日米貿易紛争と木材貿易―平成初期の紛争の背景と今後への示唆―平成林業逸史山林誌掲載(2023/4/15)

大日本山林会発刊の山林誌2023年4月号に、標記原稿を掲載いただきました。

許可をいただきましたので、原稿を掲載いたします。

1 はじめに

1989(平成元)年5月26日、林野庁の貿易班長をしていた私は、農林水産省を担当する一般マスコミの記者クラブ「農政クラブ」の記者会見を受けた。林業専門紙の記者で構成する林政記者クラブの記者とは時々コミュニケーションがあったが、一般マスコミの記者との対応は初めてだった。テーマは:米国が我が国の「人工衛星・スーパーコンピュターの排他的な政府調達」と並んで、我が国の「木材製品の制限的な基準」を「包括貿易法スーパー301条」に基づき協議すべき優先的事案に認定したこと。(前日の25日に米国政府USTRの官報告示で広報された)
その後紆余曲折を経て、約1年に及ぶ日米林産物協議が行われ、1990年6月日米林産物合意(以下「林産物合意」という)が結ばれたが、その出発点だった。
同年11月にベルリンの壁がなくなり、米国の対外政策の標的が、対米輸出を拡大している日本の経済力になる中で、米国から大量に輸入している木材が、なぜ主要なターゲットの一つになったのだろうか?どんな議論がなされたのだろうか?を振り返ってみよう。
それから、30年たって、日本の木材輸出政策の重要なターゲットが米国になっている。米国は世界で一番大きな木材市場であるが、米国木材業界などの意見がどのように、米国の経済政策に関与する可能性があるのか?米国の国際政策が国内向けになる傾向があるなかで、今後考えていくときの、参考になるだろう。

以下目次です
2 ガットに代わって国際貿易の「不正」を裁く米国の国内法
3 なぜ、木材が選定された?
4 日米林産物協議の経過とその論点
(1) JAS・建築基準と技術的貿易障壁
(2) 関税分類
(3)補助金
5 終わりにー紛争が政治問題化した背景

ご関心のある方は、以下をどうぞ

日米貿易紛争と木材貿易―平成初期の紛争の背景と今後への示唆―平成林業逸史山林誌掲載

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