ニュースレター No.249 2020年5月15日発行 (発行部数:1550部)

このレターは、「持続可能な森林経営のための勉強部屋」というHPの改訂にそっておおむね月に一回作成しています。

情報提供して いただいた方、配信の希望を寄せられた方、読んでいただきたいとこちら考えて いる方に配信しています。御意見をいただければ幸いです。 

                      一般社団法人 持続可能森林なフォーラム 藤原敬

目次
1 フロントページ:国連森林戦略計画-2030などの実施に係る進捗状況報告(日本国政府)(2020/5/15)
2. 林業が成長産業化するとどうなるー書籍「諸外国の森林投資と林業経営」に関連して(2020/5/15)
3. 新型コロナヴイルスと森林(2)(2020/5/15)
4. 今求められる木の建築・活動とはー木の建築賞2015の審査結果(2020/5/15)
5. 新型コロナがもたらす新しいローカルズムとはー勉強部屋ニュース249編集ばなし(2020/5/15)

フロントページ: 国連森林戦略計画-2030などの実施に係る進捗状況報告(日本国政府も)(2020/5/15)

2017年に国連で「国連森林戦略計画2017-2030」合意されました。

国連森林戦略計画2017-2030ー国連での最初の森林に関する戦略計画ー(2017/7/23、7/25修正)

30年までに、設定した、世界の森林減少を逆転(目標1)、持続可能な森林面積の顕著な拡大(目標3)、大幅に増加された資金の動員(目標4)などの目標を、法的拘束力のない仕組みでどのように達成するのか?

その達成手段の一つとして、各国の貢献を2019年末までに報告することになっており、提出された報告が国連のサイト上に公表されています。

National reports to UNFF15

日本の報告も12月9日に提出され、国連のサイト上の公開されています。

Progress towards the implementation of the United Nations strategic plan for forests 2017–2030, the United Nations forest instrument and voluntary national contributions、Japan 

32ページにわたる大論文ですが、日本の森林林業政策が国際的な持続可能な森林管理にどのように貢献するか?国際的な持続可能な管理への動向が日本の森林林業政策にどのように貢献している(可能性がある)のか?大変興味があり読んでみました。

以下が要約版(藤原作成)です。

左側は国連森林戦略計画2017-2030で規定されたGlobal Forest Goal and associated Target、右側がそれぞれの項目毎に今回日本政府が提出した進捗状況の中から、引用された日本政府等の施策の名称(と参照先のネット情報(原文にはない))です。

 国連森林戦略計画と日本が実施した施策概要
国連森林戦略計画2017-2030 日本が2015年以降に
実施した施策
世界森林目標GFG ターゲット y/n 施策名称
1 保護、再生、植林、再造林を含め、持続可能な森林経営を通じて、世界の森林減少を反転させるとともに、森林劣化を防止し、気候変動に対処する世界の取組に貢献するための努力を強化する。 1.1 全世界で森林面積を3%増加させる。
1.2 世界の森林の炭素蓄積を維持または増加させる。 Yes 森林林業基本計画策定
森林経営管理法施行
パリ協定長期戦略策定
1.3 2020年までに、あらゆるタイプの森林の持続可能な経営の実施を促進し、森林減少を阻止し、劣化した森林を回復し、世界全体で新規植林及び再造林を大幅に増加させる。 Yes 森林林業基本計画策定
森林経営管理法施行
パリ協定長期戦略策定
1.4 あらゆる森林の自然災害や気候変動の影響に対する強靱性や適応能力を世界全体で顕著に強化させる。 Yes 森林林業基本計画策定
森林経営管理法施行
パリ協定長期戦略策定
2 森林に依存する人々の生計向上を含め、森林を基盤とする経済的、社会的、環境的な便益を強化する。 2.1 森林に依存する全ての人々の極度の貧困を撲滅する。 Yes 国際林業協力事業推進
2.2 特に開発途上国において、森林関係の小規模企業による手頃なクレジット等の金融サービスへのアクセス並びに森林関係小規模企業のバリューチェーンや市場への統合を顕著に増加させる。 Yes 国際林業協力事業推進
2.3 森林及び樹木による食料安全保障への貢献を顕著に増加させる。
2.4 森林関連産業、その他森林を基盤とする企業及び森林生態系サービスの社会的、経済的、環境的な開発への貢献を顕著に増加させる。 Yes 国際林業協力事業推進
2.5 関連する条約等のマンデートや実施中の活動を考慮しつつ、あらゆるタイプの森林の生物多様性の保全や気候変動の緩和及び適応への貢献を増加させる。 Yes 名古屋議定書ABS(遺伝資源 へのアクセスとその利用から生ずる益公正つ衡平な配分)指針
3 世界全体の保護された森林面積やその他の持続可能な森林経営がなされた森林の面積、持続的な経営がなされた森林から得られた林産物の比率を顕著に増加させる。 3.1 世界全体で、保護地域として指定された森林や、その他の効果的な地域指定型の保全措置により保全が図られた森林の面積を顕著に増加させる。 Yes 国有林保護林制度の改正
ITTO天然熱帯林ガイドライン改訂
3.2 長期的な森林の管理経営のための計画がたてられた森林の面積を顕著に増加させる。
3.3 持続的な経営がなされた森林から得られた林産物の比率を顕著に増加させる。 Yes クリーンウッド法施行
4 持続可能な森林経営の実施のための、大幅に増加された、新規や追加的な資金をあらゆる財源から動員するとともに、科学技術分野の協力やパートナーシップを強化する。 4.1 持続可能な森林経営に資金を供給するため、あらゆる財源からあらゆるレベルで相当程度の資金を動員するとともに、開発途上国に対し、保全や再造林を含む持続的な経営を推進するための適正なインセンティブを提供する。 Yes 緑の気候基金への拠出及びこれに伴う措置に関する法律施行
地球環境ファシリティーの7回増資期間トップドナー
森林環境税・森林環境譲与税の導入
ODAによる森林分野の協力
緑の募金による森林整備推進法による緑の募金
4.2 公的資金(国庫資金、二国間協力、多国間協力、3ヶ国協力)、民間及び慈善的な団体による融資等、あらゆる財源からの森林関連の資金供給をあらゆるレベルで大幅に増加させる。 Yes 同上
4.3 森林分野における科学、技術、イノベーションに関する、南北、南南、北北及び3ヶ国間の協力や官民パートナーシップを顕著に向上・増加させる。 Yes 同上
4.4 森林の資金供給戦略を策定及び実施するとともに、あらゆる財源からの資金にアクセスした国の数を顕著に増加させる。 No
4.5 例えば多くの専門分野にわたる科学的な評価を通じ、森林に関する情報の収集、利用可能性、入手可能性を向上させる。
5 UNFI等を通じ、持続可能な森林経営を実施するためのガバナンスの枠組を促進するとともに、森林の2030アジェンダへの貢献を強化する。 5.1 森林を国の持続可能な開発計画及び/または貧困削減戦略に統合した国の数を大幅に増加させる。 Yes
5.2国及び地方の森林セクターを顕著に強化する等、森林法の執行及びガバナンスが向上するとともに、違法伐採や関連の取引を世界中で大幅に減少させる。 Yes 森林林業人材育成対策
クリーンウッド法施行
5.3国及び地方の森林関連の政策や計画が、各国の法令に基づき、省庁やセクター間で一貫的であり、連携が図られ、それぞれ補完的であるとともに、「先住民族の権利に関する国際連合宣言」を十分に踏まえ、関連のステークホルダー、地域社会及び先住民の参加が確保される。 Yes 国交省:公共建築物木材利用促進法など
文部科学省:学校施設への木材活用のための手引書
外務省:気候変動対策生物多様性保全
環境省:気候変動対策生物多様性保全
経済産業省:木質バイオマスの利用推進
全省庁:SDGsガイドライン
5.4 森林に関連する課題や森林セクターが土地利用計画や開発に関する意思決定プロセスに十分に統合させる。 Yes
6 国連システム内やCPF加盟組織間、セクター間、関連のステークホルダー間等、あらゆるレベルにおいて、森林の課題に関し、協力、連携、一貫性及び相乗効果を強化する。 6.1 国連システム内の森林関連プログラムが一貫的かつ補完的であり、必要に応じて世界森林目標及びターゲットを統合する。 モントリオールプロセス国際シンポジウムの開催
6.2 CPF加盟組織間の森林関連プログラムが一貫的かつ補完的であり、それらが全体として森林及び森林セクターの2030アジェンダへの多面的な貢献を包含する。 同上
6.3 持続可能な森林経営を推進するとともに、森林減少や森林劣化を阻止するためのセクター間の連携や協力があらゆるレベルで大幅に増加させる。 同上
6.4 持続可能な森林経営の概念に関する理解がさらに共通のものとなり、関連する指標セットが定められる。 Yes 森林認証システムの展開(指標のセット)
森林林業白書(普及啓発)
行政機関が行う政策の評価に関する法律(普及啓発)
国有林モニター制度(普及啓発)
6.5 UNSPFの実施や、会期間活動を含むUNFFの活動において、メジャーグループやその他のステークホルダーのインプットや関与が強化される。 Yes 林政審議会
行政手続法
原文は英語和訳は林野庁仮訳 https://www.rinya.maff.go.jp/j/kaigai/attach/pdf/index-11.pdf 参照リンクは原文にはない

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クリーンウッド法、森林環境税・環境譲与税、森林経営管理法、など2015(平成27)年からの日本の森林林業施策が、国際コンセンサスであるGlobal Forest Golesの中に位置づけられています。

表の左側の計画部分は上記の林野庁の仮訳をそのまま使っていますが、右側の今回提出された「貢献している施策」の部分は現時点では日本語訳が公開されてないので、私が推測して施策名を記述し、ネット上の参照情報も当方の推測です。

(日本の施策がサクセスストーリーとして参考にされる可能性のあるもの)

少し面倒下さい?この作業をしてみようという気になったのは、「地球から見た日本の森林の展望 日本から見える地球の森林の将来」という大言壮語の勉強部屋ページで、日本の施策が海外から見てこんなことができるんだ、というサクセスストーリーとして見てもらえるモノは何なんだろう、という問題意識が、ありました。

この勉強部屋の英語のサイトJapan Forest Invormentan Feviewでも、海外の方に日本の施策で海外の方に是非参照してほしいと思ったモノを、Gobernment Policyというページに掲載してきました(最近少しサボっていますが)。①なんといっても森林環境税・環境譲与税、②業界団体認定を含む違法伐採問題とクリーンウッド法、③公共建築物木材利用促進法、④体系的な森林林業基本計画といったところでしょうか?

②と③については2015年に南アフリカで開催された世界林業大会でサイドイベントを開催してPRしました。、第14回世界林業会議サイドイベントー持続可能な木材製品の需要の拡大のための緑の消費者との連携 Cooperation with green consumers toward demand expansion of sustainable timber products(2015/9/26)

今回公開された日本の貢献策は、2015年以降というので時点が制約されていますが、上記のことがらが、殆どが上記の表の中に含まれています。

ただ、日本政府が提出した原文を読んでみて気になったのは、海外の方が興味をもって情報収集しようとなったときに、紹介されたこれらの日本の施策について、英語のネット上の参照情報が少ないこと。少し残念です。

(国連森林戦略計画の課題)

それから、上記の表を作成してみて、左側の国連戦略計画で気になるのは、「木材の利用促進」というコンセプトが戦略計画の中にしっかりと位置づけられていないことですね。

日本の場合2010年に公共建築物木材利用促進法が施行され(G7の国では初めて)、国交省のHPにも「官庁営繕における木材の利用の推進」というページが有りなぜ今木材利用をすすめるか?といったことが丁寧に説明されています。その他文部科学省も含めて各省が、建築物の利用促進について位置づけるようになったことが、大変重要なサクセスステーリーですが、それがうまく収まる計画事項になっていません。

上記の表では、これらの事項は、5UNFI等を通じ、持続可能な森林経営を実施するためのガバナンスの枠組を促進するとともに、森林の2030アジェンダへの貢献を強化する。というところに整理されています。

が、戦略計画の2森林に依存する人々の生計向上を含め、森林を基盤とする経済的、社会的、環境的な便益を強化する。ー 2.4 森林関連産業、その他森林を基盤とする企業及び森林生態系サービスの社会的、経済的、環境的な開発への貢献を顕著に増加させる、あたりに、「循環可能な資源である木材利用の利用推進をはかる」といったコンセプトが確り位置づけられる必要があるのでないかと思いました。

今後の課題なんでしょう。

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今回報告された日本の施策が今後サクセスストーリーとしてどのように評価されるのか、また、膨大な各国のデータが特に、主として途上国向けに編纂されて行くのでしょうが、日本の森林林業行政にとっても注目しておく必要があるのでないでしょうか?

National reports to UNFF15

5月上旬に予定されていたUNFF15は、新型コロナ騒動で6月までに縮小して開催するようです。As the result of its extensive discussion, the Bureau made the following decisions regarding UNFF15

今後ともフォローしていきます。

chikyu1-39<UNSPFreJ>

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林業が成長産業化するとどうなるー書籍「諸外国の森林投資と林業経営」に関連して(2020/5/15)

諸外国の森林投資と林業経営一世界の育林経営が問うもの一(森林投資研究会編)という書籍について、私が書いた書評が林業経済誌に掲載されました。

了解をえて、本文を共有します(こちらから

書評は本の内容を読者に知らせる過程で自分の個人的な問題意識をかたることになりますが、勉強部屋ではその問題意識の方を中心に、少し紹介します。

(まえがきから)

「「林業の成長産業化」が日本の行政の政策課題に(なっているが・・・)ある産業が成長産業になるとはどういうことか? 林業が成長産業になるのはよいことだと思うが、何がどう変わるのだろうか?

成長産業とは「成長率の高い産業」、「需要が伸びて生産体制が整った産業」であるとすると、成長産業化した林業の生産基盤となる森林整備に補助金が出せるのだろうか?そのようなことを考えているときに、『諸外国の森林投資と林業経営』(森林投賓研究会(餅田治之代表)編)という本が出版される、というので楽しみにしていた。

日本以外の地域で進んでいる「森林に対する投資」ーこれは市場が林業を成長可能性のある産業と見なしているということだろう。何が起こっているのか。このような視点から、本書の内容を紹介したい。」

(日本の林業が投資対象となるような成長産業になるには1 育林費の額と意思決定の仕組み〉

森林に対する投資。1 ha当たりの育林費は、すべてを合わせて米国では10万円を少し越え、ニュージーランドでは10万円より少し安い。これに対して、日本の場合は、「森林・林業白書」によると1,140- 2,450千円。

グローバルな市場で競争して勝てるのが成長産業だとすると、生産基盤の造成費が、他の国より10倍高いのは、回避することができない壁ではないか?なぜ?

日本の場合 現地の状況に応じて知恵を絞って育林費を節約することを真剣に考える当事者がいない。

プラチナ社会論の中で三菱総研小宮山会長が行っていた言葉、「問題を解決するのは、そんなに難しくない。大規模化、機械化、情報化である。補助金が効率化の道をスポイルしてきた」、ということばを思いまします。

〈日本の林業が投資対象となるような成長産業になるには2 成長産業化の対象となる森林の線引き〉

アクセスが悪く育林ゴストが高くて木材販売収入ではペイできない対象地はどこの国にもありますが、森林投資会社ではそのような対象地を投資対象とはしません。そのようなところは、公的資金や補助金が投入される、非経済林となるでしょう。我が国の場合、保安林でしょうか。

昨年成立した、森林経営管理法には「適切な経営管理が行われていない森林を、意欲と能力のある林業経営者に集積・集約化するとともに、それができない森林の経営管理を市町村が行うことで、森林の経営管理を確保し、林業の成長産業化と森林の適切な管理の両立を図る」とあります。

いよいよその線引きが、市町村の手によって始まります。成長作業化する森林が線引きされ、意欲の能力のある林業経営者にゆだねられるのは、大切な成長産業化に向けてのステップです。ただ、少し心配なところが。

(成長産業化された林業への国の支援は?)

日本では森林造成に手厚い助成制度が組み立てられています。

それでは、成長産業となった林業の基盤整備に対応できるのでしょうか(補助金規律と新興国の産業支援措置)? 林業が成長産業になる過程で、その生産基盤に補助金を出すことは可能なんでしょう(幼稚産業保護論)。ただ、成長産業とされ、そこから生産された木材が輸出される可能性があることを念頭に置くと、結構大きなハードルがあるように思います。

現在、米中経済摩擦の焦点の一つが中国政府の産業補助金であり、米EUも含めた議論が広がっています(日米欧が合意、WTO産業補助金禁止の拡大目指す)。

森林の環境保全便益との関係なども含めて、議論をしておく必要があるのかと思います。

kokusai6-54<FDIBook>  


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新型コロナヴイルスと森林(2)(2020/5/15)

このページでは「新型コロナウイルスと森林」に関するニュースを拾っていきます。

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COVID-19フロントラインにいる森林保護の関係者は、EUのグローバルな対応を支援する準備ができている(5月12日)
FOREST DEFENDERS ON THE COVID-19 FRONTLINE STAND READY TO ASSIST THE GLOBAL EU RESPONSE

「COVID-19の最前線にいる森林保護の関係者は、世界的なEUの対応を支援する準備ができています」
気候、環境、社会正義、持続可能な開発の問題に取り組むFERNと15のEU NGOが集まり、パートナー国に対するEUの支援を歓迎すると表明した。地域社会、脆弱なグループ、およびパートナー国のパンデミックの最前線にいる人々を支援するNGOの声明では、EUのグローバルな対応にグリーンディールの強化を求め、対応のすべての段階で連帯、透明性、包括性、公平性を求めている。重要なのは、対象地域のNGOパートナーがいつでも支援できるである

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科学者は生物多様性の破壊とCOVID-19アウトブレイクの関連性を指摘(5月12日)(Fern news)
SCIENTISTS POINT TO THE LINKS BETWEEN DESTRUCTION OF BIODIVERSITY AND COVID-19 OUTBREAK

欧州議会の国際貿易(INTA)委員会の2020年4月21日の会議で、貿易委員長のフィルホーガンは、生物多様性の喪失とコロナウイルスの関連性が明らかになっていないので、世界保健機関(WHO)にこのウイルスを引き起こす原因の分析をする、またはウイルスの発生に関連する事実を提供するよう依頼するとした。この声明をうけ、多くの科学者やジャーナリストが既存の情報源について書簡を送った。以下を参照 Fern’s blog, The Guardian (also here), Le Monde, IPBES, the Journal of the Royal Society, and more historically, Nature (2008 and 2017), and the Haut Conseil de la Santé Publique 2011

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新型コロナのパンデミック:動物が消失した「空白の森林」に対して自然はいかなる対処をするか(4月17日)FORESTS NEWS CIFOR
COVID-19 pandemic: How nature steps in to refill ‘empty forests’ when animals disappear

「樹木で満たされたかに見える森林にだまされて、すべてが健全していると信じてはならない」。ケントレッドフォードが30年前に「空白の森林」The Empty Forestという論説をBioScince誌に掲載し、それまでの通念に批判を加えた。今日、COVID-19のパンデミックとその野生動物および森林破壊との関係についての議論の中で、彼の画期的な論説は、新たな意味を意味をもっている。CIFORでは、ウイルスと森林との間の研究は、そのような感染を可能にする条件を調査している。
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新型コロナウイルス:なぜ、我々の森林を保全することが次のパンデミックの防御になるのか?(5月9日)CNA
COVID-19: Why saving our forests can help stop the next pandemic

「COVID-19の正確な原因はまだ解明されていないが、すべての感染症の58%を占める人畜共通感染の起源は明らかである。人畜共通感染症の3分の2以上が野生動物に由来することが知られている。人畜共通感染ウイルスの波及は、私たちが認識するよりも一般的であり、かつてない速さで起こっている。」カリフォルニア大学デービス校の疫学と生態系の健康の教授であるクリスティン・ジョンソンは語った

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先月案内した以下の結果が公表されています(英語ですが)ウェビナー:新型コロナウイルス、野生肉にとっての意味(4月16日18時(日本時間)から1時間)CIFOR

soundcloud←こちらから
Webinar:COVID-19 and what it means for wild meat16 April 2020 16.00-17.00 GMT+7

動物から人間への病気の蔓延(人畜共通感染症とも呼ばれる)は、現在のパンデミックに照らして公衆衛生上の懸念事項です。現在世界100か国以上に広がっているCOVID-19も、中国の武漢の市場で販売されているセンザンコウまたはコウモリに由来すると考えられています。

パンデミックを抑制するための取り組みが加速するにつれて、多くの自然保護論者は、野生動物の狩猟と消費を禁止する中国の動きを歓迎しています。それでも、現実はそれほど単純ではありません。先住民または農村のコミュニティは、唯一のタンパク質源として野生の肉を消費することが多いため、禁止により、何百万人もの森林居住者が食料不安のリスクにさらされる可能性があります。

この課題にどのように対処しますか?この複雑な現実の調整点を見つけることができますか?

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junkan9-2<cov&fore2>


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今求められる木の建築・活動は?ー木の建築賞2019の審査結果(2020/5/15)

15回を迎える木の建築賞の審査結果が公表されました。私自身が審査委員を務める大切なイベント。

木をつかった建築物の表彰は、木材利用優良施設コンクール(主催木材利用推進中央協議会)、ウッドデザイン賞(主催運営事務局、林野庁補助事業)など広がっています。総理大臣賞、いろいろな大臣賞・・・素晴らしいことですが、これらは木材業界や林野庁など、どちらかちうと川上が主導するコンクールです。

これに対して木に建築賞は、木の建築フォーラム(「自然環境との共生を図りつつ、質の高い生活文化の再構築を目指」(設立趣意書)という川下の問題意識が主導した建築賞です。

発表の結果は以下のとおり。もう少し詳しい情報は関係サイト掲載しています。詳細はそちらにお任せして、私が現地審査に行ったところを中心に紹介。

 
◆木の建築大賞
茂木町まちなか文化交流館 ふみの森もてぎ/内田文雄(株式会社龍環境計画)

栃木県茂木町。歴史的な町並みの中心部に残る洒造蔵を展示集会施設に転用し、図書館を附設した地域の文化複合施設。、町布林を伐採して得られた中径木をいかし、12x24cmのスギ材でできる構造として、アーチとカテナリーの糾み合わせによる構造を開発し、16mの大きなスパンを架け渡している。

町有林の木材を使うためにあらかじめこから得られる木材の径級を確認して構造設計に反映し、碁本設計終後に必要な木材を算出、調達した。
◆選考委員特別賞・メンバーズチョイス賞
東急池上線旗の台駅/鈴木靖(株式会社アトリエユニゾン)
◆選考委員特別賞
堯舜国際初等部/中村勉(株式会社中村勉総合計画事務所
浦和明の星女子中学・高等学校カフェテリア棟/加地則之(清水建設株式会社)
◆木の活動賞
天竜杉大径木活用プロジェクト/石牧真志(有限会社石牧建築)

人工林の高齢化にともない出材する木材の径級が大型化している国産材のよさを、どう活かすか?他の地域より10年ほど進んだ高齢林をかかえる浜松市天竜林業地の木材を、製材過程で丸太の芯を中心にした木取りでなく、芯去り割り角の横架材をつくれば化粧材にもなる。こういう地元工務店の提案が出発点のとなったのが、天竜大径木活用プロジェクトである。

建築関係者が山の事情を考えにいれて、川上の製材事業者とコミュニケーションをとって地域の木材の流れを少し変える、「木の建築賞(木の活動賞)」に相応しい、全国の課題を先取りした活動だ。製材業が大型化・効率化しグローバルマーケットに立ち向かう「大きな林業」と、地域の森林の事情に応じた地域の知恵を出し合って立ち向かう「小さな林業」が注目される。このプロジェクトは「小さな林業」の好例だ。

その他に、この工務店の建設資材は、ほぼ100パーセントが上流域の森林由来のFSC認証木材、それも天然乾燥材なので、循環木材の利用と⽊材の⽣産流通過程のGHG排出量という地球環境問題からの切り⼝でも他の類をみないだろう。
そんな切り口も訴求材料にして、今後、木の活動が、さらに厚みをまし、地域の他の関係者を取り込んだ広がりになっていくことを期待する。(藤原の講評)
◆木の建築賞(ムクファースト崇秀記念賞)
梅郷礼拝堂/加藤詞史(株式会社加藤建築設計事務所)
◆木の建築賞(キノチカラ建築賞)
わらしべの里共同保育所/古川泰司(アトリエフルカワ一級建築士事務所)

樹種の違いを体で確かめる(保育園のわらしべ会理事長長谷川さんのお話)

新しい園舎での保育が始まって子どもたちは、最初の1日か2日は誰も中にはいろうとしませんでした(笑)。前の園舎の床はヒノキでこちらはスギ。スギの扱い方が感覚的にわからなかったんだと思います。なので、外で過ごしていましたが、3日目になってようやくちょろちょろ出入りだしました。子どもってこんなに感性豊かで、木の性質まで見抜くのかと恐れ入りました。

殆ど全員が片足をヒノキに、もう片方はスギに置き、たったまま動かない・・・違いを確かめているんですよ・・・。

面白かったです
◆木の建築賞(モリノチカラ建築賞)
Shell House/The language of forest/遠野未来(遠野未来建築事務所)
◆木の建築賞(木の住宅賞)
山泰荘/日影良孝(日影良孝建築アトリエ)
◆木の建築賞<2作品>
・柳小路 南角/三井嶺(三井嶺建築設計事務所)
・面白法人カヤック様社屋新築工事/谷尻誠(SUPPOSE DESIGN OFFICE)

今年は東北地方のようです。

kokunai3-58<15kinokentikusyo>

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 新型コロナがもたらす新しいローカルズムとはー勉強部屋ニュース249編集ばなし(2020/4/15)

ウッドマイルズフォーラムの次の段階は?建築関係者や森林経済のアカデミアの関係者、過去の行政の関係者などと意見交換する機会があります。テレビ会議も経験。

木材業界のグローバル化への対応が功を奏したという面がある半面、令和の時代の山づくりはどうなるのか?新グローバル化のネガティブな面に対する、新ローカリズムとはどんな形をしたものか?

産地形成、産直住宅など森林サイドのローカリズム論にはどっぷり浸っていた経験があるのですが、住宅は当然個人の私的所有物だが地域の資産でもある・・建築関係者のローカリズム論。そして、職住分離の効率性を追求する新グローバリズムの行き着いた先が摩天楼だが、新型コロナがもたらす職住接近がもたらす新ローカリズムがもたらすまちづくりとは?・・・

建築の新しいローカズムと森林の新ローカリズムを取り持つウッドマイルズのゆくえ?・・・となるかどうか解りませんがなんとなく、楽しみです。

次号以降の予告、地域の建築と小さな林業の全国ネットワークー新しいウッドマイルズの可能性、コロナショックにどう立ち向かうのか?顔の見える木材での快適空間づくりー事業の進展状況(続き)、成長産業化地域と令和の山づくり、森林外交論続き、グリーンインフラ論と森林、勉強部屋の20年

konosaito<hensyukouki>

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最後までお読みいただきありがとうございました。

藤原敬 fujiwara@t.nifty.jp