我が国の環境建築基準と「持続可能な森林から産出された木材の活用」(2004/2/15)


我が国の環境建築基準に、「持続可能な森林から産出された木材の活用」という基準が設定されているのをご存じでしょうか。

このサイトで米国の緑の建築基準を2度ばかり紹介しましたが、我が国の環境基準がどういう方向にいっているか気になるところです。我が国の建築物の環境評価システムは(財)建築環境・省エネルギー機構 (IBEC)のもとに設けられている「建築物の総合的環境評価研究委員会(委員長:村上周三慶応大学教授)」が開発したCASBEE(建築物総合環環境性能評価システム)が、昨年の7月から運用されています。

OCEDが提唱している環境効率=生活に質/環境負荷、という考え方に沿って、室内環境+サービス性能+室外(敷地内)環境からなる「環境性能(生活の質)」が、エネルギー+資源マテリアル+敷地外環境からなる「環境負荷」に支えられているとし、できるだけ多くの環境性能をできるだけ少ない環境負荷によって実現するよう指標化しているものです。(この辺のところは村上委員長の「CASBEEの背景・開発理念・概要」(pdfファイル)を参照のこと)

このなかの、資源マテリアル低減LR2というカテゴリーがあり、2.2に「持続可能な森林から産出された木材の活用」という項目があります。興味深いこの項目の全文を紹介します。

LR-2 ●2.2 持続可能な森林から産出された木材の活用

 

木材は本来、再生可能な材料であり、その活用度合いをあらわした項目である。ただし、熱帯雨林材や、乱伐されている森林から産出した木材は再生可能であるとは言い難い。

そこで、持続可能な森林からの木材の使用度合いを評価に用いる。

採点基準

用途

 

レベル1

(評価しない)

レベル2

持続可能な森林から産出された木材を使用していない。

レベル3

持続可能な森林から産出された木材の使用比率は0%以上―10%未満
または、躯体を含めて木材が使用されていない。

レベル4

持続可能な森林から産出された木材の使用比率が10%以上―50%未満。

レベル5

持続可能な森林から産出された木材の使用比率が50%以上。

 

★ここで評価する持続可能な森林から産出された木材とは、以下を指す

1 間伐材

2 持続可能な林業が行われている森林を原産地とする証明のある木材

3 スギ材などの針葉樹材

なお、日本では、諸外国のような持続可能な林業が行われている森林を原産地とする証明する国内制度は未整備で、かつ、これらのスタンプの極印などによる証明されていることが明示された木材は流通していない。そこで、現実的には、間伐材や、通常は持続可能な森林で生産されていると推測されるスギ材などの針葉樹材を持続可能な森林から産出された木材として扱う。平成12年建告第1452号(木材の基準強度を定める件)にリストアップされている以下のような針葉樹は持続可能な森林から伐採されていると考えて概ねよい。また、これに加え、外国産の様々な樹種の針葉樹材も持続可能な森林から伐採されていると見なすことができる。

あかまつ、べいまつ、からまつ、ダフリカからまつ、ひば、ひのき、べいつが、えぞまつ、とどまつ、すぎ

 

持続可能な森林から産出された木材の使用比率は以下のような手順で行う。

1 建物条件の把握

2 使用される木質材料を部位別・樹種別にリストアップ

3 使用される木質材料の使用数量を部位別・樹種別に拾い上げる

4 木材使用量を算定

5 下式であらわされる持続可能な森林から産出された木材の使用比率を産出

 

持続可能な森林から産出された木材の使用総量(体積)

建築物の木材使用総量(体積)

 


建築物の環境基準の中に「持続可能な森林から産出された木材の活用」という項目が入っている点じ対はたいへん重要なことだと思います。また、その中に、木材を使っていること自体を評価する仕掛け(木材をつかっていないとレベル4以上にならない)になっていることが画期的なことだと思います。

その上で、形成途上の基準についていくつかの注文があります。

第一に、暫定的に「持続可能な森林から産出された木材」を針葉樹全体としているのは問題です。特にダフリカからまつとロシア材を例示においているのでおかしなことになっていると思います。FSC、SGECの認証材、その他、地域的な認証材で一定の環境認証の要素を持っているものについて特定しCASBEEの認証材とするべきだと思います。

第二に、近くの山の木の要素です。ウッドマイルズ研究会で主張しているように輸送距離の環境負荷は無視できません。米国の環境基準も500マイル以内の材について得点を与えています。これとおなじような、輸送キロ数の閾値を作っておく必要があると思います。

前述したようにこの基準は世に出て数ヶ月しかたっていないので、あまり認知はされていないですが、これから各政令指定都市や各都道府県がが独自の基準を導入する方向にあり、その際のこの基準が中心になってゆくことは間違えないと思います。

米国のものについては全米林産物製紙協会が内容についていろいろ文句をつけていますが、我が国の場合は森林林業関係者がほとんど知らされていないのが現状のようです。森林林業関係者にとっては最終的な出口の大切な話ですのでこのサイトでもフォローしていきたいと思います。