ニュースレター No.143 2011年7月10日発行 (発行部数:1224部)

このレターは、「持続可能な森林経営のための勉強部屋」というHPの改訂にそっておおむね月に一回作成しています。

情報提供して いただいた方、配信の希望を寄せられた方、読んでいただきたいとこちら考えて いる方に配信しています。御意見をいただければ幸いです。 
                                                    藤原

目次
1 フロントページ:欧州森林条約の策定へー日本の再生プランとの関係(2011/7/10)
2.. 世界と日本の森林認証の現状20112011/7/3)
3. 森林・林業基本計画案への意見(2011/7/2)

フロントページ:欧州森林条約の策定へー日本の再生プランとの関係(2011/7/10)

第六回目となる欧州森林保護閣僚会議(Ministerial Conference on the Protection of Forests in Europe)が6月14日から16日までノルウェイ・オスロ市で開催され、@法的拘束力のある森林条約の締結交渉開始を決定しOslo Ministerial Mandate for Negotiating a Legally Binding Agreement on Forests in Europe
、A欧州森林オスロ閣僚2020年計画Oslo Ministerial Decision: European Forests 2020 を決議しました。

IISDによるMinisterial Conference on the Protection of Forests in Europeの記録(英文)

1990年にフランス・ストラスブールで第一回が開催されたこの会議は、1993年第二回ヘルシンキ会合で欧州持続可能な森林管理のためのガイドラインなどを決議し、その後ヘルシンキプロセスといわれる温帯地域の森林管理のの方向を主導する重要な役割を果たしてきました。(小HPの解説)。

欧州のこれらの動向が重要なのは、日本と同様の温帯地域の森林管理の基準作りが、国と国との約束事として決定されていくので大変オープンな形でその過程が公開されていくことです。

平行して我が国では森林・林業再生プランが具体化されつつあり、森林法改正、森林林業基本計画の改定、森林法改定に関する政令省令の改正作業などが行われていますが、日本の作業と欧州の作業がどんな関係にあるのか注目すべきポイントかと思います。

欧州側が進んでいて日本がかけている点、逆に日本側が進んでいて欧州側がカバーしていない点。

2020年計画の技術内容のトップに来ているビジョンの部分を紹介しましょう。

VISION FOR FORESTS IN EUROPE
17. SHARE the following vision:

To shape a future where all European forests are vital, productive and multifunctional. Where forests contribute effectively to sustainable development, through ensuring human well-being, a healthy environment and economic development in Europe and across the globe. Where the forests’ unique potential to support a green economy, livelihoods, climate change mitigation, biodiversity conservation, enhancing water quality and combating desertification is realised to the benefit of society;
欧州森林のビジョン
17以下のビジョンを共有する


すべての欧州の森林が活力があり生産的で多面的な機能を果たす将来を目指す。
そこにおいて、欧州の森林は、人間の福祉の確保、健全な環境、経済の発展を通じて欧州ひいてはグローバルな持続可能な発展に効果的に資する。グリーンエコノミー、人々の生計、気候変動の緩和、生物多様性の保全、水質保全、砂漠化の防止に貢献する森林の独特の潜在力を、社会の利益として実現する。
(小サイト訳)

日本の森林・林業基本法でビジョンに当たる第二条は以下の通りです

(Fulfillment of the Multifunctional Roles of Fo rests)
Article 2
1 Recognizing that sustaining the various functions of forests, including the conservation of land and water resources and the natural environment, the protection of public health, the prevention of global warming, the provision of forest products, and other functions (hereinafter referred to collectively as the “multifunctional roles of forests”), is indispensable for maintaining stability in the quality of life and the national economy , forests shall be properly managed and conserved for the future.
2 Recognizing the importance of stable forestry production in rural areas,in the context of measures for proper forest management and conservation, adequate consideration shall be given to rural development, including the promotio n o f stable communities in these areas
(小サイト訳)
(森林の有する多面的機能の発揮)
第二条  森林については、その有する国土の保全、水源のかん養、自然環境の保全、公衆の保健、地球温暖化の防止、林産物の供給等の多面にわたる機能(以下「森林の有する多面的機能」という。)が持続的に発揮されることが国民生活及び国民経済の安定に欠くことのできないものであることにかんがみ、将来にわたつて、その適正な整備及び保全が図られなければならない。
2  森林の適正な整備及び保全を図るに当たつては、山村において林業生産活動が継続的に行われることが重要であることにかんがみ、定住の促進等による山村の振興が図られるよう配慮されなければならない。

達成すべき森林の機能についての記述内容がほぼ同様になっているとうことは、地球サミット以降持続可能な森林管理のコンセプトが各国で共有されてきた重要な到達点です。

自分の地域の森林の管理をグローバルな貢献ととらえているところが、欧州の文書にあって日本の文書にないちょっと残念な点でしょうか。

他方で施策段階で日本が進んでいるのは、エコマテリアルである木材の利用推進という部分。この点が欧州での今後の条約策定作業の中でどのように取り扱われていくのか、日本の経験を欧州が生かしてほしい点です。(森林・林業再生プランの国際的視点

グローバル化した経済・環境問題、木材貿易に対応して森林政策もグローバル化が必要、というのが小サイトの立場ですが、その目標である法的拘束力のある森林条約に向けて、欧州地域の森林条約が第一歩となるのか注目されます。

chikyu1-21<EuroLBA>


世界と日本の森林認証の現状20112011/7/3)

小HP、その時点で入手できる情報を元に第三者により森林経営を認証された森林面積を調べて公表しています(過去のもの)。2011年4月時点でのデータを整理してみました。
 

  地域

全森林

 

 

 

 

 

 

認証森林

 

 

2010

2011年

 

 

1000ha

1000ha

1000ha

全面積比

前回比

 

 

@

A

B

アフリカ

635412

5530 7327 1.15 1.32

アジア

571615

9339 10133 1.77 1.08

 

内日本

24868

1090 1239 4.98 1.14

欧州

1001394

111119 131122 13.09 1.18

中北米

705849

198547 201695 28.57 1.02

南米

831540

12832 16026 1.93 1.25

オセアニア

206254

7358 12077 5.86 1.64

合計

3952063

344726 378381 9.57 1.10

出所含めたエクセルファイルはこちらから

sinrin1-16<genjo2011e>



森林・林業基本計画案への意見(2011/7/2)

6月1日から林野庁が求めていた「森林・林業基本計画に関する意見・情報の募集について、小サイトとしても意見を提出しました。意見の対象となる案


以下のとおり意見を提出しますので宜しくお取りはからい下さい

7ページ2行目
「木材及び木質バイオマスの利用拡大による二酸化炭素の排出削減に向けた取組を推進する。」を
「木材及び木質バイオマスの利用拡大による二酸化炭素の排出削減、二酸化炭素ストック拡大に向けた取組を推進する。」に変更
木材の二酸化炭素固定機能を評価しこれを木材利用拡大の根拠とすることが重要な視点であるため

7ページ19行目
「一方、人工林中心に増加する森林資源を有効に活用しその他面的機能の発揮をはかっているためには、」を
「一方、二酸化炭素の固定化をすすめ、人工林中心に増加する森林資源を有効に活用しその他面的機能の発揮をはかっているためには、」に変更
同上

21ページ9行目
「木材及び木質バイオマスの利用による二酸化炭素の排出削減の取組等を総合的に推進する。」を
「木材及び木質バイオマスの利用による二酸化炭素の排出削減の取組および二酸化炭素固定化拡大等を総合的に推進する。」に変更
(同上)

21ページ12行目
「国産材の環境貢献度を評価・表示する「見える化」を推進する。」を
「木材製品の環境貢献度を評価・表示する「見える化」を推進する。」に変更
31ページなどの表現とあわせる

31ページ9行目以下
(4)消費者等の理解の醸成の項目
「さらに、適切な伐採により生産された木材・木材製品に合法性証明・伐採地等を表示することにより、消費者による合法木材・木材製品の選択を促進する。」を
「さらに、適切な伐採により生産された木材・木材製品に合法性証明木材すなわち持続可能な木材の証明を表示することにより、消費者による合法木材さらには持続可能な木材製品の選択を促進する。
今回の森林法改正および関連規程の改正により「日本国内で合法性が証明された木材は持続可能な木材である」というロジックを明確にした上で、合法木材の証明システムを新たに持続可能な木材の証明システムにステップアップさせるという戦略が必要なのでないか

以上

kokunai1-11<kihonnkei201106>


最後までお読みいただきありがとうございました。

藤原敬 fujiwara@t.nifty.jp