新たな森林管理システムと森林政策上の意義(2019/1/26)

4月から森林管理経営法が施行され、森林環境税に基づく新たな管理システムが動き出します。

「適切な経営管理が行われていない森林を、意欲と能力のある林業経営者に集積・集約化するとともに、それができない森林の経営管理を市町村が行うことで、森林の経営管理を確保し、林業の成長産業化と森林の適切な管理の両立を図る」(林野庁関係サイト)林政史上画期的(林業団体)などといわれる重要なシステムについて、このサイトで新たな森林経営管理に関する法案ー森林環境税の目指すもの (2018/3/25)森林経営管理法成立ー国会審議過程で議論されたチャンスとリスク (2018/6/24)紹介してきました。

上の図にあるように、@意欲と能力のある林業経営者、A市町村の役割の二つがこのシステムの根幹を握っています。

今後このシステムが趣旨をふまえて実際に国産材の安定的な供給や次世代の森林づくりに、役割を果たすことになるのか、学会関係者もふくめた実践的な評価が必要になって来ると思います。

そんな中で、学術的な観点から評価の視点を提示された標記の新たな森林管理システムと森林政策上の意義(田家邦明)農業研究誌31号掲載)と題する論考を紹介いただきました。

所有者の負担なく森林整備をすすめる国の制度は(保安林を除き)初めてで森林政策上画期的(第5章)としていますが、実施過程で潜在する市場を歪曲する(意欲と能力のある経営者の効率性を阻害することになる)リスクを指摘しています。

市町村が林業経営者に再委託を進める際に、何らかの便宜を加えて経営者が市場での効率性を求める努力に水を差すことになるリスク。

受託先があるのか、市町村が実施主体となれるのか?という大きなハードルに対処して、実施の数だけがカウントされるような評価がされた場合、上記の危険性特に問題になると思います。

この制度が林政史所画期的だと言われるほど、よく念頭に置いておかなければならない、と思います。

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