今求められる木の建築・活動とはー木の建築賞と木の建築フォーラム(2017/6/28)

5月28日に2016年度第12回の木の建築賞NPO木の建築フォーラム主催)の表彰が行われ、審査員のを仰せつかっていることもあり表彰式と関連イベントに出席しました。

建築作品を顕彰する制度はたくさんあります(日本建築士会連合会賞顕彰 | 事業活動とご報告 | 一般社団法人 日本建築協会日本建築学会各賞)が、建築作品とともに建築の活動を顕彰する試みは魅力的で、持続可能な木材が主役となる社会に向けて、ユーザー側の動向を主導する可能性がある建築設計関係者が木材の調達過程に深く関わる大切な機会として注目してきました。

もちろん、建築賞本来の「人々に快適な場を提供する、建築デザインと空間構成」といった面は欠かせませんが、設計・建設過程を通じて、ユーザーと持続可能な森林を結びつける建築活動という側面について審査過程で議論できるのが楽しみで、過去のページでも紹介してきました。

ネバーギブアップ根羽村の挑戦 (2015/12/20)
南会津地域の縦ログと森林認証の広がり(2016/12/24)

今回の受賞作品の木の活動面を紹介します

 木の建築大賞・メンバーズチョイス賞 112年前の政府指定の米蔵をリノベーションした蔵「作楽

辺見美津男/有限会社辺見美津男設計室) 
丸太買いで製材乾燥しておいた県産唐松の構造材による入れ子櫓を組み入れ、1階床は1寸の唐松、2階床は1寸5分の地松
材工分離発注による、地域の木材関係者との設計段階から連携を図った(プレゼン資料)
 選考委員特別賞    こども園ひがしどおり

村上美奈子)計画工房
地場産材を中心に青森県産材の仕用 ヒバ(保育室) 松・杉(管理棟) 栗(床)
幼児の成長に合わせた木造室内空間
製材を中心とした構造 ・集成材は使わないー立地条件 ・ヒバを構造材として使う
地元職人の育成(プレゼン資料)
 木の活動賞   楢下宿山田屋再生プロジェクト

山畑信博/東北芸術工科大学
 古民家を単に改修するだけだけでなく、古い木造建築の良さを引き出す新たなイメージの空間を創出、利用したイベントを開催して世代間の交流と古民家の良さの周知をはかる。
 やま・もり再生賞    針生ほしっぱの家

芳賀沼整/株式会社はりゅうウッドスタジオ
南会津地域の縦ログと森林認証の広がり
 (CLTの課題を回避する縦ログ構法)
循環型素材である木材の各種の機能的・構造的性能を建築物に満度に引き継ぐというCLTの発想を受け継ぎながら、地元の事業者とローカルな柱どりの伝統的技術でサプライチェーンを完結させる(地域外の加工拠点に遠路運んで戻ってくる必要がない)可能性をもっているのがこの工法のポイント
 木と住まい建築賞   あぶくま更生園

宇野享/株式会社シーラカンスアンドアソシエイツ名古屋/大同大学)
 東日本大震災の原発事故に伴い川内村からの避難施設として建設された、知的障害を持つ入居者の応急仮設施設
一般流通材による住宅スケールの構造が現しの仕上げとなった木の空間が特徴
 集成材建築賞    福島県国見町庁舎

朴明浩/株式会社ジェイアール東日本建築設計事務所
 耐火被覆の木は地場の福島県産材として、地産地消とした。地場産木での耐火被覆は日本で初めての試み
更に地域の産業がより多く参画できるように、床や家具、その他の内装材を県産、町産で構成することで、風評被害のあった福島県の木業界を勇気づけるとともに、町民が親しみをもって利用できる内装とした(プレゼン資料)
木とのふれあい建築賞    道の駅あいづ 湯川・会津坂下

三井所清典/アルセッド建築研究所
 地元の木材を使い、地元の手で作り守ることを大きなテーマに掲げ、木材の年度別分割発注や、一般流通材による木造加工にだわりながら設計と施工が進められた。
木造の可能性を最大限に見せながら、一般材によってくみ上げられた樹状トラスは木の造形としての可能性を示す(講評など)

このイベントは全国を四カ所にわけて4年度一巡、12回目で3巡したことになります。いよいよ4順目!募集が始まっています

 13回 木の建築賞 近畿・中部地区の作品・活動募集

 「いま、求められる木の建築・活動とは」というテーマの解釈は、それぞれの取り組みによって異なります。「建築」であれば、人々に快適な場を提供する、建築デザインと空間構成、環境に対する考え方、それらを支える技術、その建築の持つ社会性などがあげられ、「活動」であれば、森林の育成に結びついた木材の利用、品質向上に関する技術開発とシステムの構築、伝統技術の継承、木の持つ良さを社会にアピールする運動や、活動を通じた社会への貢献などがあげられるかもしれません。「木の建築賞」は、このような観点から木に関心のある人たちに応募を呼びかけ、優秀な建築・活動を顕彰することにより、木造文化の向上に寄与することを目的としています。「いま、求められる木の建築・活動とは」を共に考えませんか。

詳しくは木の建築賞特設WEBサイトへどうぞ

木造建築に関しては、木材関係者の官民の取組として各県の木材業界団体が中心となった木材利用推進中央協議会優良木造事例表彰などと蓄積がありますが、建築関係者が中心になった、木の建築フォーラムの取組は消費者の目線で木材を見つめる貴重な情報発信で、前者と相まって大きな流れとなっていることを期待しています。

kokunai3-53<kinokentiku2016>