ニュースレター No.164 2013年4月29日発行 (発行部数:1170部)

このレターは、「持続可能な森林経営のための勉強部屋」というHPの改訂にそっておおむね月に一回作成しています。

情報提供して いただいた方、配信の希望を寄せられた方、読んでいただきたいとこちら考えて いる方に配信しています。御意見をいただければ幸いです。 
                                                    藤原

2012en
目次
1 フロントページ:姿を現した木材利用ポイント制度((2013/4/29)
2. 世界森林白書SOFO2012年報告 第10作目となるFAO森林白書(2013/4/30)
3. 日本の林業と木材産業の焦点ー北米の林産物貿易研究機関のニュースレターから(2013/3/30)

フロントページ:姿を現した木材利用ポイント制度(2013/4/29)

2012年度の国の補正予算で「地域材を活用した木造住宅の新築、内装・外装の木質化、木材製品等の購入の際に、木材利用ポイントを付与し、地域の農林水産物等との交換等を行う木材利用ポイント事業」(3/8記者発表資料)が生まれることとなり、3月29日に木材利用ポイント事業の詳細について、という報道発表資料を公表しました。

木造住宅の新築で30万円相当、木材利用ポイント事業が開始(4/3日経)

木材利用ポイント事務局のHPが立ち上がり、このページで最新情報が掲載されることとなっています。内容紹介とともに、住宅施工業者の登録、木材利用業者の登録など、7月からはじまるといわれているポイント申請に向けて手続きがはじまっていることがわかります。

公開された情報に基づいて、木材利用ポイント制度がなにを目指しているのか検討してみます。

 (ポイント付与の対象となる木材

木材利用ポイントといっても、木材ならなんでもポイント付与の対象となるものではありません。

木材利用ポイントの付与対象のは、①認定登録された登録工事業者が行った、②対象工法による工事につかわれた③主要構造材(柱・梁・桁・土台)及び間柱で、面積に応じて一定量以上量以上使われた④対象地域材とされています。(3/28報道発表資料)

(登録業者に求められるもの)

登録工事事業者の条件は、「地域の関係者との連携」がポイントで、① 地域材について、自ら積極的に利用するとともに、利用の意義・良さを広く周知すること、② 農山漁村地域の活性化のために事業活動を行うとともに、自らの地域活性化への貢献度合について情報発信すること、についての誓約とあります。(木造住宅又は内装・外装木質化の工事を行う事業者の認定申請について)

(対象工法)

住宅の施工や材の調達・加工等を通じ、農山漁村地域の雇用、経済に対して大きな波及効果を与えることが明らかな工法(対象工法について)

(対象地域材)

(1)と(2)の基準を満たすもの

(1)次の①から③までのいずれかに該当するもの
① 都道府県により産地が証明される制度又はこれと同程度の内容を有する制度により認証される木材・木材製品
② 森林経営の持続性や環境保全への配慮などについて、民間の第三者機関により認証された森林から産出される木材・木材製品
③ 「木材・木材製品の合法性、持続可能性の証明のためのガイドライン」(平成18年2月・林野庁)に基づき合法性が証明される木材・木材製品

(2)資源量が増加しているものであって、事業目的に照らし適切と認め、あらかじめ定める樹種のほか、基金管理委員会が、林野庁と協議の上、資源量が増加しているものであって、事業目的に照らし適切と認め、指定したものであること

以上が林野庁の報道資料にあるポイント付与の対象となる木材の条件です

業者の登録や工法の指定などを通じて、対象地域材というキーワードが浮かんできます。

対象地域材の定義をみるとが、①一定のトレーサビリティ、②資源量が増加、③農山漁村地域の経済に対する波及効果、三つがポイントとなっています。

木材利用ポイントのような、特定の商品購入を誘導するための直接税金を投入と、いう手段が永続するとは考えられない(26年度に続くことはあるかもしれませんが)ので、木材利用ポイントは消費者に対する行政側の直接のメッセージということが重要なポイントです。

樹種ごとの資源量といったことが突然でてきて、少しわかりにくいですが、丁寧な解説が必要ですね。

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世界森林白書SOFO2012年報告 第10作目となるFAO森林白書(2013/4/29)

 

既報のとおり、昨2012年9月にFAO林業委員会が開催され、世界林業白書State of the World's Forests 2012(英文)公表されました。

1995年からほぼ2年に一回出版されてきたもので、地球上の森林全体とその管理の現状について、問題提起をしてきました。

この報告書は1995年以来第10作目になるため、いままでの概要が掲載されていますその和訳を別途のページに掲載します

2012年のサマリーを翻訳したので掲載します

世界森林白書

2012年度「世界森林白書」では森林の持続可能な生産と消費のシステムに焦点を当てることとした。その道しるべとなる第10版では、今日の世界を形づくるうえで森林・林業が果たしてきた重要な役割を理解するためには、過去を振り返るのが適切であろう。

第1章:世界の森林状況:第10版まで
この白書は森林・林業分野では最も重要なFAOの出版物の第10版である。1995年に初版が出版されて以来、白書を通じて世界の森林、林産物、生態サービス及び森林政策の状態と移り変わりを知ることができる。
この章では、10版までの各版において言及された重要な問題を、簡単に概観した上で、この時期における主要な世界の動向に焦点を当てる。
1990年代、世界の国々では森林政策に関する幾つかの深刻な対立が生じていた。1992年にブラジルのリオ・デ・ジャネイロで開かれた地球サミットでこの相違がはっきりと明らかになった。各国が地球の森林条約を巡って対立したのである。この対立の解消への努力の一端として、1995年に、森林に関する政府間パネルとともに国際的な森林政策の対話が立ち上がり、それに続いて森林に関する政府間フォーラム、そして2000年から国連森林フォーラムが開かれた。「世界森林白書」はこれらの成果を追っている。
今日、持続可能な森林管理は世界の森林を管理する上で極めて重要な原則として、広く知られている。「世界森林白書」では国、地域、地球全体といったレベルにおける持続可能な森林管理の進行状況の報告を重ねている。
その他に、この白書は森林が現代のグローバル経済と世界環境に重要な役割を持つことに焦点を当てて主要な経済傾向を分析している。

第2章森林と現代社会の進化
人間の歴史は森林とその利用の歴史である。森林は有史以来、人類社会に主要な燃料、建築資材を提供し続けている。しかしながら、森林資源を持続的に管理してきた社会は、ほとんど存在しない。人間の文明の歴史とは、自分の生活水準を向上させるために人類が森林資源を利用してきた歴史であるのと同時に、森林の破壊の歴史であるともいえる。
この章では、森林の歴史を人類が誕生した時代から振り返る。実際、世界のどの国においても森林は経済発展を支える主要な物質であった。しかし、時代の変遷に伴い、人口増加や経済発展によって森林が減少していった。一般的には、急激な森林減少は、常に大きな経済成長を伴っている。幸いなことに、国の経済発展が一定の水準に達した後に一般的には森林率が次第に安定し、増加する傾向もみてとれるようになった。長期的な視点でみると楽観的な理由もみられる。
人口が増加していくにつれて、国・地域ごとに森林は異なる変化、発展を示している。この章ではこうした発展について追求し、森林が人に与える影響及び人が森林に与える影響という二つの面を考慮していく。
森林の科学と実践はこの数世紀にわたって大きな発展を遂げた。森林が行った人類の啓発への最も大きな貢献の一つが、持続の概念である。この300年にわたって、木材生産の確保を前提とした森林保護からグローバルな範囲で持続可能な発展に対する更なる理解にまで、この概念が広がっている。

第3章 持続可能な未来に向ける森林・林業・林産品
ここ20年の環境と開発に関する国際連合会議をみると、世界経済の1年間での消費と生産が24兆ドルから70兆ドルまで増大している。この経済発展は、主に発展途上国によるものである。しかしながら、このようなかつてない発展は資源の持続性の犠牲のもとでなされ、その結果、不平等な利益分配が生じている。
天然資源の継続的な減少に基づく経済発展は、持続可能ではないという認識が益々高まってきている。このため、発展を促す新しい方法を考えることが必要とされ、農林業はこうした転換において益々重要な役割を担うであろう。大量に消費される生産物が光合成に基づくことに伴い、経済が環境保全へと進むことになるだろう。要するに、植物が食料として収穫される際、次のサイクルにおいてより多くの食料を生み出すために新しい穀物へと置き換わっていく。この原則は森林にも適用できる。持続可能な未来を追及するならば、エネルギーを含む生産システムは持続可能な過程、特に光合成に基づかなければならない。
多く人々が、森林はグリーン経済に役立つと理解しているが、その役割が持続可能な社会の唯一絶対の選択肢であると認識している人は多くはない。森林が存在しなければ、世界の生態系は崩壊する。しかし、木質エネルギーを含む再生可能エネルギーの広範囲な利用を促進すれば、世界経済が無限に持続できる。
森林は人類に再生可能エネルギーを含む資源を提供する。世界経済の持続には、持続可能な森林経営として広く一般に知られている土地利用の原則、政策及び慣例を全世界に広げなければならない。また、再造林すれば、大気中の純二酸化炭素量が減少するであろう。
この章では、重要であるがしばしば無視されがちな経済発展、特に、木製家具、木彫、手細工及び他の小規模または中規模の事業といった木材の利用に着目する。木質に関連する事業への投資の増大は、新たな雇用を生み出し、実際の耐久性のある財産をつくり、農村における貧困を緩和させる。広い範囲で見ても、このグリーン経済というアプローチ(低炭素、資源効率と社会的な包括)は、現在のグローバル経済の下で不利な箇所に新たな可能性を広げる。また、新興国の農山村の人々に非常に多くの機会をもたらす。
この章は持続可能な将来のために、4つの広い戦略とともに締めくくっている。
Ÿ 造林と生態系サービスへの投資
Ÿ 森林に関連する中小企業と男女共同参画の促進
Ÿ 木質エネルギーの利用、木製品の再利用とリサイクル
Ÿ コミュニケーションの促進と発展の協調 

chikyu4-16<sofo2012>


日本の林業と木材産業の焦点ー北米の林産物貿易研究機関のニュースレターから(2013/3/30)

米国シアトルのワシントン大学林産物貿易研究センターCINTRAFOR(Center for International Trade of Forest Products)が四半期に一回ニュースレターを送付してきます。

日本の森林木材政策を米国の輸出市場における影響という観点か関心を示しているところは、このサイトでも紹介してきました(気になる日本の国産材振興策ー北米の林産物貿易研究機関のニュースレターから)が、最新号は日本の森林政策についての特集となっています。

まだウェブ上に掲載されていないようなので、こちらに置いておきます。
CINTRAFOR NEWS winte/rspring2013

A Focus on Japanese Forestry & Wood Manufacturing Sector と題するDirectors Notesに続いてJapan's Forest Resource と題する6ページわたる長文の解説記事が掲載されています。

Directors Notesは、「日本は世界で3番目に大きな米国の木材の輸出市場であり、、日本における国産材をシェアを増やすあらゆる政策が、米国の西海岸の経済的に打撃を受けている木材産業に悪影響を与えるだろう」指摘し、①長期優良住宅支援策、②住宅エコポイント、③公共建築物木材利用促進法、④森林林業再生プラン、③木質バイオマス電力固定価格買いとり制度、の5つの施策を取り上げています。

Directors Notesには、今後、木材産業と住宅産業の紹介、国内補助金の日本市場への米材輸出への影響と三部作になるとの予告ついています。

 
 森林林業再生プランの解説表

米国の西海岸の木材企業の利害関係に基づいた記事、といってはそれまでですが、木材利用ポイントも含めて、グローバルな視野にたった施策展開が求められると思います。

boueki9-3<CINTRAnews2013winsp>



最後までお読みいただきありがとうございました。

藤原敬 fujiwara@t.nifty.jp