東京五輪2020決定、五輪施設の未来への情報発信力(2013/9/16)

2020年に開催されるオリンピック・パラリンピックの東京開催が決まりました。

招致委員会の立候補ファイルによると、開会式が行われる主会場は国立競技場の立て替えほか、37の競技会場のうち、22会場が新設されるそうです。

(新国立競技場)

シンボルとなる新国立競技場オリンピックスタジアムは、国際コンペによってイラク生まれの女性建築家ザハ・ハディドが提唱した基本構想に基づいて、64年のオリンピックの主会場となった国立競技場が建て替えられることが決まっています(新国立競技場国際デザインコンクール)

今後、日建設計などによる基本設計、実施設計が行われ、工事着工は2年後の2015年10月、完成は2019年3月の予定。

(計画具体化の上での課題)

「イメージ図のように流麗な構造が本当に実現できるのか、建設費が高騰する中で総工費は1300億円に収まるのか、2019年のラグビーワールドカップに間に合うのか、・・・日本の気候を考慮した環境システムを導入できるか、日本らしい合理的かつ安全な施工法で建設できるか、などプラスアルファのアイデアを世界に発信できてようやく合格、日本建築界にとっても大勝負となるプロジェクトなのである。」日経ビジネス女王・ザハの五輪メーンスタジアムに注目)と指摘されています。

審査講評による「アプローチを含めた周辺環境との関係については、現状に即した形での修正が今後必要である」との指摘ほか、「神宮外苑)の歴史的な文脈の中で」の問題点(槇文彦JIAMagagine)といった指摘もあり、今後基本設計・実施設計の過程の作業は紆余曲折が予想されます。

(オリンピック運動の環境保全と地球の持続可能性へのこだわり)

オリンピックパラリンピックはスポーツイベントですが、その運動の広がりを意識して、オリンピック運動は、次世代の環境保全、持続可能な社会への貢献ということを大きな柱としてきました。

1999年にはオリンピック運動のアジェンダ21を公表し、持続可能な開発のための資源の保全と管理の文脈の中で、運動施設については、既存施設の利用と、新設する場合は現地法令と周辺の自然環境社会環境との調和(3.2.3)、などを規定しています。Olymbic Movemant's Agenda 21

スポーツを通じた持続可能性、オリンピック運動とアジェンダ21の実施状況
Sustainability through Sport: Implementing the Olympic Movement’s Agenda 21

(公共建築物の木材利用促進)

また、22の新設施設は、ほとんどが公共建築物の木材利用促進法に規定する公共建築物です(木材利用促進法施行令第一条公共建築物は次に掲げるものとする。四体育館、水泳場その他これらに類する運動施設)。

国が直接整備するオリンピックスタジアムはもちろん、各施設の基本設計の過程で、世界にも例のない、公共建築物の木材利用促進法に基づいた、「率先して整備する公共建築物における木材利用につとめなれければならない」(第三条国の責務)、をどうクリアするかも、大きな話題になるでしょう。

(五輪施設の環境基準)

2020年東京オリンピック・パラリンピック環境ガイドライン(招致委員会立候補ファイル)では、2020年東京大会に向けて新設・改修される全ての競技会場及び施設は、都の建築物環境計画書制度の厳格な基準とともに、LEED認証システムに相当する日本のグリーンビルディング認証制度のCASBEEを遵守し、CASBEEでは最高ランクの“S”を目指すとされています。

CASBEEの基準による、「持続可能な森林から生産された木材の利用」、「地域の特性のある材料の利用」など、どのように具体化するか注目されます。

(地球人の未来に向けた灯台)

これらの課題が見事にクリアされ、 オリンピック運動の環境保全・持続可能性追求の歴史に残るような、周辺環境との調和した、木材を利用した建築物の新たな 「地球人の未来に向けた灯台」(安藤忠夫審査委員長)というオリンピック施設が生まれることを期待します。

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