気候変動と森林の未来―IPCC気候変動と土地特別報告書の中森林(2020/3/15) | |||
昨年の8月、気候変動枠組み条約に関する政府間パネルIPCCから「気候変動と土地関係特別報告書」という報告書が公表されました。 気候変動に関する政府間パネル(IPCC)「土地関係特別報告書(*)」の公表(第50回総会の結果)について(環境省) 長いサブタイトルがつけてあって「気候変動と土地:気候変動、砂漠化、土地の劣化、持続可能な土地管理、食料安全保障及び陸域生態系における温室効果ガスフラックスに関する IPCC 特別報告書」と訳されています(環境省)が森林は?。最近この報告書の解説書がでているのを紹介いただき、森林にとって重要な内容がを含んだものであることを再認識。少し遅くなりましたが内容紹介をします。 IPCC土地関係特別報告書」ハンドブック:背景と今後の展望(IGES) このサイトでも、関連記事をいくつか配信してきました。 森林を畑にしてバイオマスを地中化するBECCSの功罪ーNature Comunications掲載論文(2018/8/18) 今回の報告書は、ものすごく、新しい情報がつまっているわけではないかもしれませんが、IPCCという場に集結した当該分野の世界中の関係のアカデミア最前線の人たちが、気候変動と森林に関してどんな問題意識になっているか知る、大切な文献だと思います。 (気候変動関連対応策としての土地問題の難しさ) 上記の表は、「緩和策と対応策」というセッション(政策決定者向けサマリー)に記載された表です。 表側の対策リストは、@土地管理に基づく対策、Aバリューチェーン管理に基づく対策、Bリスク管理に基づく対策、C炭素吸収に関連する緩和策(原文ではこれは別表) 土地に関する政策が、緩和策・適応策だけでなく、様々な社会政策に同時に貢献(コベネフィット)するとともに、マイナスの影響(トレードオフ)もあるということが重要だとされます。 特に、土地にエネルギー作物を植えて(早生樹種の森林含まれるのか?)それを原料としてエネルギー利用をはかり、その場で回収して貯留しよという、BECCS(Bioenergy with Carbon Capture and Storeage)CO2回収・貯留を伴ったバイオマスエネルギー)は要注意。 この表の表側の対策リストで少し残念なのが、バリューチェーン管理に基づく対策に、食品に関する一連の政策(土地管理以外の収穫された産物の市場での取り扱い方)が掲載されているのに、森林の産物である木材の利用され方についての項目がないことですね。(次回に期待) (気候変動対策社会の中の森林など)
上の図は、1.5度に向けた三つシナリオに関する土地利用の方向性。(排出量対策を頑張るしなりから、少しサボったシナリオまで)どの選択でも、農耕地と牧草地は減って(減らして)、バイオマス燃料作物栽培地、森林は拡大。社会全体が気候変動対策に大きくシフトする(?)21世紀後半に、森林の役割が大きくなっていく、というストーリーになっています。 最近早生樹種の開発の話が森林分野の学術的行政的な関心事項になっています(早生樹・エリートツリーの可能性(2019/4/20) など)が、BECCSという視点でもよく見ておく必要があるかと思います。 (先進国日本への期待) 私自身も原文を見ずに解説書を読んで、書いています。 REDD+など国内の森林関係の学術的な活動の中で、重要なテーマとして気候変動問題が主題には成ってきています。途上国の森林と気候変動。が、この問題がさらに大きくなってくると、途上国では手に余る、「先進国が範を示すべき」(IGESハンドブック山形与志樹氏)ということのようです。 先ほどのべた、世界中があまり重要性を感じていない、建築物の木材利用の側面など、日本が貢献できそうな分野もありそうです。 今後ともこのテーマフォローしていきますね。 kokusai2-72<ipccland2019> |
■いいねボタン
|