ニュースレター No.088 2006年12月10日発行 (発行部数:1300部)

このレターは、「持続可能な森林経営のための勉強部屋」というHPの改訂にそっておおむね月に一回作成しています。

情報提供して いただいた方、配信の希望を寄せられた方、読んでいただきたいとこちら考えて いる方に配信しています。御意見をいただければ幸いです。 
                                                    藤原

目次
1.
フロントページ:違法伐採問題、日本の調達政策とその波紋2006/12/10)
2. ウッドマイルズの視点から地場産材の定義(案)
3.
国際熱帯木材機関の日本語HPと第41回理事会2006/12/10)
4.. 気候変動枠組条約第12回締約国会議等の結果について(2006/12/10)

フロントページ:違法伐採問題、日本の調達政策とその波紋2006/12/10)


違法伐採問題に対処するための日本政府の調達方針が実施されてから半年たちました。

商品開発側の提案をもとに国が優先調達すべき物品を定めていく通常のグリーン購入法のスタイルとは逆に、今回の措置は、国の側が供給を促す形で、「原料として使用される原木が、その伐採に当たって生産された国における森林に関する法令に照らし合法な木材であること」が確認された木材・木製品を優先的に購入するとしたとしたところが特徴です。

個人的にその渦中にいるために、「その波紋」といって眺めているわけにはいかないのですが、10月に開設した「合法木材ナビ」から、トピックスを提供します。

(エコプロダクツ2006)

調達政策の波紋の第一は合法木材の供給ですが、この点についての展示に関して、12月14日から16日にかけて開催される「日本で最大級の環境配慮型製品展」エコプロダクツ2006に、違法伐採に関連したブースが開設されます。(小間番号2053へ

11月のエコビルド展への出展など、違法伐採関係の展示ブースがこの種の展示会に開設されあるのは今回が初めてではありませんが、グリーン購入法のガイドラインをクリアした製品が初めて展示されるのが売り物です。

(違法伐採対策国際セミナー)

日本の調達政策の第二の波紋は海外に向けたものですが、この点について二月に計画されている「違法伐採対策推進国際セミナー2007in東京」の計画案が掲載されています

「日本の木材調達政策に対する世界の対応」という副題がついたこのセミナーは、日本市場に対する木材輸出国が日本のグリーン購入法にどのように対応してきているのかをテーマとしたものです。

違法伐採対策がG8という国際政治のハイレベルの議論の場で議題になったのは、主として熱帯地域で横行する違法伐採の現状が地球環境問題として各国が協力して取り組むべきものとの認識に基づくものですので、日本の調達政策の結果も最終的にはこの点で評価をされることになるわけです。

今回ののセミナーはそれに直接アプローチをしようとするものです。

boueki4-23 <gohowoodhamon>


2 ウッドマイルズの視点から地場産材の定義(案)ーCASBEEへの提案

既報の通り日本版緑の建築基準CASBEEの戸建て住宅版が試行版として公表されていますが、そのなかに地場産材の利用についての記述があり、「構造躯体の一部に地場産材が使用されている場合は評価を1レベル、過半に地場産材が使用されている場合は評価を2レベル上げる。」との記述があり注目されます。ただし地場産材についての定義が明確でないという問題点がありました。

この点について、ウッドマイルズ研究会が以下のような定義案を公表し、意見募集をしています(こちらから)。近くの山で家をつくる関係者100団体に対するアンケート調査の結果、地場産材として取り扱っている木材の実態を下にまとめたものです(地場産材の定義を考える(アンケート調査分析詳細)pdfファイル

<木材の輸送エネルギー削減を目的とした地場産材の定義>

地場産材とは、現在の取引の実態をふまえ、産地と消費地との関係が同一都道府県内、または隣接都道府県内、もしくは産地から最終消費地までの輸送距離が、およそ300km以内の木材とする。

なお、輸送過程における二酸化炭素排出量の観点からは、船舶輸送の場合およそ1000km以内、鉄道輸送の場合およそ2000km以内のものも地場産材と同様に評価されることが望ましい。

この場合の輸送過程における二酸化炭素排出量は30s-CO2/m3程度以下となり、我が国に一般的に流通する木材の輸送エネルギーと比較して、3/4程度を削減できる木材となる。


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3 国際熱帯木材機関の日本語HPと第41回理事会(2006/12/10)

11月6日から11日に横浜で開催された国際熱帯木材機関の第41回理事会に久しぶりで顔を出してみました。

主要な議題は以下の通りです。
(1)ITTO目標2000に関する報告
(2)ITTOプロジェクト・サイクルの改善・強化のための方策
(3)持続可能な木材生産・貿易との関連における各国の森林関係法の施行
(4)プロジェクト及び提案決議案の承認
任意拠出金が近年少なくなり、なかなか難しい運営をしているようですが、持続可能な森林管理にむけて、国ごとの地道な活動が積み重ねられています。

第41回国際熱帯木材機関(ITTO)理事会等の結果について(林野庁HP)
アースネゴシエーションブリテン(ENB)による詳細報告(英文)

今回の理事会で公表されたことですが同機関のHPが改善され日本語のページが充実しています
公用語でない日本語のページを国際機関が作成するのは珍しいことですが、任意拠出金を最も多く拠出している日本向けのPRという政治的な配慮でしょうが、よいニュースです。

そのページにも掲載されていますが、「熱帯林管理の現状2005」(Status of Tropical Forest Management 2005)という詳細なレポートが提供されています。加盟生産国の天然林の4.5%が持続可能な森林管理下にあると要約しています。持続可能な管理をされた森林の定義を具体的な森林におろしていくという難しい作業をしていますが、その作業過程が参考になります。

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4 気候変動枠組条約第12回締約国会議等の結果について(2006/12/10)

11月6日(月)から11月17日(金)までケニアのナイロビにおいて気候変動枠組条約第12回締約国会議(COP12)、京都議定書第2回締約国会議(COP/MOP2)及び第25回科学上及び技術上の助言に関する補助機関会合(SBSTA25)が開催されました。

気候変動枠組条約第12回締約国会議等の結果について(林野庁HP)
条約本部HP関連情報
アースネゴシエーションブリテンによる詳報

森林関係の主な議題は@途上国における森林減少に由来する排出の削減について、ACDM植林の土地適格性に関するガイダンス(指針)、小規模CDM植林の上限値、です。

以下林野庁HPより
@ 途上国における森林減少に由来する排出の削減について
 条約に基づく第25回補助機関会合(SBSTA25)において、途上国における森林減少に由来する温室効果ガスの排出を削減するための方策について議論が行われた(背景情報条約HP)。
 本議題については、昨年末のCOP11決定に基づき、今年5月のSBSTA24から検討に着手し、今年8月にイタリアのローマで開催された第1回のワークショップ(報告書)において技術的、方法論的事項及び排出削減のための政策措置やインセンティブについて各国の意見・情報の交換を行ったところ。
 今次SBSTAでは、次回のSBSTAの前に開催する第2回ワークショップにおける検討事項等について議論し、@各種政策措置やインセンティブ及びその実施に必要な技術や方法論を中心に、第1回ワークショップにおける検討事項について議論を継続すること、Aワークショップ開催に先立ち、各国から各種政策措置や関係条約との関連性について意見提出するとともに、B途上国から自国の現状等に関するデータを提出すること等について合意した(議長サマリー)。
 第2回ワークショップは来年3月上旬にオーストラリアで開催されることが発表された。
A CDM植林の土地適格性に関するガイダンス(指針)、小規模CDM植林の上限値
 CDMの議論において、ブラジル、コロンビア等が、CDM植林の土地適格性に関するガイダンス(指針)の第26回CDM理事会(本年9月)での改訂(GCMによる和訳)は、マラケシュ合意(COP7)を逸脱しており不適当であると主張した(我が国賛同)。また、コロンビア、ボリビア等が、小規模CDM植林の上限値(8キロCO2トン/年、COP10決定)の見直しを行いたいと主張した。
 調整の結果、当該ガイダンスについては、公開での意見聴取を行い、これを踏まえCDM理事会が再度ガイダンスを策定した後改めて公開での意見聴取を行うこと、小規模CDM植林の上限値については各国等からの提出意見に基づき次回SBSTAで検討することが合意された。


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最後までお読みいただきありがとうございました。

藤原敬 fujiwara@t.nifty.jp

 

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