ニュースレター No.141 2011年5月30日発行 (発行部数:1224部)

このレターは、「持続可能な森林経営のための勉強部屋」というHPの改訂にそっておおむね月に一回作成しています。

情報提供して いただいた方、配信の希望を寄せられた方、読んでいただきたいとこちら考えて いる方に配信しています。御意見をいただければ幸いです。 
                                                    藤原

目次
1 フロントページ:可決成立した森林法改正(2011/5/30)
2. 公表された木材・木材製品のカーボンフットプリント算定基準(PCR)続き2(2011/5/30)
3. 気候変動に関する政府間パネル(IPCC)再生エネルギー源に関する報告(2011/5/30)
4. 改訂された住生活基本計画の中の木材(2011/5/30)

フロントページ:可決成立した改正森林法(2011/5/30)

4月16日参議院本会議で森林法の一部を改正する法案(修正案)が可決され、成立しました。

衆議院での審議段階で政府案は修正され、新たに森林の土地の所有者となった者の届け出義務(第10条の7の2)、などの条文が追加になり、参議院で審議の結果付帯決議をつけて全会一致で可決成立したものです。

審議途中での東日本大震災がありましたが、震災への対応の上でも森林法の改正が必要という方向で審議が進んだようです。

現在のところ、まとまった情報がウェブ上で掲載されていないようなので、ウェブ上の情報と一部本サイトの独自情報を掲載しておきます。

改正森林法新旧対照表(PDF版html版
森林法の一部を改正する法律の概要(林野庁)林政審議会への提出資料
提出時法案(衆議院HP)修正案(同)
衆議院の付帯決議(本HP)
参議院の付帯決議(参議院HP)

国会審議過程

項目 内容議事録へのリンク
衆議院議案受理年月日 平成23年 3月 1日
衆議院付託年月日/衆議院付託委員会 平成23年 3月22日/農林水産委員会趣旨説明
衆議院審査終了年月日/衆議院審査結果 平成23年 3月30日/農林水産委員会法案審議修正
衆議院審議終了年月日/衆議院審議結果 平成23年 3月31日/衆議院本会議修正
参議院予備審査議案受理年月日 平成23年 3月 1日
参議院議案受理年月日 平成23年 3月31日
参議院付託年月日/参議院付託委員会 平成23年 4月11日/農林水産委員会趣旨説明(12日)
参議院審査終了年月日/参議院審査結果 平成23年 4月14日/農林水産委員会法案審可決
参議院審議終了年月日/参議院審議結果 平成23年 4月15日/参議院本本会議可決
公布年月日/法律番号 平成23年 4月22日/ 20

今回の改正は、「森林・林業再生プランを法制面で具体化するもの」との趣旨説明がされていますが、@所有者が不明の場合を含む適正な森林施業を確保すること(第50条2項、3項)、A無届け伐採が行われた場合の造林命令、伐採中止命令を発出できることとしたこと(第10条の9第4項)、B森林所有者が作成する森林施業計画を森林経営計画に改め計画事項・認定手続きの改善をはかり(第11条1−3項)認定要件を拡大したこと(同5項)、C森林の土地所有者となった旨の届出義務が規定されたこと(第10条の7の2第1項)などがポイントです。

特に森林計画制度については、みなとモデル二酸化炭素認定制度の協定木材に認定過程や、カーボンオフセットの認定基準など都会側の環境政策の執行手続きで引用される動きになっておりその執行に関心が高まる方向です。

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公表された木材・木材製品のカーボンフットプリント算定基準(PCR)その(2011/5/30)

3月下旬に公表された木材・木材製品のカーボンフットプリント算定基準(PCR)の解説をしています。
承前

(カーボンフットプリントの最初の段階は原料調達段階)

PCR本文の7原材料調達段階の「7-1データ収集範囲に含まれるプロセス」には以下の記載があります。

原材料調達段階で対象とするプロセスは次の通り。なお、次のプロセスはこのPCR で対象とする製品の原材料調達段階を網羅したものであるので、当該製品のカーボンフットプリント算定にあたっては、次のプロセスから実際に利用しているプロセスを選択し、それに沿ってデータ収集を行うこと。
@「丸太」の生産および輸送に係るプロセス
A「ラミナ」、「単板」、「チップ」の生産および輸送に係るプロセス
B「未利用間伐材等」、「残廃材」、「廃木材」の調達および輸送に係るプロセス
C「接着剤原料」か「接着剤」の製造および輸送に係るプロセス
D「保存処理薬剤原料」の製造および輸送に係るプロセ
E「その他の原材料・資材」の製造および輸送に係るプロセスス

付属書Aライフサイクルフロー図のA1製材によると、原材料は丸太とその他の資材原料と記載されていますので上記のうち製材の場合は@とEが対象となります。製材生産工程で丸太以外の原材料といえば製品に印字する場合のインクなどでしょうか。あらゆる可能性を排除しないで記載しておくという姿勢が表れているといっていいでしょう。説明省略します。基本的には@を考えていけがよいはずです。
次に、本文「7-2データの収集範囲」には以下の記載があります

次の項目のうちから、前項で選択されたプロセスに係るデータ収集を行うこと。
@「丸太」の生産および輸送に係るプロセス
・「丸太」の生産および輸送に係るGHG 排出量
E「その他の原材料・資材」の製造および輸送に係るプロセス
・「その他の原材料・資材」の製造および輸送に係るGHG 排出量

丸太の生産と輸送について、上記A1製材のライフサイクルフロー図の原材料調達過程では丸太という製品になる前のプロセスすなわち「丸太の生産」では「林地での路網整備、間伐、主伐、集材」と記載されています。
原料となる丸太が生産される過程のGHG(温室効果ガス)の排出量のデータ収集を行うことが指示されます。
さらに、本文「7-3一次データ収集項目」には以下の記載があります。

このPCRの原材料調達段階において、次のプロセスについては一次データを収集すること。
@「丸太」の生産および輸送に係るプロセス
・「丸太」の輸送に係るGHG 排出量

生産と輸送の二つのうち、輸送については「算定する事業者が自らの責任で収集する」一次データだとされており、逆に丸太の生産過程で発生するGHG「自ら収集することが困難で共通データや文献データ、LCAの実施例から引用するデータのみによって収集される」(二次データ)でもでよいことが示唆されています。

この丸太の製造過程の二次データはCFP施行事業事務局のHPに「カーボンフットプリント制度試行事業CO2換算量原単位データベース(暫定版)ver. 3」が以下の表が掲載されています。

公開用
整理番号
種類 分類 名称 単位 GHG排出量
[kg-CO2e/単位]
原単位の範囲
302001 製品 林業 丸太(原木) m3 9.75 (種)〜育成〜伐採〜輸送
302002 製品 林業 すぎ m3 11.6 (種)〜育成〜伐採〜輸送
302003 製品 林業 ひのき m3 12.6 (種)〜育成〜伐採〜輸送
302004 製品 林業 あかまつ・くろまつ m3 3.19 (種)〜育成〜伐採〜輸送
302005 製品 林業 からまつ m3 3.37 (種)〜育成〜伐採〜輸送
http://www.cfp-japan.jp/calculate/verify/data.html

この数字の根拠は以下の通りとされています。
"農林水産省,“平成12年度林業経営統計”,(2002)
総務省,“平成12年(2000年)産業連関表”, (2004)
農薬工業会,“平成12農薬年度出荷実績表”,入手先<http://www.jcpa.or.jp/data/index.html>,(2000)
温室効果ガスインベントリオフィス:“日本国温室効果ガスインベントリ報告書”(2009)(2010)
農林水産省,“平成12年農業物価統計”,(2002)
環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部:“産業廃棄物排出・処理状況調査報告書/平成12年度実績”,(2003)

上記の情報源は、山の作業内容についての排出量を測定したデータではなさそうなので、産業連関表にもとづいたおおざっぱな計算がされているのだと思います。(つづく)

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気候変動に関する政府間パネル(IPCC)再生エネルギー源に関する報告(2011/5/30)

気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第33回総会及び第11回第3作業部会(気候変動の緩和策に関する科学的知見を担当する部会)総会が、5月5日から13日にかけて、アラブ首長国連邦・アブダビにおいて開催されました。

第3作業部会(WG3)総会で承認された「再生エネルギー源と気候変動緩和に関する特別報告書」(Special Report on Renewable Energy Sources and Climate Change Mitigation :SRREN)及びSRREN技術要約(Technical Summary :TS)」は今後のマクロな最盛可能エネルギーの方向性を示していて重要です。

環境省のHPに和訳をふくめた詳しい概要がわかるようになっています。

気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第11回第3作業部会及び第33回総会結果概要[PDF 104KB]
IPCC再生可能エネルギー源と気候変動緩和に関する特別報告書について[PDF 259KB]
IPCC第3作業部会再生可能エネルギー源と気候変動緩和に関する特別報告書(SRREN)概要[PDF 9,117KB]

2030年、2050年の段階でのバイオマスエネルギーに対する期待が以下に高いのかがわかります。(概要44ページなど)


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改訂された住生活基本計画の中の木材(2011/5/30)

2006年6月に施行された住生活基本法)に基づき、06年度から15年度までの10年間を計画期間とした住生活基本計画(全国計画)が作成されていましたが、おおむね5年後に見直しという¥方針に沿って新たな「住生活基本計画(全国計画)(計画期間11年度から20年)が閣議決定致しました。

住生活基本計画(全国計画)の概要
住生活基本計画(全国計画)
住生活基本法
社会資本整備審議会意見聴取及び意見
参考資料
変更前の住生活基本計画(全国計画)はこちら

目標3 多様な居住ニーズが適切に実現される住宅市場の環境整備」「A 将来にわたり活用される良質なストックの形成」の中に以下のような記述があります。

この計画には、「木造住宅に対する国民の高いニーズを踏まえ、木材が安定的に供給されるための加工・流通体制の整備等を推進するとともに、木造住宅の設計者、技能者等の育成、部材・工法等の技術開発、伝統的な技術の継承・発展、生産体制の整備等により将来にわたり活用される木造住宅の供給を促進する。」

前計画では「地域材を活用した木造住宅の生産体制の整備等を推進する。」となっていましたが、木材の加工流通体制にまで踏み込んだ内容となっています。 

kokunai6-25(juseikatuplan)



最後までお読みいただきありがとうございました。

藤原敬 fujiwara@t.nifty.jp