「次期生物多様性国家戦略」案の意見募集ー持続可能な森林経営の観点からは(2023/2/15)

1月30日に次期生物多様性国家戦略案が公表され(左の図1は概要)、2月28日まで意見募集かかっています

生物多様性条約に基づく生物多様性国家戦略 は、これまでに 合計5回策定され、2008 年の生物多様性基本法制定を受けて法定化。 現行計画である2010 年の愛知目標を受けて国別目標を設定しれています。(右の図2「現行の生物多様性国家戦略の概要及び点検結果の概要」から)

(現戦略と次期戦略と基本戦略の比較)

上の図1にあるように、国家戦略は5つの基本戦略からなっています。

左図3は提示された次期戦略と現在の戦略の比較。

原戦略が
@生物多様性を社会に浸透させる
A地域における人と自然の関係を見直し、再構築する
B森・里・川・海のつながりを確保する
C地球規模の視野をもって行動する
D科学的基盤を強化し、政策に結びつける
という5つの戦略を提示し、CとDはおおむね達成した、という評価の上に、

次期戦略案では、以下の戦略が提示されています。

@生態系の健全性の回復
A自然を活用した社会課題の解決(NbS)
Bネイチャーポジティブ経済の実現
C生活・消費活動における生物多様性の価値の認識と行動
D生物多様性に係る取組を支える基盤整備と国際連携の推進

(勉強部屋と基本戦略との関係)

終わったばかりのCOP15で決まった、「昆明・モントリオール生物多様性枠組」に対応した管理プロセス30by30の実施:新戦略@

現戦略で達成できなかった@からBの課題を、Nature Based Soruliton:新戦略A、Nature Positive Economy:新戦略Bといった、生物多様性や生態系サービスと人間社会を結び付ける、新たに提示されたコンセプトをツールにして解決しよう。そして、都市の自然を結びつきは生活消費活動の新戦略C、という構図ですね。

勉強部屋としても、@生物多様性保全の枠組み30by30アライアンスが発足ーメンバーになりました(2022/4/10)、A自然に基づく解決策NbSの拡がりと森林の役割(2020/11/15)、Bネイチャーポジティブとは?−森林投資と生物多様性問題(2022/10/1)、C森林認証制度、生物多様性保全と持続可能な消費生産ガイドブック(2018/5/20)と追いかけてきたキーワードが基本戦略の中心にすえられた、今回の国家戦略案です。

(提出意見の方向性)

ということで、是非意見募集に応募しようと思います。

251ページに及ぶ「次期生物多様性国家戦略」案本文を読むことから始めます。全国8か所で説明会があるようなので、どこかに、行ってきます。

いずれにしても、生物多様性の管理も、持続可能な森林管理も、対象物をこのようにしていけばよいかというコンセプトはわかってきたけれど、管理する対象がひとのすまない、広範な地域の広がっているので、管理するのが大変。

森林管理に関しては、そのような状況に対応するために、都道府県・市町村の行政機関と連携した森林計画制度があり、それを市民と連携して解決しようと一つの方向性を打ち出してきたのだ、森林認証や合法木材などのサプライチェー管理の仕方ですね。

そのような森林分野の蓄積がしっかり「生活・消費活動における生物多様性の価値の認識と行動」などに活かされるかどうか、そんなところが一つのポイントかと思います。

「次期生物多様性国家戦略(案)」に対する意見募集 (パブリックコメント)及び説明会の開催について

追ってご報告します。

みなさんも、頑張ってください。

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