(APEC公式サイト) 和文仮訳(外務省HP) 林野庁プレスリリース 京都議定書の削減義務を負わない米国・中国という二大温室効果ガス排出国が顔をそろえ、また、同じく議定書に参画していないオーストラリアがホストするという今回の会合で、ポスト京都議定書の議論は重要な意味を持つものでしたが、その議論を集約した宣言をみると、あらためて、その枠組みの中での森林の取扱の重要性が再認識されるものでした。 この宣言は、京都議定書第一約束期間が切れる2013年以降の将来の国際行動に関し、@包括性、A差異のある国内事情及び能力の尊重、B柔軟性、C低排出・ゼロ排出エネルギー源及び技術の重要な役割、D森林と土地利用の重要性、F開かれた貿易と投資の促進、G実効性のある適応戦略への支援、の8つの原則が「取り決めの基礎とならなければならない」としています。 そして、宣言の中の「APECの行動アジェンダ」の森林に関する部分は以下の通りです。
最も重要な事項は森林面積の増加を目標とする、第一の部分です。80年代の初頭に熱帯林の急激な減少というデータが提示され、地球の森林面積が減り続けているという問題意識を世界中の人が持ち始めてから四半世紀が過ぎたわけですが、途上国も含めた一定の地域の森林面積を増加させるということを含んだ国際的な合意が発表されたのははじめてのことだと思います。 その背景には近年当該地域の森林面積の推移があります。 FAOの行った2005年世界資源調査(GFRA2005)によると、域内の森林面積は2000年から2005年にかけて年間1.5百万ヘクタールほど増加に転じているとされています。(こちらにエクセルファイル) 中国で4百万ヘクタールの増加が、インドネシアの2百万ヘクタール弱の減少を相殺しています。 いずれにしても、この傾向を今後維持して行くには、各国の森林転用についての規制と、可能な地域での造林の推進という懸命な努力が必要でしょう。 「目標を達成するために作業することに」合意したそうですが、大変注目されることです。 chikyu1-14<APEC07> |
|||||||||||
|
|||||||||||
「どうする・どうしたい日本の森林・林業」(2007/9/16) 小サイトでも何回かご紹介したユニークな会員制寄稿誌「日本の森林を考える」のシリーズ8続森林の資源林業の再生を求めて(4)の最新号が「どうする・どうしたい日本の森林林業(私の率直な意見)」という特別企画を載せています。 目次は以下の通りです
私も小論を投稿させてもらいました。 エコマーク、CASBEEなど環境にこだわる調達サイドが、「持続可能な森林から生産された木材」の調達に意欲を示しているのに、供給側が対応し仕切れていない、という思いからです。 掲載して頂いた小論をこちらにおきます(pdfファイル) 一般書店では売っていないので購入にはこちらから手続きがいります。 kokunai6-11<dousuru> |
|||||||||||
|
|||||||||||
CASBEEすまい戸建<暫定版>によせて(その2)2007/9/16 承前 2 地域の山林から産出される木材資源の活用 建築物の環境負荷をわかりやすく表示することを目的として建築環境省エネルギー機構が開発している建築物総合環境性能評価システムCASBEEが戸建て住宅版を作成中で7月19日暫定版の中の木材に関係ある事項を前回から検討しています。今回は、そのうち「地域の山林から産出される木材資源の活用」の項目はについてとりあげます。 前回示したように、CASBEEでは、6の環境因子を分子側Q(建築物の環境品質・性能)と分母側L(建築物の外部環境負荷)に分類し、ΣQ/ΣLを住まいの環境性能効率とするという提示をしていますが、今回の暫定版では、「持続可能な森林から産出された木材」が分母となる「建築物の外部環境負荷」のカテゴリーで評価されることになっているのに対して、「地域の山林から産出される木材資源の活用」は分子となる「建築物の環境品質・性能」のカテゴリーの中の「Q3 まちなみ・生態系を豊かにする」「4地域の資源の活用と住文化の継承」という項目に位置づけられています。 これは、米国のLEEDが輸送中の環境負荷などに着目して「地域資源の利用」をどちらかというと外部環境負荷のカテゴリーで取り扱っている(小サイト内関連ページ)と違ったユニークな点でです。前年に公開された試行版では外部環境負荷の項目に位置づけられていたのを変更していることもあり、わかりづらい点でもあります。 さて、「4地域の資源の活用と住文化の継承」という評価項目には、地域で産出される木材資源の活用について、@「住宅の構造躯体に、地域の山林から産出される木材資材を積極的に活用している」、A「住宅の内外装材・外構資材に、積極的に地域の山林から産出される木材資材を積極的に活用している」の2つの推奨項目がありがあり、どれかに取り組んでいればレベル4、2つとも取り組んでいればレベル5の評価になるという取扱になっています。 そして、地域で産出される木材資源の定義について、解説には以下の記述があります48ページ
CASBEEが今回の戸建て住宅版以前に大規模建築物の新築を評価するために作った最初のバージョンの中で地場産材という概念を取り入れていますが、そのころから地場産材の定義に四苦八苦していました。当初の版では「どこまでを地場の範囲に含めるかは判断が難しところである。各自治体などで地場産の利用促進に対する取組を行っている場合はその定義に従うこととする」(2003年7月CASBEEマニュアル1 P89)としていました。「都道府県とそれに接する都道府県を範囲とする」という記述はウッドマイルズ研究会の意見の一部を採用したものです。 同研究会のサイトの以下のページを参照下さい ウッドマイルズ研究会研究ノート「地場産材の定義を考える」滝口泰弘 06年11月30日 「CASBEEすまい(戸建)<暫定版>評価マニュアルの修正意見について」07年8月2日 そのうち、地場産材の定義については以下の通りです
今後とも議論を発展すべき部分です。 kokunai3-32<CASSBEEzen2> |
|||||||||||
|
|||||||||||
|
|||||||||||
■いいねボタン
|