行政・市民・企業の役割-シンポジウムグローバル森林新時代(2020/10/15) | ||||||||||||||||||||
林業経済研究所が主催したオンライン「シンポジウムグローバル森林新時代」にコメンテーターという立場で参加しました。 グローバル旧時代からいよいよ新時代に!4人の報告者から内容のびっしり詰まった報告 @拡大するグローバル環境問題の中での森林の位置づけ、A欧州が提起しているグリーンなリカバリーなどの新時代のコンセプト、B農産物などをとりあつかうビッグビネスの関係者の市場を通じた森林ガバナンスへの関心の拡がり。 大切な問題提起がありました。 全般を一度に報告することはしませんが、とりあえずのご報告をします。(主催者は月刊誌で結果報告としているので、ネット上の共有はこの記事が一番早い?)
((国際環境ガバナンスにおける森林に関わる問題の位置づけと課題ー森田報告)) このサイトがずーっと追いかけてきたメインテーマ(の一つ)に関する精度の高い最新情報なのでそれぞれ別途報告しますが、とりあえず概要 (森林分野に関わる国際環境ガバナンス) SDGs、国連気候変動枠組み条約、生物多様性条約の三つの国際制度が対象で、ご自身も一部関わっているフォローアッププロセスを通じてフォローしてきた最近のネット上に公表されている以下の情報が紹介されました。「森林のプレゼンスすこし少なくなっている」 SDGs:SDGsサミット政治宣言(2019年9月)(外務省の和訳骨子)国連広報センタープ関連ページオリジナルの本文Political declaration of the high-level political forum on sustainable development convened under the auspices of the General Assemblyも含めた関連文書にこのページから行けます。 森林に関係あるのはパラ12(15のコミットの内の一つ) 12. We commit to achieving a world in which humanity lives in harmony with nature, to conserving and sustainably using our planet’s marine and terrestrial resources, including through sustainable consumption and production, to reversing the trends of environmental degradation, to promoting resilience, to reducing disaster risk, and to halting ecosystem degradation and biodiversity loss. 12 我々は、人類が自然と共生する一つの地球を達成し、持続可能な消費・生産をなどを通じて、我々地球の海洋・陸域資源の保護・持続的な利用を図り、環境劣化の流れを変え、強靱性レジリエンスを高め、災害のリスクを減らし、そして、生態系の劣化や生物多様性の損失を阻止することを誓約する。 森林Forestということばはできてきませんが、自然との共生、陸域資源の持続可能な利用、生物多様性の保全、森林政策の重要性が指摘されています その他、気候変動枠組み条約では、「REDD+ は、期待されたほど民間の資金を動員できていない」という重要な指摘が。生物多様性条約では最近公表されたばかりの地球規模生物多様性概況第5版(GBO5)など、最新情報。別途報告します (ポストCOVID-19) 国連食糧農業機関(FAO)や国連経済社会局(UN DESA)のUNFF事務局等が、以下の通りポストCOVID-19と森林に関するポリシーブリーフ(政策提言)したんだそうです(これもすこし詳しく別途報告します) The inpacts of COVID-19 on the forest sector: How to respond?(FAO202004) 国際自然保護連合(IUCN )と欧州委員会を提案Nature-based Solution(NbS)自然を基盤とした解決策を提案 IUCN(NbS)、EU(NbS) Nature-based Solutions (NbS)自然を基盤とした解決策 (森林分野の科学と政策の関係) 森林に関する協調 パートナシップ (Collaborative Collaborative Collaborative Partnership on Partnership on Partnership on Forests Forests ) 科学と行政の連携はグローバルにも進んでいます。「森林分野と他の分野の連携ももう少し、がんばりましょうね」。(別途報告します) (( ゼロ・デフォレステーション:国際企業はどんな対応をしているか-籾井報告)) 森林の減少は破壊は進んでいます(昔より緩和したが)。コモディティ(とりあえず日用品ですか)生産のため森林減少は 500 万ha/ 年 だそうです((2010 -2015 年) (50 million hectares destroyed as companies disregard zero deforestation pledge Greenpeace, 2019) そこで、森林破壊を行わない商品(ゼロデフォレーション商品)を買いましょう、ということで、木材、畜牛、大豆、パーム油、天然ゴムのなどを中心に、そのサプライチェーンを管理する動きが広まっています。 (森林に関するニューヨーク宣言) 2020年までに天然林減少を1/2に、30年までにゼロにという宣言に200以上の企業や、政府機関が賛同しています(勉強部屋でも紹介→5年たった「森林に関するニューヨーク宣言」の進捗状況は?進捗評価レポート(2020/4/15) このように、日本も署名した国連の合意システムのなかで、ゼロディフォレステーションを推進しています。(ただ、どんどん広まるというふうにはまだなっていない) (NGO による評価) 関連企業が、ゼロディフォレステーションに取り組んでいるかどうか、NGOが様々な緻密な調査を実施して結果が公表されているようです。 その筆頭が、勉強部屋でも報告したCDP(→情報公開が試す地球環境を管理するグローバル企業の可能性ーCDPフォレスト2019公開(2020/6/15)。CDPは世界中の1500社に森林利用情報に関するアンケートを送付結果公表しています。 その他、Forest TrendsというNGOのSupply Change報告書、Global Canopy の Forest 500等、熱帯林のデフォレステーションに関わりそうな企業に向けての組織的な調査が行われています。 Amazon,McDonald's、Unileverなどだれでも知っている名前が出てきていますが、・・・(この辺は別途報告します)。 (進捗状況に見る課題 とポスト2020) 大豆と畜牛に遅れ、 小売・製造業以外に遅れ、認証制度の差、製品割合へ依存ネット VS グロス、規制の問題 など課題はたくさんです 欧州がグリーンディールの中で、森林破壊フリーのサプライチェーンの定義を検討とか、企業だけでなく金融機関も対象にし他取組を準備中、とか、ゼロデフォレステーションの次の一歩が踏み出されるか。(このへんの前報告と一緒に別途報告します) ((熱帯林減少への日本のサプライチェーンと金融による対応状況ー川上報告)) 前報告に引き続き、ゼロデフォレーション。こちらの方は(NGO側からの)「戦い」の記録です。企業のNGOのキャッチボールがでうまくきているのか? (「問題企業」が森林破壊停止宣言) PTABNパームオイルのメーカーが森林破壊禁止宣言をしました (キーワードはNDPE) NDPE (No Deforestation, No Peat, Exploitation)方針 (森林と金融) あなたのお金が熱帯林を破壊している? ((熱帯アジアの森を取り巻く現状と人びとの暮らしー内藤報告)) 熱帯林の現場から、コロナ、ボルネオの森林認証と合法性証明について、山火事についてなど、東南アジアの森林ガバナンスへの厳しい道程を紹介されました。 森林認証も色んなレベルがあって、認証が得られた合法なプロジェクトでも、先住民の権利を侵すリスクの可能性/FSC認証取得地域の地域調査の結果など現場の問題点/「自由意志による事前の十分な情報に基づく同意FIPC」など共有されるコンセプトが積み上げられていますが、それを第三者がどう評価していくのか大きなハードルが・・・ その他に山火事の煙害の健康影響調査、火災発生要因調査など・・・・ リアルな報告インパクトがありますが、別途情報をいただいたらご報告します。 報告に対する個別のコメントに入る前に、グローバル新時代と何にか?を考えたい。二つの側面があります (森林問題のグローバル化の歴史から新しい時代を読む) 私が行政にいたときに初めて、森林問題のグローバル化を意識したのは、1976年国連貿易開発会議(UNCTD)の一次産品総合計画18品目の中に熱帯木材が位置づけられるたこと。 途上国が、戦後社会のグローバル化のなかに、どのように迎え入れるか、(入っていくのか)重要な場面で、途上国は先進国の施しをうけるのでなく、途上国産品の市場での適正な取扱を求めて、問題提起。18品目の中に、日本が世界中の産品買い集めていた熱帯木材が入りました。 ということで「途上国問題という国際政治のもっとも難しい問題に、グローバルな森林問題は真っ正面から取り組まなければならない」課題を背負っています。 それから、1980年代はじめ米国政府の西暦2000年の地球、UNEP-FAOの熱帯林評価報告書。熱帯林が急速に減少していると報告→ 1992年UNFCCC,CBD,UNCCDが締結、準備過程森林条約の提案(G7)したが、途上国の反対実現せず。 このへんが、グローバル森林旧時代の始まりで、その後、次のような長い道のり。 政府のコンセンサスができない→【直接の理由】途上国ガバナンス問題、【対応】森林原則声明(全ての森林の持続可能な森林に関する基準作りなどUNFF)、【とりあえずの対応】国以外の関係者(環境NGOの市場を通じたアプローチ)、他の環境条約の枠内での議論 (グロバル環境ガバナンス条件) グローバルガバナンスの条件(Oran R. Youngなど)@公平性、A明解性、B信頼できる遵守メカニズムが最低条件だと思います。 森林問題のグローバル化の歴史からまとめると それともう一つ、新時代の要素は、コロナ後の回復に前と同社会にもどるのでなく、グリーンリカバリー。
少し長くなりましたが、今回の、4つの報告は、新時代の内容に応える大切な内容が含まれています!以上コメントでした そして、ディスカッションの最後にコメントをもとめられ、気になったことを一つ (森林新時代は大変な道程ですが) 4つのプレゼンテーションと議論を聞いて少し心配なのは、国際的な環境の議論の場に森林問題が最近出なくなった、REDD+も当初考えていたほど資金があつまらない、企業にアンケートをしてもポジティブな回答が少ない・・・ 現状を冷静に見つめるものですが、「森林ガバナンスというは森林の様々な機能が重なってそれを整理して確り提示すること自体が大変なこと、だから条約ができなかったと言っても良い。いずれにしても、陸域の都市・農地・草地・砂漠・森林があるとすれば、もっとも難しい森林が合理的に管理できるようになって、始めて人類は循環社会にたどり着けたというぐらい、難しい大切な仕事なんで、頑張って下さい。」 以上です 百数十名の参加者からの意見などすべてがカバーされておらず、シンポジウの内容をすべてカバーされていいない、個人的報告でした。 今回の皆さんが提起された、拡大するグローバル環境問題の中での森林の位置づけ、欧州が提起しているグリーンなリカバリーなどの新時代のコンセプト、農産物などをとりあつかうビッグビネスの関係者の市場を通じた森林ガバナンスへの関心の拡がり、など重要なポイント今後もフォローして参ります。 主催者の正式な報告は、今後「林業経済」誌に掲載されるそうなので、お待ち下さい。 kokusai1-13<GFsinjidai>
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