8月下旬に米国で開催された標記会議に出席した林野庁福田木材産業課長から、会議の報告資料概要の資料をいただきました。
日米加JAS 技術委員会及び建簗専門家委員会(概要) 日租: 令和6年8月26 日(月) ~28 日(水)
場所: ベンソン・ホテル(米国オレゴン州ポートランド市)
私も関わった1990 年の「日米林産物合意」に基づき、貿易の技術的障壁とみなされていたJAS 規格の見直し進めよることを目的として設立された会議、34年たってどうなっているのかのかな?
興味深くみてみました。
もちろん、会議のタイトルからわかるように、各国の木材規格の近年の動向を共有する内容が多いのですが、その資料の最後に記載されたことば
当方より、(多分福田課長より)(この会議は当初の目的を達してきたので)「今後は、日本の市場開放ではなく、世界の木材需要広大に向けて`日米加3ヶ国が連携して、情報交換・意見交換に取り組むべき」と主張したところ、両国から賛同を得ることができた。 |
ということで、今後の新しい道筋を話し合う場としていく方向になってきたようです。
頂いた資料は、日米加JAS 技術委員会及び建簗専門家委員会(概要)こちら、ですが、その中から、新しい道筋に関係する部分を以下の掲載します。
(3) 環境経営と政策(27日 (火) 10:20~14:00)
(ア)林野庁の福田課長より、「日本の木材産業と持続可能性」と題して、別添資料↓により、主に以下の点について英語で説明を行った(プレゼン資料をいただいたので、こちらにJapan’s Wood Products Industryand its Sustainability)
。
・日本では、人口の減少に伴い、住宅着工戸数の減少が続くことが見込まれる。
木材の需要を確保するためには、非住宅分野と中高層分野における木材利用を進めることが不可欠。 ・非住宅分野については、令和3年に改正した「都市の木造化推進法」に基づき`公共建築物のみならず、民間建築物も対象に木造化・内装木質化を推進。
・中高層分野については、建築基準法の基準をクリアできる耐火部材の開発により、木造ビルの建設が進展。CLT の利用も期待。
・建築物の持続可能性に対する関心が高まる中、化石燃料の代替や炭素貯蔵など、木材の有する優位性を発信していくことが重要。林野庁では、炭素貯蔵量表示ガイドラインや、建築物への木材利用に係る評価ガイダンスを策定。
(イ)説明を踏まえて、主に以下の点について質疑応答を行った。
(米国)改正クリーンウッド法で必要となる確認書類は何か。.
(村上係長)政府又は同等の機関が発行した証明書や、政府等に提出した申請書など。この他、FSC/PEFC の証明書も活用可能。
(米国)クリーンウッド法におけるロシア材の扱いいかん。
(村上係長)ロシア材について特別な扱いはしておらず、他の輸入木材と同様に、輸出国側における証明書等に基づき、事業者は合法性の確認を行う必要。ただし、合法性の確認は報道情報を含む関連情報も踏まえて行われることになっており、紛争地域からの木材についてはより慎重なデューデリジェンスが行われることになると考えている。
(カナダ)炭素貯蔵量のガイドラインを策定したとのことだが、今後、炭素貯蔵呈を評価するような政策を嘩入する予定があるか。
(襦田課長)現在のとーろ`炭素貯蔵量を喧接クレジット化するような仕組みはないが、現在、地球温暖化防止のために、各企業に炭素排出呈を報告させる仕組みに、木材の炭素固定呈を算入できるようにするよう検討を進めている。(米国)評価ガイダンスで示されたGHG
排出量のうち、集成材は、輸入ラミナから加工されたものか、国産ラミナから加工されたものか。
(松田係長)集成材のGHG 排出量は`全国のJAS 構造用集成材工場を対象として算出した値であり、前入ラミナも国産ラミナも含まれる。
(福田課長)評価ガイダンスで示したGHG 排出量のデータは、既存の研究成果から引用したものであり、それぞれの算定根拠は異なる。今後、条件を揃えた数値を算出することが課題。
(ウ)米国不動産開発業者のNoel Johnson 氏より、「投貸ツールとしてのマスティンバー」と題して、主に以下の点について説明が行われた。
・木材利用の利点は、視覚的英しさ、文化とのつながり、健康へのポジイテブな影響、建築物市場における優位性、プレハブエ法による現場作業の筒素化、騒音・粉塵・廃棄物の削減、労働生産性の向上、森林管理への貢献、脱炭素化、循環経済の実現など。
・木材利用に対する評価は、investors, al loca tors, developers , brokers の4者で異なるので、遡及対象を考慮した遡及内容とすることが重要。
(エ)米国林野庁のKent Elliott氏より、「世界における木材の合法性確認と木製品供給者への影響」と題して、主に以下の点について説明が行われた。
・木材の合法性に関する規制には、①絶滅危惧種の保全(CITES) 、②合法な木材' 調達(レイシー法等)、③森林破壊の回避(EUDR) の3段階あり。
• EUDR には、森林破壊の定義が不明、厳格なトレーサビリティ要件、各国におけるリスクアセスメントの必要性などの問題点あり。
・米国でも、「森林、コミュニティ及び地域経済の強化に関する大統領令」、「海外における法の支配と環境に配慮した貿易を培うための法律」、「熱帯林破壊回避調達規則」(カリフォルニア州、イリノイ州、ニューヨーク州)などを制定する動きあり。
•木材供給業者側では、規制の強化に対応するため、サプライチェーンを通じたトレーサビリティの確保や、木材の由来を確認できる検査手法に対するニーズが高まっている。'
(オ)米国林野庁のKent Elliott氏より、「米国林野庁木材識別プログラム」と題して、主に以下の点について説明が行われた。
・米国林野庁は、違法伐採対策のため、「木材識別サービス」として、化学的分析(分析機による種の同定)、解剖学的分析(細胞壁構造による種の同定)、遺伝子分析(個体の識別)を実施。
・ベトナム、ペルー、メキシコ、インド、ナミビアに対して`木材識別手法の技術協力を提供。 |
福田課長のプレゼンデータ以外の以下のような重要なデータは、現時点(2024年9月12日)で公表されていませんが
Noel Johnson 氏より、「投貸ツールとしてのマスティンバー」
Kent Elliott氏より、「世界における木材の合法性確認と木製品供給者への影響」
Kent Elliott氏より、「米国林野庁木材識別プログラム」
これらのファイルが公表されれば、掲載しますね
junkan3-33<JUCjoint2024>
|