ニュースレター No.084 2006年8月6日発行 (発行部数:1300部) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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このレターは、「持続可能な森林経営のための勉強部屋」というHPの改訂にそっておおむね月に一回作成しています。 情報提供して いただいた方、配信の希望を寄せられた方、読んでいただきたいとこちら考えて いる方に配信しています。御意見をいただければ幸いです。 |
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フロントページ:気候変動枠組み条約と森林政策ーツバル国の条約交渉担当者と語る(2006/8/6)
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イアンフライ氏を招待することになったのは、前年12月に開かれたCOP11の非公式会合で同氏がウッドマイルズに言及したこと、そして同氏がオーストラリア人でシドニーから離れていないところにすんでいることがわかったからでした。 忙しい日程を調整しイアンフライ氏がセミナーに参加してくれることがわかったとき、せっかくの機会なのでホテルに一泊てもらい、幅広く意見を交換したい、というこちらの申し出に快く応じてくれました。 イアンフライ氏とツバルの紹介をしておきます。 ツバルは南太平洋の人口約1万人、面積26Km2の漁業を主産業とする小さな島です。英国領だったのが1978年に独立し、2000年には国連の187番目の加盟国になっています。(Wekipediaツバル) この目立たない国が国際政治の中で皆の注目を浴びるようになったのは、1992年に気候変動枠組み条約が締結されたためです。 地球温暖化はいろいろな形で深刻な障害を各国に引き起こしますが、南太平洋の最大標高5メートルというツバル国のように、温暖化が進むと海面が上昇し自国が消滅してしまうという深刻さをもった国はありません。 それらの国々は小島嶼連合を形成し条約交渉で重要なプレーヤーとなっていますが、イアンフライ氏はそのスポークスマンの役割を果たしています。 私のインタビューは、「私の理解するところでは、あなたの基本立場は、同条約の枠組みの中に、吸収源としての森林や伐採後の木材など、排出削減以外の問題を持ち込むのに反対だというものだが、森林や木材の吸収源としての役割についてどう考えているか伺いたい。」という質問から始まっています。 エコマテリアルである木材やそれを生み出す森林を気候変動条約の中で位置づけることの必要性をこちらから説明し、それについての理解を少しはもってもらったという意味はあったと思います。 ただし、森林の管理を気候変動条約という地球環境のフォーラムの中で本格的に議論するという、厳しい宿題がその前にはあるということも再認識させられました。 日本の森林政策や木材政策が近年、京都議定書という強力な地球環境条約のスキームに依拠して組み立てられていますが、そのことは、日本の森林政策が、気候変動枠組み条約を支えてきたフォーラムの中で遠慮なく点検をされるという面を持っていることを忘れてはならないと思います。 森林政策にとっての一つの飛躍の機会かもしれません。 インタビューの全文はこちら。 同氏が、セミナーに参加するに当たって作成した、「木材、ウッドマイルズ、京都議定書の本での炭素勘定」(Timber,"Wood miles" and Carbon Accounting under the Kyoto Protocol)と題するペーパーがウッドマイルズ研究会のホームページに掲載される予定になっています。関心のある方が是非一読ください。 kokusai2-14 <ianfry> |
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2 ウッドマイルズが結ぶオーストラリアの旅(2006/8/6) 7月12日から17日という日程でオーストラリア・シドニーを訪問しました。主たる目的は同地のニューサウスウェールズ大学で開かれたウッドマイルズセミナーに参加することでした。 同大学では昨年から岐阜県立森林文化アカデミーと一緒に共同して環境と建築をテーマとしたゼミを行っており、今年のテーマは「地域材の利用」、ということでした。シドニー郊外の港湾施設の再開発という具体的なテーマを元に、日豪両方の学生が具体的な提案を競っていました。 カリキュラムの中には近郊の森林地帯を訪問してインタビューを行うということも含まれていて、そこから木材の供給についての具体的提案もなされていて興味深いものでした。また、ウッドマイルズにもとづく施設の具体的な評価も研究会の事務局長滝口さんの手で行われています。 14日は午前中に今までのゼミの成果に基づく発表会があり、午後はウッドマイルズ研究会主催のセミナー、その後に、セミナーのゲストスピーカーとして招待した、気候変動枠組み条約の交渉の中心人物であるツバル国の首相顧問イアンフライ氏にインタビューをする時間をとってもらいました。 短時間のスケジュールでしたが、地域資源という考え方の国際性、気候変動条約にとっての森林や木材について、いろいろ考えさせられる一日でした。 セミナーの概要はウッドマイルズ研究会のHPに掲載されています。こちらからどうぞ イアンフライ氏とのインタビューについては別項「気候変動枠組み条約と森林政策ーツバル国の条約交渉担当者と語る」を、また、現地の建築基準と地域材についてのトピックスについては別項「オーストラリアの緑の建築基準とウッドマイルズ(工事中)」を参照ください。 energy 2-45<sydny> |
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3 日本の緑の建築基準CASBEEすまい(戸建て住宅版)(2006/8/6) 7月21日CASBEE(建築物総合環境性能評価システム)の戸建て住宅版の公表に伴うセミナーに出席しました。日本版緑の建築基準の中の、建築材料としての木材について、「持続可能な森林から生産された木材」「地場産材」などが評価上の役割を着々と与えられるようになっています。 <<CASBEE開発の経緯と概要>> 建築物の環境評価により等級分けする「緑の建築基準」開発と普及は世界的潮流となっており環境負荷の少ない資材の調達という形で「持続可能な森林から生産された木材」の需要動向にも大きな影響を与える可能性をもっています。(小HP関連ページ影響力を広める北米の緑の建築基準(2005/9/4)) 日本版緑の建築基準としての「CASBEE」(建築物総合環境性能評価システム)は、国土交通省の主導の下に(財)建築環境・省エネルギー機構(IBEC)内に2001年に設置された委員会において開発されてきました。(小HP わが国の環境建築基準と「持続可能な森林から産出された木材の活用」) CASBEEは建築物の環境に関する性質を、環境の品質性能と環境負荷の二つのカテゴリーに分けそれぞれ三つづつ次表の通り合計6つの分野を評価することとしています。 環境品質・性能(Q)が高いことを評価する Q1 室内環境を快適・健康・安心にする 環境負荷(L)を低減する取り組みを(LR)で評価する LR1 エネルギーと水を大切に使う 木材に関する部分は、Q1にかかる化学汚染物質の対策「ホルムアルデヒド発散等級」(P42)、とLR2「資源を大切に使いゴミを減らす」省資源、廃棄物抑制に役立つ材料の採用(P103)です。 そのうち「持続可能な森林から産出された木材」や「地場産材」など森林の管理と密接に関係あるLR2について、戸建て住宅版と今まで公表されていたCASBEE本体とを比較しみてみましょう。 CASBEEホームで「持続可能な森林から産出された木材」は以下にの項目に記述されています。
主たる記述箇所となっている木質系住宅の構造躯体での記述内容は以下の通りです。 ■評価内容
また、語句の定義の箇所では
さてもう一つの大規模建築物を扱うCASBEE2006の中で「持続可能な森林から産出された木材」はどのような記述になっているでしょう。 以下が、当該部分のCASBEE2006における当該部分の記述です。
現在施行されている二つの版を比べてみるとわかるように、今回の住宅版では日本国内から産出された針葉樹材という項目がなくなっています。この点について開発者の清家東大助教授は会場での質問に応えて「CASBEE本体のときは構造材でなくて外装材を前提としていたので、国産材に針葉樹材ならOKとしたが、今回は構造材だから国産針葉樹ならよいとするわけにはいかないだろう。認証にしっかり取り組んでいる人にもエールを送りたい。」という議論があったと話されていました。 <<CASBEEの中の「地場産材の利用」>> CASBEEの木材についての記述の特徴は「地場産材」という用語です CASBEEホームのLR2「資源を大切に使いゴミを減らす」、「1省資源、廃棄物抑制に役立つ材料の採用」、「1.1構造躯体」P106には以下のような記述があります。
また、CASBEE2006にもちょっとわかりづらいにですが地場産材という言葉が記載されています。 Q3室外環境(敷地内)、2.まちなみ・景観への配慮と、3.地域性アメニティへの配慮の二つの評価項目に以下のような記述があります。
<<「試行版」の意味>> |
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4 森林・林業基本計画案の意見募集(2006/8/6) 今年9月に改訂予定の森林・林業基本計画の案が公表され意見募集されました。(こちら) 小サイトでは出された意見の資料集のようなものを作成しようと考えています。 このニュースレターの読者あるいは知人が関係して出された意見をご連絡頂けますか? テキストのファイルか、リンク先アドレスを紹介してください。(こちらへ) とりあえず私の関係したものを掲載しておきます。
kokunai1-4<kihonkei806> |
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