木材調達チェックブックたたき台:ウッドマイルズ研究会編(2011/4/30)

木材の輸送距離の見える化についての環境指標を提起してきたウッドマイルズ研究会が「木材調達ハンドブック」の暫定版を公表しました。こちら

研究会の中心メンバーである建築関係者の「木材にまつわる様々な環境指標と品質指標を現場で利用するためのわかりやすい解説書がほしい」という問題意識が、すばらしい行動力で実を結んだものです。

1産地(森林の持続可能性)、2流通(流通経路の透明性・信頼性)、3省エネルギー(木材生産の環境負荷削減)、4基本的な品質(木材の強度・乾燥)、5長寿命(木材の長期利用)という5つのモノサシが設けられています。

5つのモノサシを既往の18指標(下表)を用いた評価手法のいずれかの手法を用いて評価を行い、Aランク(とても優れたレベル)、Bランク(一般よりも優れたレベル)、Cランク(基本的に達成すべきレベル)、Dランク(改善を検討すべきレベル)、Eランク(すぐに改善すべきレベル)という5つのランクのどこに該当するのかをチェックすることで、現状の木材調達のランクを評価できるようになってます。

ものさし 指標
1産地(森林の持続可能性) 既往の森林認証制度、森林施業計画制度、森林の見える木材ガイドなど4つの指標
2流通(流通経路の透明性・信頼性) 森林認証制度によるCoC認証制度、林野庁ガイドラインによる合法木材認証s制度、都道府県産材認証制度、ウッドマイルズ研究会の流通把握度など4つの指標
3省エネルギー(木材生産の環境負荷削減) 乾燥過程のバイオマスエネルギー等への依存度、ウッドマイルズCO2、カーボンフットプリント3つの指標
4基本的な品質(木材の強度・乾燥) JAS、都道府県単位の品質表示制度など4つの指標
5長寿命(木材の長期利用) 古材・リユース材の確認、樹種の確認、保存処理の確認など3つの指標

森林認証からJASまで世の中に出ている木材の性能を表示する仕組みを網羅して、それを大胆な手法で一刀両断に料理しているので、いろいろご意見はあると思いますが、たたき台になることは間違えありません。

興味のある方はウッドマイルズ研究会HPからダウンロードの上、ご一報して頂けるとありがたいです。(→ウッドマイルズ研究会

木材調達ハンドブック はじめにより

森林における温室効果ガス吸収や、木造建築を中心とした炭素固定が地球温暖化防止に有効であるとされている中、林業の低迷や木材自給率の低さ、木材産業や国産材住宅の低迷など、我が国の森林と木材利用の適正な循環を作り出すためには多くの課題があります。国産材や地域材の需要拡大を後押しすべき木材に関する環境指標は、木材の輸送に関する指標(ウッドマイルズ)を始め、持続可能な森林経営の認証から、木材製品のライフサイクルアセスメントの研究結果まで数多く存在しますが、需要拡大の核となる木造建築の設計者や工務店の現場では、多岐に渡りかつ難解な環境指標は、ほとんど使われていません。

一方で、木材利用者の立場である建築業界では、木材の品質確保が重要課題となっていますが、各地各様の国産・地域材には、林産業の低迷も伴い、確固たる品質や安定供給体制が確保できない現実があります。木材に対するJAS基準も存在していますが、JAS製品の流通量は少なく、建築業界の国産材・地域材利用に対する大きな障壁になっています。

ウッドマイルズ研究会では、木材の環境指標の一当事者として、多岐にわたる環境指標を理解し、指標の総合的な利活用の推進を目指して、「木材に関する環境指標の普及及び統合」活動を、平成20年より行ってきました。具体的には、木材に関する様々な環境指標の現状を学ぶためのフォーラム・セミナーの開催や、森林〜木材〜家づくりの連携に焦点を当てた先駆事例の調査等を実施し、多くの議論を重ねてきました。

 活動3年目となる今年度は、これまでの活動の成果を「木材調達基準づくり」という一つの具体化を通じてまとめ上げるため、ウッドマイルズ研究会会員有志による検討委員会を立ち上げ、「木材調達チェックブック」の検討作成に取り組み、本チェックブックの作成に至りました。本チェックブックは、様々な木材製品がある中でも、木材をたくさん使用する建築物に焦点を当て、建築物の作り手(設計者、施工者)及び使用者(建築主、一般市民)を対象とした暫定版です。今後、よりよいチェックブックを目指して改良を重ねていく所存ですので、是非多くの方々にご覧頂き、ご意見などお寄せ頂けたら幸いです。

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