地域材に囲まれたレクサス(2013/3/24)

京都府の第一回森林林業京都会議の報告の一つは、三澤文子さんの「地域の木材を活用した木造建築の推進−長野・北沢建築工場での取り組み−」でした。

発表資料

伊那谷で「信州の良質な木材を使い、地域の住まいづくりに用いられる素材を使い、先人達の知恵に学びながら、地域風土を知り、材を知り、木組みがわかる匠の技術でこの地ならではの住まいづくり」をしている北沢建築の工場。

フォークリフトが行きかう18メートル広い空間を「地元の木で普通の材」で、というのがポイントです。大規模建築物のコスト問題に切り込む重要な提案で、東大の稲山先生が構造設計を担当しています。国産材活用と木構造、パッシブ住宅建築シンポジウム2001特別講演

今回の建築物は500m2未満で、建築確認で構造設計が簡易でよい4号特例、だそうですが、4号特例にした理由は、構造設計書を提出するとJAS材でなければ確認できないという部分が出てきて、ここがいまの建築基準の一番の問題、といわれていました。

複雑な構造計算をするので、設計者側が一本一本含水率と強度(ヤング率)を測定しているのだそうです。それでも、500m2以上になると、JAS材が要求される。

ヤング率を図る過程は、その材の履歴やウッドマイルズなど、設計者が木と係る過程で、その中で設計者が木造についてのイメージを膨らせていくのだそうです。

もちろん単なる品質の良い安い構造部材の選択肢の一つとして木材が使われる場合、JASなどの品質基準つきの部材の意味は大きいけれど、設計者が木材の一本一本にこだわって仕事をする場合はJASを要求する建築基準は大きな問題といわれてていました。

三澤さんが担当した意匠設計がもう一つのポイントです。トヨタのレクサスのキャンペーン用のHPに掲載されています。


大量消費社会の象徴としての高級車と、循環社会の象徴であるウッドマイレージ評価をした地域材。コントラストがすばらしい?

ますますの活躍を期待します。

kokunai4-46<kitazawamisawa>


 

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