米国林産物業界のグリーン建築基準(2003/11/22)


11月10日米国の林産物関係の産業を網羅した団体である全米林産物製紙協会( The American Forest & Paper Association =AF&PA)の代表団と”林産物と環境建築基準”などについて意見交換をする機会がありました。

今回はマイケル・トンプソン 氏(ウェアーハウザー アジア リミテッド 社長)Michael Thompson (President, Weyerhaeuser Asia Limited) が代表をつとめましたが、毎年一回派遣されて日本の木材業界と対日輸出戦略に関する意見交換を行うというのが趣旨のようです。

米国のグリーン環境建築基準

日本を輸出市場とにらむ米国の業界と、日本の木材業界では利害が対立する点がありますが、日本の建築基準法を木材に差別的でないようにするなど、過去に、共同して取り組んできた実績があります。今回私が出席したのは、議題の中に「木材と環境」というテーマが設定され、ウッドマイルズについて説明するようにと求められたからです。(初めて英語での資料を作成して臨みましたが、ウッドマイルズの英文資料は、近日発行する予定のウッドマイルズ研究会ニュースレター「木のみち」二号に掲載予定。配布希望はこちら

米国側のプレゼンテーションは、米国のグリーンビルディング基準についてでした。小サイトでも米国の民間環境建築基準であるLEED(Leadership in Energy & Environmental Design‚)が近くの山の木を推奨していると紹介したことがあります。民間主導による基準なのですが、米国内の各地方自治体が、一定規模以上の建築物についてこの基準への適合を求めたり、適合した建築物に助成をしたりする動きがあり、木材業界としても影響がでてきたということのようです。

「木材業界にとってLEEDはいろいろ問題点がある制度である」というのが今回のプレゼンテーションです。(ワシントン大学イヴァンイーストン教授のプレゼンテーション資料本人の了解の元に掲載します。日本語)

その第一は木材を他の建材と比較して製造過程のエネルギー評価をして環境に優しいという評価をしていないということです。この点は日本のグリーン購入法の基本計画と全く同じ構造になっているようです。細かいリサイクル(小循環)などにこだわり、CO2の大きな循環に手をつけていない、という問題です。米国側はこの点を、本格的な「LEEDはLCA(ライフサイクルアセスメント)LCAの手法を取り入れていない」という形で主張していました。米国側の木造建築物と他の構造の建築物のエネルギー分析をした結果があるというというので、この点についての情報交換することにしました。

その他の問題点の指摘は、A認証木材の一定割合以上の使用に点数を配点している項目について、FSCの認証材しかしか認めていない点(AF&PAはSFIというもう一つの認証制度の推進者)と、B500マイル以内で生産された資材を優遇しているという点(差別的取り扱い)だそうです。後者についてはウッドマイルズと絡んでなぜこの規定が重要かこちらの方から説明しておきました。

米国では環境建築基準が住宅ではなく商業施設から取り組みが進んでいるというのが一つの重要なポイントです。我が国ではグリーン購入法など公的機関が市場に於ける環境物品普及の推進力になっていますが、米国においては企業の環境配慮が環境問題の推進力になっているわけです。

先方から日本の業界に対して、日本で取り組まれている環境建築基準(建築物総合環境性能評価システム=CASBEE)にも目配りをしておいた方がよい、との指摘が、ありました。