民有林の木材供給を補完できる?新しい資本主義との関係は?ー国有林の樹木採取権の今後の方針(2023/3/15)

2月22日林政ジャーナリストの会のイベントで、林野庁国有林野部長の話を聞く機会がありました。演題は「木材利用拡大の方向性と国有林野事業」

前段は、ウッドショックで各森林管理局で、原木需要の増加に対応するため、国有林材の供給に当たり、地域の需給動向を踏まえつつ立木販売物件の前倒し販売等を実施した」といった、国有林の社会への貢献話ですが、後半は樹木採取権の最近の動向について。

(国有林の樹木伐採権)

2019年の国有林野管理経営法で新規に提供をはじめた、木材販売制度の拡大。200-300ヘクタールの樹木伐採区を設定し、数年にわたって木材伐採権を設定し、長期契約をする制度。(レクで提供された制度の概要図左)(ネット上の樹木採取権制度のガイドライン概要というページにも掲載)

ということで、国有林野部長の話をきいて、いろいろ勉強してみた結果をご報告します。

(この制度の発足の背景話など微妙な問題もあるので、すべてが、部長が話した内容でないのでご注意くださいね)

(国有林野管理経営法案の審議過程)

国有林の樹木伐採権というシステムは、「提案された出発点が、公共施設の管理運営する権利を長期にわたって一括して民間企業に長期渡って付与するコンセッション方式などを提唱する未来投資会議の成長戦略だった」こともあり、マスコミでも社説で、反対の論陣をはったりで、話題になり、このページでもフォローしてきました。

国有林の木材利用に関する新たな法律を巡る議論(2019/6/15)

法案の審議過程の衆議院委員会での知人の参考人のチャンスとリスクのコメント(動画がいまでもみることができます)や、知人のマスコミ関係者とのやりとりなど・・・・。ご関心のある方は、ご覧ください。

((いままでの総括と今後の樹木採取権設定に関する方針))

このタイミングで国有林野部長が樹木採取権について話をしたのは、12月27日に「今後の樹木採取権設定に関する方針」という新たな方針を策定したからのようです。

新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画(令和4年6月7日閣議決定)を踏まえ、策定した「今後の樹木採取権設定に関する方針」ネット上に掲載しています

右の図が方針の中身を示した一枚の図。

(樹木採取権の設定状況)

樹木採取権を設定するには、①国が樹木採取区を設定、②事業者を公募、③事業者が応募、④国が審査評価選定をし、⑤権利が設定されるという長いながれになります。

現時点で、2022年に国が伐採区を設定した(1①)10か所の8か所で権利設定(⑤までいった令和4年10月現在)されたようです。2か所は申請がなく再公募でも申請がなかったことから指定を解除する方向)。(右の図の左上)

(市場調査・市場との対話ーマーケットサウンディング)

大規模長期間の伐採区を設定するため市場調査(マーケットサウンディングというんだそうです)を3回やりました。(右の図の左下)

(以下藤原コメントです)この仕組みこそ、未来投資会議 構造改革徹底推進会合 「第4次産業革命」会合竹中 平蔵 会長の以下の発言にあるように大切なプロセスです。

「今年度より運用が始まる樹木採取権制度については、これまでの『未来投資戦略』『成長戦略2019』での決定内容と、大型製材工場が必要とする原木消費量である10 万㎥を地域で安定供給するために必要な国有林野からの供給について、マーケットサウンディングを踏まえて検討し、契約ごとの供給量と契約期間を決定する。」ように(コメント終わり)

今後の需要がどうなるかという点が申請の重要な課題なので、重要なプロセスです。

(今後の方針)

これらの経緯をふまえて、今後以下の3点を踏まえて実施します(右の図の右側)

(1)【基本形の樹木採取区についての取組】 として基本形の樹木採取区の指定手続へのマーケットサウンディングの導入 する。
(2)【大規模・長期間の樹木採取区についての取組】 としてマーケットサウンディングの確認項目の事前公表等、そして
(3)【樹木採取区指定の効果的な運用に向けた工夫】 樹木採取区の複数・同時指定方式の導入等 の方針で行くんだそうです(右の図)

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以上が、部長レクの樹木伐採権に関する内容で、ネット上に公開されれている内容です。

なかなか、難航しているとも言えますが、輸入材が対応してきた大きな安定的需要に変わるものとして、国産材の大きな需要が生まれれてくるのは、はっきりしているし、民有林の森林管理経営権や森林環境譲与税のようなシステムとも連携して、国有林と民有林が一体となったシステム設計を図っていくことが大切なんでしょう。

((新しい資本主義との関係は?))

林野庁のプレスリリースでもいっている「樹木採取権制度と、新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画(令和4年6月7日閣議決定)との関係は?

実行計画を読んでみました。

実行計画の中に「Ⅳ.社会的課題を解決する経済社会システムの構築 6.コンセッション(PPP/PFIを含む)の強化」というセッションがあり、公共施設である空港の事業の民間事業の話が並んでいます。そしてその最後に、「林業分野では、樹木採取権制度に基づき、パイロット的に選定された10か所について、樹木採取権の設定を進める。より大規模・長期間のものも含めた今後の樹木採取権設定に関する具体的方針を本年末までに策定する。」という文言があります。

林野庁がプレスリリースした実施方針は、この指摘に基づいて作成したものなのですね。

国の大事業である国の所有山林のマネジメントに民間活力をという『未来投資戦略』『成長戦略2019』などとの関係も重要視点です。

樹木採取権を、「コンセッションの強化」という視点で、もっと大規模国有林と民有林の連携を視野に入れたものを期待している人たちがいるのですね。

上記のように、コンセッションの記述の横並びは、空港運営の民営化です。みんなが見ていて利用している空港の管理と、国有林野の管理のような短期的評価が難しい事業を横並びでみている「新しい資本主義のグランドデザイン」。

グランドデザインの評価、新しいグランドデザインが必要かも

(この部分は国有林野部長の意見ではありませんので念のため。)

勉強部屋としてもフォローしていきます。

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