ニュースレター No.059 2004年7月12日発行 (発行部数:1050部)

このレターは、「持続可能な森林経営のための勉強部屋」というHPの改訂にそっておおむね月に一回作成しています。

情報提供して いただいた方、配信の希望を寄せられた方、読んでいただきたいとこちら考えて いる方に配信しています。御意見をいただければ幸いです。 
                                                    藤原

目次
1.
フロントページ:森林資源現況調査と日本の森林の潜在供給力(2004/7/12)
2 檮原町森林組合、「立ち上がる農山漁村プロジェクト」(2004/7/12)
3. ウッドマイルズ研究会京都セミナー(2004/7/12)
4. 気候変動枠組条約第20回補助機関会合(2004/7/12)
5. エコマーク事務局からの返答(2004/7/12)

フロントページ:森林資源現況調査と日本の森林の潜在供給力(2004/7/12)
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7月12日のグリーン購入ネットワークセミナーの準備過程で、昨年林野庁が公表した、「森林資源現況調査結果」に基づき、日本の森林の供給力の可能性を検討してみました。

1 1990年(平成2年)から2002年(平成14年)までの11年間の森林蓄積の増加分に、その間の伐採量を加えた量1247百万m3 が森林が生み出したネットの成長量と考えられる。

2 蓄積を減らさずに利用可能な年間の木質バイオマス量1247百万m3 /11=116百万m3/である。

3 京都議定書の約束通りに蓄積を増やしながら利用可能な木質バイオマス量 116-α百万m3/

αは約65百万m3程度(13百万炭素トン相当)となるので、以上の検討の結果、日本の森林が生産するバイオマスの内利用可能量は毎年約50百万m3ということになります。

今後循環資源である木材を多く利用すると、京都議定書の約束を守れないということになり、結構京都議定書で約束したαという数値は大きいということがわかります。成長量の約半分を吸収源として供出するという枠組みといえます。

このような問題は、伐採即排出という京都議定書の矛盾が表れています。つまり、伐採しても長期間利用することによって二酸化炭素を固定することになれば排出とは考えないような仕組みが考えられればα分を山においておく必要はなくなるわけです。早く伐採後の木材の森林吸収源としての役割が議定書の中で評価される必要があります。小サイト内 ポスト京都議定書の吸収源対策にむけてー秋の学会から(2003/10/14)参照。

参考資料:森林資源現況調査結果の概要について(速報値)

なお、環境省のプロジェクト「木質系バイオマス・エネルギーの利用技術及び供給可能量の評価に関する研究」の終了報告書に、「我が国における木質系バイオマス資源のポテンシャリティ評価」が公開されています。

こちらの方は、通常使う木材以外の未利用資源のエネルギー資源への活用の可能性を量的に把握するというもので、森林の成長量から森林計画で伐採が禁止されている部分をのぞくなどの作業をしています。、最近の木材利用が沈滞している状況の中では、25.2百万トンの木質バイオマス資源を燃料に回すことが出来る(2000年の日本の一次エネルギー消費量の2.3%)としています。

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檮原町森林組合「立ち上がる農山漁村プロジェクト」に選定(2004/7/12)

政府の食料・農業・農村政策推進本部は6月14日、「立ち上がる農山漁村」有識者会議(座長=林良博・東京大学副学長)を開き、自律的で経営感覚豊かな農山漁村づくりの先駆的事例である「立ち上がる農山漁村」を選定しましたが、全国の30の事例の中に、「FSC森林認証と風力発電による山村づくり」というタイトルで檮原町森林組合が選ばれました。

選定概要書(全文こちらpdf)の地域活性化のポイントには以下のような記述がされています。

梼原町森林組合はFSCの森林認証の取得を受け、持続可能な森林経営を行うため、成長量に見合う分だけの伐採や水源かん養、国土保全等森林の有する多面的機能の高度発揮に資するための行動指針を作成し、従業員や組合員の環境に対する意識の高揚につなげるとともに、FSCの認証材を使用したデスクトップ整理棚の通信販売関係の雑誌に掲載し、大きな反響を呼んだ。

具体的には森林認証取得以前には毎年約3〜10%ずつ低下し続けていた売上げが森林認証取得後は約3%の増加に転じ、V字回復を成し遂げた(13年度177百万円→14年度183百万円。)

また、自然の恵みを活かして地域と環境の再生に取組むために設置した風力発電施設では、年間3千万円を超える利益が生じており、これを森林整備費(環境基金)として森林所有者が行う間伐に対し、1ha当たり10万円の助成を行っている。


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ウッドマイルズ研究会京都セミナー(2004/7/12)

ウッドマイルズ研究会の初めての試みとして、7月下旬に主として行政関係の方々を対象としたセミナーを実施することになりました。

「木材の地産地消の推進とウッドマイルズ 」というタイトルが示すように、ウッドマイルズの考え方を地域材利用推進のなかにどのように活かしてゆくかという点に焦点をあてたものです。

概論から、新作のソフトの使い方、LCAの考え方、各地の地域材利用推進の取り組みなど一泊二日でたっぷりと勉強しようというものです。全国の地域材利用推進に関心を持っていらっしゃる方の参加を呼びかけています。

【日時】 平成 16 年 7 月 26 日(月)  13 : 30 〜 16 : 45
       平成 16 年 7 月 27 日(火)  9 : 00〜12 : 00

【会場】 京都府西別館 4階C・D会議室            
   (京都市上京区出水通油小路東入丁子風呂町 104-2 )

詳しくはこちらへ

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京都議定書報告様式を提示ー気候変動枠組条約第20回補助機関会合(2004/7/13)

条約ができて10周年を記念する第10回締約国会合(COP10)がブエノスアイレスで今年の12月に予定されていますが、そのの技術的な準備をする位置づけで標記会合が6月16日から25日、ボンで開催されました。

全体の概要と政府としての評価(→外務省HP)

京都議定書第一約束機関の森林管理等に関する報告様式の詳細が提示されるなど、重要な会議でした。森林吸収源に関係あるのは、以下の通りです

1 吸収源の算定手法(IPCC良好手法指針関連) (条約事務局HP関係決議
 京都議定書に基づく吸収源目録の算定・報告の手法に関し、COP10において決定すべく、昨年IPCCが採択した吸収源の良好手法指針(LULUCF-GPG)を踏まえた詳細な報告様式が作成されました(条約事務局HP関係文書)。また、第二約束機関での重要は論点となる、「伐採後の木材の評価」に関し、8月にノルウェイのリレハンメルで開催されるワークショップの議題を確定しました。

2 小規模吸収源CDM
 COP9で決定した吸収源CDMの方法論等を踏まえ、小規模吸収源CDMの手続きの簡素化等について議論が行われ、COP10での採択に向けSBSTA21で引き続き議論するこになりました。
(詳しい内容は林野庁HP 気候変動枠組条約第20回補助機関会合(SBSTA20)における小規模吸収源CDMの議論の概要−小規模吸収源CDMの手続等の簡素化−

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エコマーク事務局からの返答(2004/7/12)

木材製品についてのエコマーク認定基準の改訂作業がされ、小サイトとしてもパブリックコメントに応募していました。エコマークと木材(2/15)エコマーク木材のパブリックコメント(/5/16)参照

その検討結果と改訂された基準が7月1日付けで公開されています。(エコマーク商品類型No.115 間伐材、再・未利用木材などを使用した製品Version2.0 pdfファイル

意見提出者は小生もいれて6人で、「再生プラスチックなどにエコマークが付き、持続可能に管理された無垢の木材にエコマークが付けられないのは片手落ち」といった認証材を基準に組み入れるべきという意見が出されています。

これらの認証問題についての提起もウッドマイルズについての議論も含めて基本的には今後の検討事項という整理になっています。

前回もふれましたが、グリーン購入についてのガイドラインに、以下のように認証材についての基準が入ってきたことは重要なポイントだと思います。

低位利用木材という概念が導入され、間伐材以外の新規収穫材が、@小径木であること、A認証森林であることという条件でエコマークの認定対象となりました。

認証森林については以下のような基準の認証システムであることが定義されています。我が国認証システムの議論に一石を投じることになるものと思います。

 

原案

改定後

認証の基準について

・経済的、生態学的かつ社会的利益のバランスを保ち、リオ宣言の森林原則、アジェンダ21、森林原則声明および関連する国際協定や条約を遵守したものであること。

・経済的、生態学的かつ社会的利益のバランスを保ち、アジェンダ21および森林原則声明に同意し、関連する国際協定や条約を遵守したものであること。

・確実な要求事項を含み、持続可能な森林にむけて促進し方向付けられているものであること。

・確実な要求事項を含み、持続可能な森林にむけて促進し方向付けられているものであること。 

・全国的あるいは国際的に認知されたものであり、また生態学的、経済的かつ社会的な利害関係者が参加可能な開かれたプロセスの一部として推奨されていること。

・全国的あるいは国際的に認知されたものであり、また生態学的、経済的かつ社会的な利害関係者が参加可能な開かれたプロセスの一部として推奨されていること。

認証システムについて

・認証システムは、透明性が高く、幅広く全国的あるいは国際的な信頼性を保ち、要求事項を検証することが可能であること。

・認証システムは、透明性が高く、幅広く全国的あるいは国際的な信頼性を保ち、要求事項を検証することが可能であること。

認証組織・団体について

・公平で信頼性が高いものであること。要求事項が満たされていることを検証することが可能で、その結果について伝え、要求事項の実行を支援するものであること。

・公平で信頼性が高いものであること。要求事項が満たされていることを検証することが可能で、その結果について伝え、効果的に要求事項を実行することが可能なものであること。


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最後までお読みいただきありがとうございました。

藤原敬 fujiwara@t.nifty.jp