バイオマス発電事業計画策定ガイドライン改訂ーGHG排出量問題の新たな仕組み(2024/1/11) 

FIT/FIP(買取価格の助成)という形でサポートを受けているバイオマス発電所に供給する燃料の、製造輸送過程で排出される温室効果ガス(ライフサイクルGHG)の上限を決めてサポートを制限する仕組みづくりについては、このサイトでも注目して検討状況をフォローしてきました。

③日本にはないGHG排出基準(バイオマス燃料作成過程の温室効果ガス排出量の上限値を設定する)はかならず日本にやってくるので、しっかりした対応が必要(2017/4/23)
バイオマス持続可能性WG第3次中間整理ーバイオマスFITに新たな制度(2023/7/15)など

(事業計画策定ガイドライン(バイオマス発電)の改訂)

この度、バイオマス発電所が設置運営される場合のFIT/FIPの認定要件に関する「事業計画策定ガイドライン」(左が目次)が改訂され(2023年10月)、いよいよ燃料のライフサイクルGHGが助成の要件として明示されることになりました。

ガイドラインの当該部分を見てみましょう。

(ガイドラインの構成とライフサイクルGHGの記載事項)

左の目次にあるように、本文(第2章)は6つの節で記載されていますが、ライフサイクルGHGは第一節企画立案、3 燃料の安定調達に係る計画の策定及び体制の構築、という小節に記載されています

当該小節は、① 安定的にバイオマス発電を行えるよう、安定的に調達可能なバイオマス燃料及びその調達ルートについて検討を行い、燃料調達及び使用計画を策定すること・・・というセクションから始まり

② 国内森林に係る木質バイオマスの燃料調達及び使用計画の策定に当たっては、以下の事項を遵守すること。
③ 輸入木質バイオマスに係る燃料調達及び使用計画の策定に当たっては、以下の事項を遵守すること。とづ付きますが
これらのセクションに以下の記述があります

表1

セクション   記載事項 備考
 ② 国内森林に係る木質バイオマスの燃料調達及び使用計画の策定に当たっては、以下の事項を遵守すること。    (3) 森林における立木竹の伐採又は間伐により発生する未利用の木質バイオマス及び一般木質バイオマスについては、 燃料のサプライチェーン上の各社において、ライフサイクルGHGを確認できる基準に基づく認定等を取得すること。 1-1
 さらに、予定する調達元を想定した各バイオマスのライフサイクルGHGを算定して申告し、基準値を下回ることを申告すること。 1-2
 また、運転開始後についても、調達バイオマス毎にライフサイクルGHGが基準を下回ることを確認できる情報を含む証票を確認し、事業実施期間にわたりその書類を保存するとともに、経済産業大臣の求めに応じて、提出できる状態としておくこと 1-3
③ 輸入木質バイオマスに係る燃料調達及び使用計画の策定に当たっては、以下の事項を遵守すること。    (4) 燃料のサプライチェーン上の各社において、ライフサイクルGHGを確認できる基準に基づく認証を取得すること。 2-1
 さらに、予定する調達元を想定した各バイオマスのライフサイクルGHGを算定して申告し、基準値を下回ることの確認を受けること。 2-2-1
 なお、ライフサイクルGHGの個別計算を活用する場合は個別計算ができることについての第三者認証を取得した上で算定を行うこと。 2-2-2
 また、運転開始後についても、調達バイオマス毎にライフサイクルGHGが基準を下回ることを確認できる情報を含む証票を確認し、事業実施期間にわたりその書類を保存するとともに、経済産業大臣の求めに応じて、提出できる状態としておくこと。  2-3

(原料供給事業者への具体的な要求事項)

このガイドライン自体は発電事業者むけのものですが、原料供給事業者になにが要求されるでしょうか?

国産材の燃料供給事業者に関しては、「燃料のサプライチェーン上の各社において、ライフサイクルGHGを確認できる基準に基づく認定を取得すること」(1-1)。輸入材の燃料供給事業者に関しては、「(同上)認証を取得すること」(2-1)

双方で、微妙な違いがありますがなにか認証が必要なんですね?

表2

ガイドラインの13ページに、解説がかいてあって、「➂(4)(輸入木材の場合)ライフサイクルGHGの確認できることを証明すること。現時点においてFIT/FIP制度における輸入木質バイオマスのライフサイクルGHGを確認できると認められる第三者認証は、SBP(Sustainable Biomass Program)である」

とされています。11月のWGの資料1-1、3ページに左の表が掲載されています。(SBPの他にGGLという第三者認証システムも記載されています)

それで国産材は?

WG11月の林野庁作成の資料1-2に国内木質バイオマス「GHG対応の認定に係るバイオマス証明ガイドライン改正点」として、以下の表3がついています。

発電利用に供する木質バイオマスの証明のためのガイドラインが近々改訂されるのですね。

表3→

以上が、ガイドラインに記載されている供給事業者に要求される基準です。

GHGの基準値とその発電所のハードルなど)

さて、上記か明らかになったGHGの数値は、基準値を下回らないように、となってます(表1,1-2、2-2-1)。

発電事業者に要求されること(供給事業者に発電事業者から要求される可能性のあることの背景)

ガイドライン12ページに以下の記載があります。

ーーーー

「排出量の基準は、比較対象電源のライフサイクル GHG を 2030年のエネルギーミックスを想定した火力発電のライフサイクル GHG である 180g CO2/MJ電力 とする。比較対象電源のライフサイクルとする。比較対象電源のライフサイクル GHG に対する削減率は、 2030 年度以降に使用する燃料については 70 %削減を達成することを要求する。これを前提に、2022 年度以降の認定案件に対し、 2023 年 4 月 1 日より、20 3 0 年 3 月 3 1 日 までの間は燃料調達毎に50 %削減を達成することを要求し、これらの基準を満たすことを FIT/FIP 制度の認定の要件 とする。ただし、ライフサイクルGHGの基準の確認対象とするのは 1 000k W 以上の案件に限る。」

ーーー

これらは発電所にかせられたハードルでこのページでは、これ以上解説しませんが、これらの内容は、昨年7月にこのサイトで計算したときの、内容とほぼ同じ、です(多分)

バイオマス持続可能性WG第3次中間整理ーバイオマスFITに新たな制度(2023/7/15)(どの程度のインパクトがあるの?)を参考にしてください

---

供給事業者にとっても結構大変な要求がされようとしていますが、まだ関連するガイドラインが公表されていないという面があるのですね。

(タイムスケジュールなど)

なお、事業計画策定ガイドライン12ページに以下の記述があります。

「2021年度までの既認定案件については、ライフサイクルGHG排出量の基準に照らした最大限の排出削減に努めることを求め、当該取組内容等の自社のホームページ等での情報開示及び報告を求めるものとする。」

このガイドラインが適用されるのは、22年度から認定された発電所にたいしてで、その前に認定された既認定発電所は努力義務です。

「ただし、2021年度までの既認定案件についても、燃料の計画変更の認定を受ける場合には、使用する全ての燃料についてライフサイクルGHG排出量の基準の適用を受けるものとする。なお、2022年度以降の認定案件についても、透明性の観点から、同様に情報開示及び報告を求めるものとする。」

ーーーー

ウッドマイルズフォーラムの団体認定事業で、私も現場に行く機会もあります

この大変な事業が円滑に進んでいくのか、フォローしていきますね

energy1-45<BioplantGL>

■いいねボタン