森林・林業基本計画と持続可能な森林経営(1)合法性が証明された木材(2015/1/25)

新年の挨拶をしていて、2015(平成27)年が、森林・林業基本計画の新たな作成作業が行われる年しであることに改めて気がつきました。

森林・林業基本計画(以下基本計画という)は2001(平成13)年に成立した森林・林業基本法第11条に基づいて「森林及び林業に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図る」ため「森林及び林業に関する施策についての基本的な方針 」などを定めるもので、過去3度のわたって作成されています。

林野庁森林林業基本計画についてのページ
現行森林林業基計画本文(2011(平成23)年7月26日閣議決定)
前 森林林業基本計画本文((2006年(平成18)年9月8日閣議決定)
初回森林林業基本計画本文(2001(平成13)年10月26日閣議決定)

「地球環境の視点から、日本の森林と木材を考える、産官学民の情報交流の広場をめざす」とする当HPとしても、持続可能な森林にかかわる今回の重要な作業過程を題材とし、可能であればその過程に貢献できればと思います。

とりあえず、過去の基本計画がどんな過程を歩んできたのか、いくつかのテーマにそって見てみることにします。

その第一回は「合法性が証明された木材」です。

過去の基本計画と現行計画の中で違法伐採問題と合法性証明にかかる記述の推移を比較すると以下のとおりです。

森林・林業基本計画 違法伐採問題・合法性証明に関する記述の推移(pdfファイル)

   2001(平成13)年計画  2006(平成18)年計画  2013(平成23)年計画
まえがき   
     他方、国際的にも、森林を生態系としてとらえ、森林の保全と利用を両立させ、多様なニーズに永続的に対応していくための「持続可能な森林経営」の推進が重要な課題となっており、特に、森林の違法な伐採のように持続可能な森林経営の推進に支障となる行為については、世界有数の木材輸入国である我が国としてその対策に積極的に取り組んでいく必要がある。  
第1 森林及び林業に関する施策についての基本的な方針   
   国際的にも違法な森林伐採など持続可能な森林経営の推進に支障となる行為を防止する取組が求められている。  さらに、国際的には、持続可能な森林経営の推進が世界的な潮流となる中、特に近年、二酸化炭素の吸収源・貯蔵庫や生物多様性の保全の場としての森林の役割が重要となっているとともに、違法伐採対策は大きな課題となっている。  
第2 森林の有する多面的機能の発揮並びに林産物の供給及び利用に関する目標   
第3 森林及び林業に関し、政府が総合的かつ計画的に講ずべき施策  
      A適切な森林施業の確保
  さらに、伐採に係る手続が適正になされた木材の証明等の普及を図り、適切な森林施業の推進に資する。
    A違法伐採対策の推進
   今後、持続可能な森林経営を推進し、地球規模での環境保全を図るため、違法伐採対策を一層推進することが必要である。
このため、政府調達の対象を合法性等が証明された木材とする取組の推進、アジア森林パートナーシップ(アジアの持続可能な森林経営の促進を目的として、各国政府、国際機関、NGO(非政府組織)等が違法伐採対策等に協働的に取り組むための枠組み)等を通じた任意の行動規範の策定に向けた働きかけ、二国間、多国間等の協力による木材生産国への支援、G8森林行動プログラム(主要8ヵ国が各国独自、又は共同で行うべき活動、貢献策を取りまとめた行動計画)のフォローアップの推進に努めるとともに、地方公共団体、森林・林業・木材産業関連団体、企業、消費者等に対して、「違法に伐採された木材は使用しない」ことの重要性につ
 持続可能な森林経営を推進し、地球規模での環境保全を図るため、「違法に伐採された木材は使用しない」という基本的な考え方に基づき、違法伐採及び関連する貿易に関する国際的な対話へ積極的に参画するとともに、開発途上国における人材育成等のプロジェクトへの支援等を推進する。
また、我が国において、合法性証明や伐採地等の表示など木材のトレーサビリティの確保等に取り組むとともに、消費者、民間事業者等への合法木材の普及拡大・信頼性向上に向けた取組を強化する。
 第4 森林及び林業に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項  

2001年違法伐採問題が国際的な問題として提起され、「林産物の輸入に関する措置」の項目の中で、「最善の方法について検討する」と記載されました。

2006年は、その年にグリーン購入法の中で合法性証明された木材が基準の中に組み入れられ、まえがき、計画策定の基本的事項の中に、違法伐採問題が記載され、その重要な課題として認識が示されました。また、「国際的な協調及び貢献」という項目のなかに、独立した項目として「A違法伐採対策の推進」が位置付けられ、「政府調達の対象を合法性等が証明された木材とする取組の推進し・・・、地方公共団体、森林・林業・木材産業関連団体、企業、消費者等に対して、「違法に伐採された木材は使用しない」ことの重要性についての普及及び啓発活動等を推進する。」とされました。

2011年現行計画では、「国際的な協調及び貢献」という項目のなかに、独立した項目「A違法伐採対策の推進」は維持されるとともに、新たに(1)面的なまとまりをもった森林経営の確立A 適切な森林施業の確保という国内政策の中に、「さらに、伐採に係る手続が適正になされた木材の証明等の普及を図り、適切な森林施業の推進に資する。」という記述が付け加えられました。

国内の森林管理のガバナンス強化のプロセスとして、市場側の参画を求める、というスタンスは、グローバルな意味合いをもった重要なステップを示していると思います。

今回の基本計画の中でも重要な課題といえるでしょう。

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