米国の建築基準の中の「輸送過程の環境負荷基準」改訂(2004/12/12)
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12月3日から、米国の緑の建築基準(LEED)が基準の改定に向けてパブリックコメントの募集をしています

LEEDは既報の通り、一定距離以内で作られ、加工・製造・収穫された建築資材を「輸送過程での負荷を減らし、地域経済の活性化に資する」として推奨しています。

今回の改定案のその部分についての新旧対照表が下表です。(関連部分テキスト英文pdf

第一の変更点は、「意図」の中に、今まで、@「輸送過程の環境負荷を減らす」こととともに、A「地域の活性化」というコンセプトが入っていたのですが、改定案には、@はそのままにしたままで、Aは「土地に固有の(indigenous)な資源利用の推進」という記述に変更されました。この辺の議論は大変興味深いところです。「地域の活性化」と「環境」の関係を論理的に説明するのかが結構難しかったのではないかと思います。

第二の変更点は、鉄道と船舶輸送に得点を与えようという、「モーダルシフト」の考え方を取り入れた点です。この点は日本のウッドマイルズ研究会が輸送手段ごとに環境負荷を指標化していることと相通ずるところです。

以上の二点は、「地域材の利用」を環境という観点からとらえる場合の問題点の明確化という意味で分かりやすい変更点だと思います。

ただし、現行で区別していた、最終加工地点である加工・製造(manufactured)と、産出地点(extructed, harvested)という概念が、区別されなくなったというのは、解りづらい点です。

「輸送過程の環境負荷」の概念が、米国の環境建築基準の中でうまく育ってもらうように願っています。

現行の規定 改定案
推奨事項5 地域の資材

(意図)
地域で産出する原材料の消費を増やし、もって、輸送過程での環境負荷を減らし、地域経済の活性化に資する。

(要求事項)
推奨事項5.1(1ポイント) 
500マイル以内加工製造された建築資材を最低20%使用すること。




推奨事項5.2
(1ポイント) 
上記のうち最低50%500マイル以内で産出、収穫、再生産されたものを使用

(技術および戦略)
この目的を達するため、地域の資源および供給者の特定に関する目標策定。建築期間において当該資材が搬入を確認し、全体資材のうちの量を確定。
推奨事項5 地域の資材

(意図)
地域で産出する原材料の消費を増やし、もって、、輸送過程での環境負荷を減らし、土地に固有の資源利用推進に資する。

(要求事項)
推奨事項5.1(1ポイント)
原料の80%以上が300マイル以内で産出・加工・製造された建築資材を最低10%使用すること。
あるいは
原料の80%以上が1000マイル以内で産出・加工・製造され、かつ鉄道、船舶で輸送された建築資材を、最低10%使用すること。
あるいは
原料が上記の二つの基準をあわせたものをクリアした建築資材を、最低10%使用すること。
推奨事項5.2(上記に加えて1ポイント)
同上の基準を満たす建築資材を最低20%使用すること。

(技術および戦略)
同左


改定案はこちらから→pdfファイル

 

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