違法伐採問題に世界に先駆けて取り組んでいる英国政府の動きを、英国のWWF(WWFUK)などの環境保護団体がウォッチして情報発信していますが、これらの動きをWWFジャパンの森林活動のページが抄訳も含めて丁寧な情報提供をしています。
("Illegal logging cut it out")
1月下旬にWWFUKは"Illegal logging cut it out"(違法伐採を排除しろ)というタイトルの報告書を公表しました。(WWFUKのプレスリリース)
英国は世界で三番目に違法伐採木材の輸入が多い国という事実をあげて、欧州一の木材輸入大国である英国が違法伐採木材を排除することの意義を強調していますが、1番目は中国、2番目は日本との指摘です。(木材輸出17カ国の輸出材の中の違法伐採率をもとに産出したもの)
民間の先進的な取組を紹介しながら、英国政府には、@EUで違法伐採材の輸入を違法とする貿易政策を導入する、A調達政策については量的な目標を明確にするなどと、提言しています。
(WWFジャパンの紹介ページ「英国の違法木材輸入量は世界でワースト3位」(報告書の全文がダウンロード出来ます、日本語での紹介ページ有り))
(森林認証の評価結果に対する批判)
英国政府の調達政策のシンクタンクの役割をはたしているCEPT(Central Point of Expertise on Timber)の報告に対する、環境団体の批判の動きです。
昨年12月CPETは森林認証を合法性・持続可能性の切り口で評価し公表しました(本ページ内関連ページ「英国の違法伐採に対する調達方針とCPET」)が、これに対して、環境4団体が抗議の声明を発表したというものです。
原文(FoeUK)
WWFジャパンの紹介ページ「イギリス政府は森林管理の現場を精査せよ!」
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今後日本の制度を検討していく場合に、視野に入れておくべき議論です。
3月上旬、英国の取組をリードしているGlobe International (地球環境国際議員連盟)の方たちと日本の違法伐採対策について意見交換する機会があったのですが、「日本の制度は業界の善意に基づいている」とコメントがありました。言外に「それでうまくいくのか?」というこというニュアンスなのですが、英国の仕組み自体が批判の対象となっており、うまく機能するシステムを作るのは難しい課題です。
いずれにしても、木材は建築資材などとしての「中間資材」で、化石資源で作成された代替物との厳しい価格競争に晒されているので、安上がりなシステムを作る必要があります。(その点、同じ製造過程の情報を消費者に届ける仕組みとしての紛争地ダイヤモンド(小HP関連ページ)の場合とは違う)
制度を運営する立場の者が世界中から調達される木材の全てのチャンネルを掌握することは難しく、ビジネスの信頼出来るサプライチェーンに依存するというのが、森林認証制度がつくってきた回答です。林野庁のガイドラインに基づく業界団体認定もその流れの上に立っています。
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