エコマークと木材(2004/2/15)<3-13>


我が国の緑の消費運動を担ってきたエコマーク
日本環境協会)の木製品についての基準の改訂作業にが行われていて、パブリックコメントが求められています。(こちらから→環境協会HP2004/3認定基準の動き

「元々エコマテリアルである木製品について、その一部を環境に優しいといって認定すること自体がおかしいことである」という議論もありますが、森林林業関係者が環境にこだわりを持つ消費者とコミュニケーションする機会ですので、積極的にパブリックコメントに応じて意見を言うべきだ、というのが私の考えです。

5年前の1999年に作成された現在運用中の「廃木材・間伐材・小径材などを使用した木製品」(エコマーク商品類型No.115pdfファイル)と今回の基準案「間伐材、再・未利用木材などを使用した製品」(pdfファイル)の関係を図にまとめてみました。

廃木材・建築解体材・リサイクル材と林地残材、小径木(末口径14cm未満)の間伐材に限られていた基準を
ア)間伐材は中大径木まで広げたことE、
イ)間伐材以外は認証材の小径材という二つの縛りをかけて広げたことB、
など、認証基準を緩和したということのようです。

今回公開された文書は、認定基準そのものも重要ですが、審議の過程、関連する技術的な記述内容など大変興味深いものです。ご一読を勧めます。

また、エコマーク事務局色々問い合わせましたが、懇切丁寧な説明をしてくれました。事務局提供の資料を掲載します(pdfファイル→主要な見直し箇所の概要比較表

(エコマテリアルとしての木材)

基本的な視点として、木材関係者としては、「エコマテリアルの木材がなぜ@ACなど全てエコマークにならないか」という、点に立ち返ってエコマークの仕組みをみてみるという作業が必要があると思います。

この点についてエコマーク事務局色々問い合わせ議論をしてみました。

結局は、グリーン購入法の時の議論と同じなのですが、原則として、エコマークの認定基準については、「同様の機能特性を持つ製品の中で、商品のライフサイクルを通じての負荷が相対的に少ないレベル」を目標として策定することとなっていて、基本的に「木とプラスチック」「木と金属」など材料間での比較を行うようにはなっていない、というのが現状のようです。

事務局の立場に立つと、「際限のない産業間の争いに巻き込まれたくない」ということなのでしょうが、その辺に木材業界が立ち向かって行くには「材料間での比較を行った確固たるLCAデータ」の整備がもっと必要なのかもしれません。

とはいえ、この点を基調としたしっかりとしたパブリックコメントがなされて、どんなことが今後の論点になるのか「類型基準制定委員会」の公式な見解を明らかにしてもらうことが将来のためにも重要かと思います。

(認証材の定義)

今回の基準案で重要なのは、「認証材」という概念が基準の中に取り入れられてことです。

今回の基準の中の認証材についての以下の記述は、よく検討された内容で、今後のこの種の「認証を評価する基準」として重要なテキストになると思います。

※別表1用語の定義に規定する森林認証について

認証の基準について

・経済的、生態学的かつ社会的利益のバランスを保ち、リオ宣言の森林原則、アジェンダ21、森林原則声明および関連する国際協定や条約を遵守したものであること。

・確実な要求事項を含み、持続可能な森林にむけて促進し方向付けられているものであること。

・全国的あるいは国際的に認知されたものであり、また生態学的、経済的かつ社会的な利害関係者が参加可能な開かれたプロセスの一部として推奨されていること。

認証システムについて

・認証システムは、透明性が高く、幅広く全国的あるいは国際的な信頼性を保ち、要求事項を検証することが可能であること。

認証組織・団体について

・公平で信頼性が高いものであること。要求事項が満たされていることを検証することが可能で、その結果について伝え、要求事項の実行を支援するものであること。


いくつかの認証制度のうちどこまでをこの基準のカバーする範囲とするかは一つのポイントになります。「全国的・国際的に認知」というキーワードになっていますが、地域基準や我が国以外の一国基準など様々な認証制度ができてくる可能性があり、どこかで、上記の定性的な記述にてらして判断するプロセスが必要になると思います。

そういう仕組みさえあれば全国的に認知されたものである必要はないかもしれません。

(ウッドマイルズ)

今回の基準案を、最初に知ったのは、エコマーク事務局から、公開されている認定基準案の策定作業の中でウッドマイルズについて議論があり、その経緯が公開文書の中に記載されているということを、教えていただいたということがきっかけです。

基準案の解説という懇切丁寧な資料が公開されており、審議の過程が詳しく記述されています。その中に以下の記載があります。

 ◇C−2 2(地球温暖化影響物質の排出)
本項目では以下の点が検討された。

(1)資材配送に伴うエネルギ消費によるCO2発生量

(1)について、流通経路を短くすること、廃木材などの再利用資源あるいは林地における未利用資源が発生する地域に密着した地域完結型の再利用を図ることが望ましいことなどが議論された。

さらには、わが国における木材消費量の約8割は輸入木材に依存しており、木材の輸送距離と木材の量を乗じたウッドマイルズ(木材の輸送距離×木材の量:km・m3)は木材輸入量トップのアメリカの4倍であることなどがあげられた。

このような現状から、流通経路を短くすることが、流通段階におけるエネルギー消費を削減できる方法であり、輸送経路の距離を基準とすることが議論された。

しかしながら、貿易阻害をきたすような基準を策定することは困難なため、基準項目としては選定されなかった。

なお、日本繊維板工業会においては、国内に限るが、長距離輸送を少なくする努力が行われている。

基準の中にウッドマイルズが入らなかったのは残念なことですが、環境にこだわる消費基準の議論の中に、ウッドマイルズという観点が一つのトピックとして普通に入ってくるようになったということは、心強いことです。

また、認定基準作成時の議論の公開の程度など、大変丁寧なエコマーク事務局の対応は参考になりました。