メリーランド大とグーグルによる森林減少の分析結果2014/1/19)

米メリーランド大学ぢグーグル社などの研究チームの地球森林の推移に関する分析結果に基づいて、世界中の任意の地点の森林の2000年から2012年の間の増減結果を表示することができるページが公開されています。

Global Forest Change
Published by Hansen, Potapov, Moore, Hancher et al.

また、もとになる論文が米科学誌サイエンス13年11月号に掲載されています。
High-Resolution Global Maps of 21st-Century Forest Cover Change

編集者による要約は以下の通り。

Quantification of global forest change has been lacking despite the recognized importance of forest ecosystem services. In this study, Earth observation satellite data were used to map global forest loss (2.3 million square kilometers) and gain (0.8 million square kilometers) from 2000 to 2012 at a spatial resolution of 30 meters. The tropics were the only climate domain to exhibit a trend, with forest loss increasing by 2101 square kilometers per year. Brazil’s well-documented reduction in deforestation was offset by increasing forest loss in Indonesia, Malaysia, Paraguay, Bolivia, Zambia, Angola, and elsewhere. Intensive forestry practiced within subtropical forests resulted in the highest rates of forest change globally. Boreal forest loss due largely to fire and forestry was second to that in the tropics in absolute and proportional terms.)、 These results depict a globally consistent and locally relevant record of forest change.    地球上の森林の変化の定量化は、森林の生態系サービスの重要性の認識に関わらず、なされていない。この研究では衛星の地球観測データを用いて2000年から2012年までの森林の減少(2.3百万ha)と増加(0.8百万hp)を30メートルメッシュごとに明らかにした。熱帯は森林の減少が年率で2010万ヘクタール発生し減少傾向を示す唯一の地域である。ブラジルの森林減少の明確な縮小傾向は、インドネシア、マレーリア、パラグアイ、ボリビア、案ビア、アンゴラの拡大で帳消しにされている。亜熱帯地域における林業展開は森林の変化に影響を与えている。亜寒帯地域における森林火災林業に起因する森林の減少は熱帯林に次ぐものである。これらの結果は、地球規模で整合性のとれた地域レベルでも的確な、森林変化についての情報を提供するものである。

出だしに森林減少の定量化がlacking(欠如している?)という書き出しになっているの注意が必要です。地球規模の森林減少の定量化はFAOが一貫して追及してきたことで、1980年代からFAOが提供してきた地球の森林の減少を示すデータは熱帯林の管理を地球環境の問題とする大きな役割を果たしてきました。

今回の報告が今までのFAOのデータとどのような関係になっているかは大変興味深い内容です。早稲田大学の天野正博さんにコメントをもらいました。

 FAOが実施してきたものは各国の報告をリモートセンシングで補正しているボトムアップ方式、今回のものはリモートセンシングで一挙に把握するトップダウン方式。

IPCC第4次報告書ではFAOが主体となって実施している積み上げ型の森林面積と、リモートセンシング(殆どがLANDSAT)を世界全体に適用して算出したデータには大きなギャップがあるのが問題と指摘している。

今回も、そのときの指摘と同じくらいの開きがあり、過去の同様の成果と大きくかけ離れていないと言える。

その結果例えば、以下のような数値の違いがある。

林業統計上、中国は2000年代に旺盛な植林をしていることになっている(FAOの統計には反映されている)が、画像ではそうした傾向が見られない。
シベリアも森林火災による減少が(今回の報告では強調されているが、ロシアは土地利用区分が森林であり一時的に土地被覆として森林がなくなっても、いずれ回復するということで、FAOへの報告ではこれだけの森林減少を報告していない。
(今回の報告では)開発されたアブラヤシ農園がForest GainとLoss and Gainと区分されている。FAOではアブラヤシ農園を森林に入れていいないので、森林の定義がことなっている。

chikyu4-17(formapgoogle)

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