ポスト京都議定書の吸収源対策にむけてー秋の学会から(2003/10/14)(2004/9/10一部改訂)

京都議定書では森林の吸収源としての機能を、森林に蓄積されたCO2の量で量るということにしています。この方法(IPCC暫定法)によると、木材が森林から伐採されて林外に搬出された段階で排出にカウントされることになりますが、収穫されてからも二酸化炭素を固定する木材製品を吸収源として評価する、という作業が将来の取り決めをにらんで行われています

1998年にセネガルで行われた、IPCC,OECD,IEAの「森林伐採および木材製品から排出される二酸化炭素の順は移出量の推計に関する評価手法」Evaluating Approaches for Estimating Net Emissions of CO2 from Forest Harvesting and Wood Products.という会議で、現在のIPCCの暫定法という以外に、大気フロー法、蓄積変化法、生産法の三つが提起されています。(報告書英文

国内での議論があまり進んでいないのですが、環境経済政策学会で国立環境研究所橋本征二さんによる「温室効果ガスインベントリーにおける異なる木製品の炭素勘定方法の政策インプリケーション」と題する報告がありました。
それぞれの、手法を比較する場合、実施可能性、正確性などが基本となりますが、今回の報告は森林政策などにどう影響するかという面に焦点をあてた、分析結果です。(報告概要

この問題の議論がさらに進むことが必要だと思い、私なりの理解で、4つの案についての説明図を作成してました。左側の図で、A国の森林木製品による二酸化炭素吸収量は濃くいろ塗りをした固定量から、同排出量を引いた数値で表させるようにしています。参考にしてください。(作成に当たり、橋本征二さん、森林総研の外崎真理夫さんにアドバイスをいただきました。どうもありがとうございました。
パワーポイントによる原図はこちらから。

IPCC暫定法

森林の中だけの固定(光合成による純吸収量)ー排出(分解と伐採量)で計算される蓄積増を吸収量とカウントする。

問題点
伐採即排出量となる。
木材の中で固定される二酸化炭素の増加分(化石資源からの排出量の2%程度増加していると推定されている)を考慮していない。
大気フロー法

森林が固定した量から、森林で分解したものを差し引き、さらに、木材の分解、消却を差し引く(輸入材の分解焼却も当該国の排出量とカウントされる)計算される蓄積増が、吸収量とカウントされる。

暫定法との相違
暫定法+国産材供給量ー国産材分解焼却量ー輸入材の分解焼却量

問題点:木材を自国で使わずに輸出するインセンティブが働く。
蓄積変化法

森林および、木材製品によって固定されたものから、森林および、木製品によって排出されたものを差し引いて計算される蓄積増を吸収量としてカウント。

暫定法との相違
暫定法+国産材供給量+輸入材供給量ー国産材分解焼却量ー輸入材分解焼却量

問題点:大量に木材を輸入しストックする国がメリットを得るシステム。海外の森林管理の質が明確でない木材の輸入促進、潜在的な森林破壊の助長がなされる可能性。
生産法

森林に固定された量から森林で分解されたものを差し引き、国産材の分解焼却量、輸出材の分解焼却量を差し引く

暫定法との相違
暫定法+国産材供給量ー国産材の分解焼失量(輸出されたものも含む)


問題点:輸出された国産材については輸出先まで追跡し焼失分解時点を把握する必要があり実行上難点がある