公表された木材・木材製品のカーボンフットプリント算定基準(PCR)(2011/4/30)

 

商品の原料調達製造使用などの過程の温室効果ガスを表示するカーボンフットプリントの算定ルールが商品ごとに公表されてきていますが、3月下旬に木材に関するPCRが二つ公表されました。(こちらCFP事務局認定PCR一覧のページ)

対象製品  [ ]内は日本標準商品分類の番号
木材・木質材料 55 PA-CC-01 2011年03月30日 製材(121)、加圧式保存処理木材(125)、集成材(1242)、合板(123)、単板積層材(12431)、パーティクルボード(1244)、繊維板(135)、
木材製品 56 PA-CD-01 2011年03月30日 フローリング[126]、木製及び竹製容器[255] 、芸術及び装飾品(銀製、銀めっき及び同類似金属製品を除く)[855]、その他の住生活用品
[85]、調理用具[771]、食卓用ナイフ、フォーク、スプーン、はし及び同付属品[776]、食卓用品[779]、台所用ハンガー及び同類似製品[853]


私も木材・木質材料(PA-CC-01)の策定過程に関わりましたが、木材学会を母体にしたNOP才の木が農工大の服部先生を中心に業界関係者の意見を聞きながら原案を作成し、昨年9月に認定申請し1月に第9 回PCR 認定委員会で認定され公表されたものです。

すべての産業横並びの「商品種別算定基準(PCR:Product Category Rule)策定基準」など(CFP関連規程一覧参照)に応じながら、多様な木材産業の現場に適用できるよう、できるだけわかりやすく、という大変な苦労をしてできた成果品です。

だだし、いろんな製品のを一つのマニュアルで記載しているのではっきりいってわかりづらいです。

製材業者(A製材所)が自らの製品に正規のカーボンフットプリントを明示しようとする場合を例にとって、木材・木質材料の算定基準をみてみましょう。

(全体概要)

どの製品も同じですが、カーボンフットプリントは原料調達過程、製造過程、流通過程、資料・維持管理過程、廃棄リサイクル過程の5つに分けて計算しますが、製材の場合は以下の通りです。

プロセス データ収集項目 備考
原料調達段階 丸太の生産 温室効果ガス(以下GHG)排出量
丸太の輸送 GHG排出量 シナリオに基づく二次データあり
製造段階 製材の製造(製材、工場内輸送、乾燥) 丸太の投入量、電力・燃料の投入量、残廃材等の排出量、製材の生産輸送に係るGHG排出量 一次データの収集が必要
流通段階 製品の輸送 製品の輸送重量、製品の輸送に係るGHG排出量 シナリオに基づく二次データあり
使用・維持管理段階 住宅などで利用 不要 使用段階ではGHGが発生しないので算出しない
廃棄リサイクル段階 使用済みの木材の処理施設への輸送
使用済みの木材の分別処理など
それぞれにかかるGHG排出量 シナリオに基づく二次データあり

一次データとは「算定する事業者が自らの責任で収集するもの」(策定基準)、二次データは「自ら収集することが困難で共通データや文献データ、LCAの実施例から引用するデータのみによって収集されるもの」(同)とされています。

A製材所が自社のデータを一次データとして集めなければならないのは製材、乾燥の過程だということがわかりますが、他の過程についても共通データ(別表に記載されてある)を使うために若干の準備が必要となります。

(つづく)

kokunai4-28<PCRmokuzai>

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