ニュースレター No.1192009年7月19日発行 (発行部数:1300部)

このレターは、「持続可能な森林経営のための勉強部屋」というHPの改訂にそっておおむね月に一回作成しています。

情報提供して いただいた方、配信の希望を寄せられた方、読んでいただきたいとこちら考えて いる方に配信しています。御意見をいただければ幸いです。 
                                                    藤原

目次
1 フロントページ:G8首脳会合ラクイラサミットと森林問題(2009/7/13)
2. ウッドマイルズ研究会の6年間(2009/7/20)
3. 第2段階となる違法伐採問題の取組ー違法伐採総合対策推進協議会の提言書の内容と背景(2009/7/13)
4. 森林バイオマス関連のカーボンビジネス支援と山村再生支援センター(2009/7/13)
5.

アジア森林パートナーシップ第八回会合(2009/6/13)


フロントページ:主要8カ国首脳会議ラクイラサミットと森林問題(2009/7/13)

35回目を迎えたサミット(主要国首脳会議)は、7月8日(水)~10日(金)までイタリア半島中部の観光地ラクイラで開催されました。

その内容は各種の宣言文として取りまとめましたが、その中心となる「主要国首脳宣言:持続可能な未来に向けた責任あるリーダーシップ」の中の森林問題に関する記述は以下のとおりです。

G8首脳宣言:持続可能な未来に向けた責任あるリーダーシップ>持続可能な天然資源の利用:気候変動、クリーン・エネルギー、技術>森林及び土地劣化

78.森林減少が年間二酸化炭素排出量の約20%を占めること、及び森林が生物多様性の不可欠な集積庫であり多くの人々の生活及び権利にとって鍵となることを認識し、我々は、森林減少及び森林劣化からの排出量の削減を目指すこと及び、持続可能な森林管理を世界的に更に促進することに引き続き関与し続ける。我々は:

a) 特に開発途上国による森林減少及び森林劣化を削減する行動を通じた排出量削減を促進するため、積極的なインセンティブの策定を支援する。これらの措置が目に見える成果を中期的にしかもたらさないことを考慮し、森林減少の原動力に対し迅速に対処する早期行動イニシアティブを取ることも極めて重要であり、我々はこの観点から革新的な手段を特定するために、森林減少・劣化に由来する温室効果ガスの排出削減のための国連プログラム森林炭素パートナーシップ基金(FCPF)、及び森林減少・劣化に由来する排出の削減のための暫定資金の非公式ワーキンググループ(IWG-IFR)(勉強部屋注)といったイニシアティブを通じることも含め、協力する;

b) バリ行動計画に規定されたように、保全の役割、森林の持続可能な管理及び森林炭素貯留量の強化を含め、森林減少及び森林劣化による排出量を削減する努力を引き続き支持する。我々は引き続きREDDを支持し、気候変動に関する将来の世界的な合意の中に資金メカニズムを含めることを検討する;

c) UNFCCCと他の国際的な森林関連プロセスとの間の協力及び相乗効果の利用を奨励し、政府、先住民及び地域社会、市民社会グループ及び民間部門を含めた関連するプレーヤーと協働して策定された国家戦略を促進する;

d) 違法伐採及び違法に伐採された木材の貿易と闘うために、国際的合意の下の我々の義務に従い、森林法の執行とガバナンス(FLEG)プロセス勉強部屋注世界銀行のページ)の下のものを含め、我々の以前のコミットメント及び行動を基礎とし、パートナー国との協力を強化する。

我々は、透明な木材市場及び合法かつ持続可能に生産された木材の流通・貿易を促進する意図を再確認する。この点に関し、我々は、適切な場合には、2008年のG8森林専門家違法伐採報告書によって提示された選択肢のとりあえずのリストの具体的な行動で、フォローアップを行う;

e) 森林資源の利用、森林火災の予防と管理、及び病害虫及び病気の監視を含めた持続可能な森林管理のための国際的な協力及び情報交換を強化する。

(外務省仮訳を基に一部小HP改訳、リンクは小HPの責任です)
(注)外務省の訳は「適法かつ持続可能に生産された材木(!)の貿易を促進する」となっていますが、原文はpromote trade in legal and sustaainably produced timberとなっていて、trade には国家間の交易を意味する貿易のみならず国内流通を含む言葉なので「木材の流通・貿易」としています。
G8首脳宣言:持続可能な未来に向けた責任あるリーダーシップ全文(外務省仮訳原文英文
外務省のラクイラサミット公式ページ
主催国イタリアのサミット公式ページ

12月の気候変動枠組み条約COP15を控えて、途上国の森林管理の強化とそれに先進国がどのように資金的支援をしていくかということが重要な課題となっています。地球サミットで森林条約が議論になって以来の途上国の森林管理責任とそれにコミットする先進国の資金拠出という難しい課題がどのような決着になるか重要なポイントです。

その他に、さらりと記載された「透明な木材市場及び合法かつ持続可能に生産された木材の流通・貿易を促進する意図を再確認」(注)という言葉ですが、これを保証するには、持続可能に生産された木材を市場で識別し、その流通を促進するという手だてが取られる必要があるという結構大きな課題です。

そのためには、①持続可能な生産のチェック体制と、②その情報をできるだけ効率的に消費者に伝達する手法、そして③その利用にメリットを与え推進する施策の3つが必要となってきます。

この全ての点について、違法伐採総合対策推進協議会の提言書がふれています。ご一読下さい

chikyu2-5<G8_2009>

ウッドマイルズ研究会の6年間(2009/7/20)

6月27日ウッドマイルズ研究会の本年度の総会とセミナーが都内で開催されました。

ウッドマイルズフォーラム2009~木材の環境指標の連携・統合を目指して
ウッドマイルズ研究会2009年度総会

(ウッドマイルズ研究会を巡る社会情勢)

6年前に「木材の「人と地球に優しい」という属性を、消費者が自信を持って選択するための手助けとして、また、我が国の大量消費社会の矛盾を示す尺度として、木材の産地から消費地までの距離(ウッドマイルズ)についての様々な情報を提供」し、「循環型社会の構築を目指した普及・啓発活動を行っていきたい」(以上ウッドマイルズ研究会設立趣意書より)として岐阜県で産声をあげた研究会ですが、その後の地球環境問題の認識の広がりと、「環境負荷の見える化」が政策課題になる中で、研究会を巡る社会情勢が大きく変化していると思います。

このことは、研究会の会員数の推移にも現れています。


(ウッドマイルズ今後の課題)

ウッドマイルズは主として「消費者の自主的な選択のための「見える化」の道具」として、建築関係者に関心を持って頂いてきました。最近の入会の増をになっているのも算出技術者研修などを通じた建築関係者です。

ただ、排出量取引、温室効果ガスの吸収源としてのカーボンストックの評価進んでくると、国内クレジッ算出時のウッドマイルズCO2とか、カーボンストック税制での木材の履歴など、政策実現のツールとしての役割が今後でてくると思います。

また、「木材に関する環境指標の普及及び統合」という地球環境基金助成事業の二年目となります。森林認証、合法木材、フットプリント、LCA、フェアウッドなどさまざまな動きの木材の環境負荷を横断したコミュニケーションも研究会の課題となります。

ご期待下さい。

energy2-57<WMF09tokyo>


第2段階となる違法伐採問題の取組ー違法伐採総合対策推進協議会の提言書の内容と背景(2009/6/20)

日本林業経営者協会(会長速水亨 速水林業社長)の機関誌 杣径(そまみち)の編集部からの依頼で、標記の論考を投稿しました。編集部の了解を得て掲載します。全文pdfファイル

以下要旨

第二段階となる違法伐採問題の取組み
違法伐採総合対策推進協議会の提言書の内容と背景
林経協季報「杣径」2009年6月13号掲載

社団法人全国木材組合連合会藤原敬

1 はじめに

国際的な違法伐採問題に対処するため、2006(平成18)年度から日本政府はグリーン購入法により「合法性、持続可能性の証明された木材」(以下合法木材という)を優先的に購入することとなり、木材業界は合法木材の供給体制を整備するため林野庁の補助事業である違法伐採総合対策事業に取組んできた。所定の3年間が経過し同事業が終了するにあたり、同事業の管理のために設立された違法伐採総合対策推進協議会(大熊幹章東京大学名誉教授座長)は「木材・木材製品の合法性、持続可能性の証明方法に関する提言」(以下提言書という)を作成し公表した。筆者は同事業の実施主体である社団法人全国木材組合連合会(以下全木連という)において、その実施と提言書の作成に関わってきたが、提言書が示唆する同事業の将来は、今後の日本の林業の将来にとっても重要な内容を含んでいると考えている。本稿では提言書の内容を紹介するとともに、今後の事業の展開について私見(あくまで私見であり組織の見解でない)を述べ、ご理解をえたい。

2 合法木材の供給体制と提言書の骨子

グリーン購入法のために林野庁が作成した「木材・木材製品の合法性・持続可能性の証明のためのガイドライン」(以下ガイドラインという)は、90年代以降FSC・PEFCなどの森林認証システムが開発してきた信頼性の連鎖(Chain of Custody, CoC)のシステムを踏襲しており、合法性、持続可能性が証明した材あるいはそれを原料とした製品を、業界団体が合法木材供給事業者として認定した事業体が発行する証明書の連鎖により引きついて行こうというものである。2009年3月現在、136の団体が7500社近い企業を合法木材供給事業者として認定している。
この間の検討経緯は「合法木材ナビ」上に公開されている が、2008年6月から本格的な検討を行うための小委員会が設置され、①合法性、持続可能性の証明方法について、②需要者側への、証明制度と証明された木材・木材製品の利用推進方策について、③供給者側への、証明制度の定着と証明された木材・木材製品の安定供給方策について、の3点にわたって検討された。

3 合法性等の証明方法


4.提言書のその他の論点


5.終わりに
  
以上が提言書の全体像である。認定された事業体は7千5百社とっても木材の加工流通をになう3-4分の1程度であり、証明された材と言っても全体の数パーセントにしか過ぎない。認定システムの力量が市場や消費者から本格的に評価されるのは今後のことであると理解をしている。
今後、地球環境問題がますます社会的な重要性を増し、木材についても、温暖化ガスの吸収源、化石資源を代替する再生可能な資源といった側面がますます注目されることになるだろう。その時に、合法性のみならず、生産過程の森林における環境特性を消費者に伝達する機能が極めて重要になる。また、このことを徹底的に無用な負担を排除して効率的に実施するということが緊要である。このようなことを考えたとき、業界団体の社会的機能を利用した業界団体認定というガイドラインの規定は重要な問題提起であり、そのことは「Gohowoodの取組」として、国際的な広がりを持つ可能性を秘めているものである。
また、違法伐採問題は、世界の森林の管理の質を、合法性証明品という形で消費者が具体的に問題にし始めたということであり、その意味では、よその国のことではなく、伐採造林届けの受理過程、森林施業計画の認定基準や認定過程など、日本の森林管理の質にも関係する課題である(参照日本の林業にとっての違法伐採問題ー消費者とともに森林のことを考える機会に_)。
森林、林業、木材産業に携わる多くの方が、合法性持続可能性の情報を伝達する過程を自らの課題と考え、このシステムのステップアップのための作業に参画されるように期待したい。

boueki4-40<somamiti>

森林バイオマス関係のカーボンビジネス支援と山村再生支援センター(2009/7/13)

森林バイオマス等の山村資源を活用して排出量取引やカーボン・オフセット等の取組を進めることにより、低炭素社会の実現と山村の再生を図るため、「社会的協働による山村再生対策構築事業」が始まりましたが、実施事業体により、山村再生支援センターが開設されました。

昨年から始まった排出量取引の国内クレジット、カーボンオフセットなどカーボンビジネスを森林や木材業界が使いこなしていく上でのサポート役として期待されます。

山村再生支援センターHP 企業と山村をつなぐ 山村ナビから、国内クレジット創出、オフセット・クレジット(J-VER)創出支援のページ

kokunai4-20<sansonnavi>


アジア森林パートナーシップ第八回会合会合(2009/7/13)

5月27日(水曜日)~5月29日(金曜日)の間、インドネシア共和国バリにおいて、違法伐採対策の推進を含む、アジア地域の森林の持続可能な経営の推進を目的とした「アジア森林パートナーシップ(AFP)第8回会合」が、違法伐採及びそのREDD(途上国における森林減少・劣化に由来する排出の削減)への影響をテーマに開催されました。

林野庁プレスリリース
会合に関する公式なHP(CIFOR 英文)

事務局が用意した討議資料、「責任あるそして合法的な林業の観点から見たREEDの検討」には森林認証と違法伐採対策の経験をREDDの議論に生かしていくべきだと論じています。
REDD, Green or White? Exploring REDD from the perspective of responsible and legal forestry

AFPの概要について外務省ページ
本HPの過去の会合に関するページ

chikyu5-3<afp8>

最後までお読みいただきありがとうございました。

藤原敬 fujiwara@t.nifty.jp