秋の林業経済学会で「地球規模での持続可能な森林管理への課題」というタイトルの分科会を開催することになっていますが、議論の出発点となった地球サミットの森林原則声明について、同会合で各国との折衝に当たった現林野庁海外林業協力室長永目伊知郎さんから、表記タイトルの論文の提供をいただきました。(これを資料室におきます)
国際条約や国際合意の最終的なテキストは公表されますが、交渉過程が公表されることはきわめてまれです。
森林原則声明の原文テキストは国連HPの持続可能委員会(CED)の中のUNCEDのページに掲載されています(翻訳されたものは小HP内にあります)。交渉過程については国際林業協力研究会編「’92国連環境開発会議と緑の地球経営」(日本林業調査会)の中で永目さんが簡単な解説をしていて、これは珍しい例です。
今回の論文はさらに詳しい内容を同じ時期に同氏が執筆されたものですが、公表を差し控えられていたものです。条文の一つ一つの作成過程を、@準備会合で仮合意になった原案、Aそれに対して関係国各国がどのようなポジションをとったか、Bだれの主導権で最終テキストとなったか、ということが実名入りで記述されています。英文でも森林原則声明の交渉過程がこのように明らかにされているものはないと思います。
途上国の中でもブラジルと東南アジア、先進国の中でもEUと米国、そして日本、のポジションの違いまで明らかにされた資料は、今後の当該分野の学術研究にとっても、また、将来の条約作りといった実践的な意味でも。大変貴重な資料です。
UNCED森林原則声明と合意過程(永目伊知郎)(資料室に)
関連資料
本サイト内、地球サミットの森林分野フォローアップの状況
原則声明オリジナルテキスト(英文)
原則声明和訳(本サイト内)
|