木材はグリーンか?「グリーン購入法」をめぐって

「グリーン購入法」基本方針のできばえー立派な総論、おかしな各論

昨年の5月に成立したクリーン購入法(国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律、本文ダウンロード概要ポンチ絵ダウンロード)は画期的な法律です。

なにしろ、「環境への負荷の少ない持続的発展が可能な社会の構築」(第一条)を目的に明記しており、環境に易しい資材である木材の利用拡大に努めてきた木材業界にとっては昔年の夢が叶ったといっても過言ではありません。

あとは、基本方針のグリーン物品一覧表(特定著達品目)の中に堂々と木材を書き込むだけ、と言うときに、「木材は環境に易しいという国民的コンセンサスはない」という思いもよらない(?)環境省の意見に直面した、というのが、12月のパブリックコメントの局面でした。

さて、そのグリーン購入法の基本方針(「環境物品等の調達の推進に関する基本方針」)が1月末に決定しました。環境庁のプレスリリースのウェブサイトから入手できます。小生もパブリックコメントをした手前入手して読んでみました。

基本方針には、国や独立行政法人は、従来考慮されていた「価格や品質に加え、環境負荷の低減を考慮して」物品調達をすること、「資源採取から廃棄に到るライフサイクル全体について環境負荷を考慮する」こと、など、素晴らしい内容が記述された「基本方向」と、環境に易しいグリーンの物品(特定調達物品)を定義する別表の各論とに分かれます。

問題なのは、パブリックコメントの論点であった各論の、「間伐材などの木材が使用される」ことがグリーン物品の条件となる「木質文具」、「木質機器(いす・机など)」です。

この部分の記述は最後まで生き残ったようで、「間伐材などの木材」というどう扱ってよいか分からないまま、計画策定の現場に持ち込まれることとなりました。また、パブリックコメント時にはなかった、「公共工事」という項目が加わり、そこにはなんと木材に関するものは「小径丸太材の間伐材(間伐材で有害な腐れ割れ等の欠陥がないこと)」(がグリーン物品である)との記述になっています。

治山・砂防・河川関係の公共工事に木材を使用することは結構浸透してきているところですが、間伐材のみを環境に易しいとしてを特別視する国の方針が出たことは現場に混乱をもたらすことになるのではないでしょうか。

ただし、この計画は常に見直すこととなっていて、また来年に向けて5月頃から検討会が立ち上がるのだそうです(林野庁の担当セクションの話)。木材関係者はよく理論武装をしてリターンマッチに挑む必要があると思います。

一方で、今回の経緯から「木材がすべて環境に易しいとい国民的なコンセンサスはない」と言う指摘が、結構重い現実を踏まえたものであることも明らかになったと思います。このことも忘れないようにしておく必要があるのと思います。
(2001/2/14)


グリーン購入法パブリックコメントについて

国や地方自治体が環境への負荷の低減に資する物品等を調達するのを促進する、という立派な目的を持ったニックネーム「グリーン購入法」(国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律)という法律が今年(2000年)の5月に成立し、来年の4月からの全面施行に向けて準備が行われています。

現在、「環境への負荷の低減に資する物品」とは何かを決める議論が事務局である環境庁と各省の間で行われ、原案が公表され12月15日までにパブリックコメントが求められているところです。

小HPでも展開してきましたが、「基本的に木材は省エネ省資源物品だ(うす緑)。ただし持続可能な森林経営の木材をを区別すればさらによい(濃い緑)」ということだと思います。

先般この問題をめぐって環境庁と接触している木材業界の方と話す機会がありましたが、環境庁は意見は「木材は全部グリーンだという国民的なコンセンサスはない。間伐材やリサイクル材にかぎるべきだ」というもののようです。

その結果公表された原案は「木質の場合にあっては間伐材など木材が使用されているもの」と訳の分からない表現になっていますし、肝心の「建築物」という項目がありません。とりあえず木材はグリーンだと関係者が率直なコメントを寄せるべきだと思います。小生もコメントを提出することとしました。

今まで、木材の環境インパクトについては、製造過程の消費エネルギーがアルミニュームの1/790、鋼材の1/190という九州大学の大熊先生の木材工業誌の論文が引用されていました。

小コメントでは日本建築学会が昨年出版した「建物のLCA指針(案)」という書籍に掲載されている、木造建築と非木造建築を建築する際の単位当たり、消費エネルギー、co2,so2,nox排出量は、どれも前者が後者の約半分というデータが参考になると思います。
(2000/12/11)


関係資料

パブリックコメントに関する情報
環境庁企画調整局環境保全活動推進室あて
○郵送の場合 : 〒100−8975 東京都千代田区霞ヶ関1−2−2
○FAXの場合 : 03−3580−9568
○電子メールの場合 : gpl@eanet.go.j

パブリックコメントの対象となる文書
環境物品等の調達の推進に関する基本方針の概要
グリーン購入法基本方針の特定調達品目及びその判断の基準等(案) [PDFファイル]

その他関連資料
国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律 本文[PDFファイル(15KB)]
グリーン購入法の仕組み [PDFファイル(42KB)]

日本建築学会の公表資料

なお、今回の議論とは少し離れて、環境庁の主張する「木材が全てグリーンというコンセンサスはない」という話は、それとして重要な論点を含んでいます。

海外の違法伐採問題、なかなか、持続可能な森林経営のシグナルが出せない熱帯林、伐採跡地が放置されているケースが増えている国内材など、木材利用推進のネックとなりかねないということではないでしょうか。そういう意味で、「濃い緑」の選別すなわち、森林認証が焦眉の課題になっているといえると思います。

今後、都道府県レベルでの計画の策定(法律上の努力義務)などが始まります。森林の地域認証と県市町村でのグリーン購入計画での認証木材の購入といった小さな認証制度が生まれながらネットワークを広げてゆくという展望が開けてきたのではないでしょうか。


住友林業のグリーン調達

大手住宅メーカーの住友林業が、原木、製材品の調達などに際し、当該産地の当該産地の政府や森林局などの森林法規に基づき施業されている木材を取り扱ってゆくこととした、という報道がされています。

日刊木材新聞7月25日付報道pdfファイルダウンロード


世界で有数の木材消費市場である我が国の市場が、地球環境問題に対してに本格的に情報発信をしてゆく先駆けになることを期待します。