固体木質バイオマスエネルギーの需給動向と環境基準の展開の可能性ー森林学会報告(2017/4/23)
 

日本森林学会2017年大会が3月26日(日)〜29日(水)の期間に,鹿児島大学を会場として開催され、木質バイオマス発電のための「未利用木材を長期にわたり安定的かつ調和的に供給するために」というセッションで、「固体木質バイオマスエネルギーの需給動向と環境基準の展開の可能性」と題する報告をしました。

報告内容は以下の通り
「固体木質バイオマスエネルギーの需給動向と環境基準の展開の可能性」藤原敬(林業経済研究所)落合麻里・前川洋平(東京農業大学)

基本的なストーリーは昨年の環境経済政策学会での報告をふまえたもので

欧州の環境基準が日本のFITに基づく木質バイオマスの需給構造に与える影響を明らかにするため

  1. 欧州の固体木質バイオマスバイオマスの環境基準の動向を、英国を中心にレビューし、土地基準とGHG排出基準からなる環境基準を明らかにする。
  2. 日本の「発電利用に供する木質バイオマスの証明のためのガイドライン」(以下「ガイドライン」という)と土地基準の関係明らかにする。
  3. 現在供給可能な固体バイオマスのエネルギー供給源について、GHG排出基準に基づく評価を行う。

というものです

この点に執着するのは、
@日本木質バイオマスの輸入が増え、(欧州などのバイオマス調達もグローバル化してきているはずなので)木質バイオマスの市場のグローバル化が進んでおり、それに応じた環境基準のグローバル化が喫緊の課題になるはず(市場のグローバル化に反対するのでなく環境基準のグローバル化で対応する、それができないうちは市場のグローバル化に反対)、
A日本の木質バイオマス燃料の環境基準である日本のガイドラインを世界基準にするには、欧州の基準でいう土地基準の枠内であり、日本のガイドラインが達成していて欧州の基準がクリアで日本のガイドラインのステップアップが必要だが、欧州が日本に学ぶべき点もある(業界団体の社会的責任の果たす可能性)
B日本にはないGHG排出基準(バイオマス燃料作成過程の温室効果ガス排出量の上限値を設定する)はかならず日本にやってくるので、しっかりした対応が必要
という3点の思いです。

英国の環境基準の日本語訳などがネット上に公開されてきており(バイオマス産業社会ネットワーク)情報収集しやすい体制になっているので、是非確認をしてください

下の図は、報告の中でも紹介しましたが、ofgem The Office of Gas and Electricity Markets :英国 固体バイオマス持続可能性基準 温室効果基準の仮訳の中で紹介されている、英国内で流通している固体バイオマス燃料の製造過程のGHG排出原単位と上限値のとの関係を示すものです。
 
 固体バイオマスのデフォルトCO2排出原単位と発電効率35%の場合の目標
ofgem:Renewables Obligation: Sustainability Criteria Guidance Appendix2 Table 15

この話は今後このサイトでもフォローしていきます

参考資料(バイオマス産業社会ネットワーク

作者:ofgem The Office of Gas and Electricity Markets ガス電気市場事務局(英国政府)
発行日:2016年3月1日
タイトル:
Renewables Obligation: Sustainability Criteria Guidance
仮訳:英国 固体バイオマス持続可能性基準 温室効果基準の仮訳
翻訳:落合麻里 翻訳監修:藤原敬、NPO 法人バイオマス産業社会ネットワーク

作者:Department of Energy and Climate Change
発行日:2014年12月22日
タイトル:Woodfuel Advice Note
仮訳:英国木質バイオマス持続可能性基準木質燃料アドバイスノート仮訳
翻訳:落合麻里 監修:NPO 法人バイオマス産業社会ネットワーク

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