万博木材リンクと木材調達コードの関係ー関連ワーキンググループ会合から(2024/10/18)

来年4月から開催される大阪関西万博まであと半年で、大屋根リンクがひとつながりになりました、などの報道がなされている、皆が注目の大屋根リンクです

大屋根リングは、万博会場のシンボルであり、完成時には世界最大級の木造建築物なので、このページでもこの木材の由来に注目してきました。→完成間近万博の巨大木造大屋根リンクー木材のトレーサビリティは?(2024/7/11)

そして、万博協会にいろいろ聞いてみたのですが、少しわからないこともあり・・・

今回10月16日午前中に、その辺がわかりそうな重要な会議、持続可能な調達ワーキンググループ第11回会合が開催されたので、覗いてみました(だれでもネット上で傍聴できる!!)。

(大屋根リンクの木材の持続可能性と木材調達コードとの関係)

木材調達基準についてはいままでの説明してきましたが、持続可能性に配慮した調達コード第3版の物品別の個別基準の最初に記載されている持続可能性に配慮した木材の調達基準(p19からp22)に記載されています。

大屋根リンクの木材にかかわるところを、一つの図にしてみました(右の図当サイトが作成!!)。

表の左半分は、調達基準が示す5つの要件(こうういうことを満たさないと持続可能とは認められませんよー)

①合法的に伐採されたもの、②計画に基づいて管理された森林由来のもの。➂生態系が保全された森林由来のもの、④先住民や地元住民が権利がされていること、⑤伐採労働者がの安全管理が適切なこと

それをどのように確認するか?が次の列。

真ん中がFSCやPEFCなどの森林認証材なら、①から⑤までは原則満たします。

一番右の列は、森林認証材でない場合の証明方法です。

①は林野庁ガイドラインに基づいた合法証明がされています(これはわかり易いですね)(別紙2の(1))

②から⑤までは、それれぞれの要件を満たしているか、確認し書面に記載し、伝達すること。(別紙2(2))

①が合法性、②から⑤が持続可能性ということですね。

森林認証によらないで、どのように持続可能性確認ができるのか、重要なポイントです(合法性から持続可能性への新たなステップアップ!!これがどのように実施されているのかな?)

(いままで、分かっていたトレーサビリティ)

そこで、いままで報告してきたように、建設会社の担当者や、万博事務局の担当者に聞いてみました。

その結果: 「「大屋根リング等の木材に関する「持続可能性に配慮した調達コード」の遵守状況については、2023年10~12月に、当協会整備局を通じて各工事受注者に確認を行っております。
・各工区とも、外国産材は認証材を使用、国産材は個別に確認を実施しており、調達コードを遵守している木材を使用していることを確認。
・今後の確認・モニタリング(ヒアリング)において、認証・確認の詳細などについて補足で確認する予定
なお、上記内容については、今年2月21日に開催しました第10回 持続可能性な調達ワーキング・グループ 資料10-3のP7~8に記載し公表しております。」

つまり、国産材は①から⑤まで確認して書類に記載伝達という、あらなた持続可能性証明に取組んでいるようですが、どんなシステムでこの難しそうな取組にチャレンジしているのかな?

興味深々。それで「確認の詳細について捕捉確認の予定」に注目です。

(第11回持続可能な調達ワーキンググループでわかったこと)

ワーキンググループには毎回丁寧なページがあり、関係資料が掲載され、あとで、協会公式YouTubeチャンネルを用いたライブ配信を予定しているんだそうです。(10月17日時点では16日に開催された11回目はまだ配信されていませんが)

過去の開催から考えて、大切な資料、【資料11-3】調達コードの実施状況についてというファイルがあったので、みてみました。

その16ページ17ページが左の図です

6.博覧会協会における遵守状況の確認
(4)個別基準(木材)
①大屋根リンク木材などについては、8月にヒアリングし、その結果は?

「リング木材については、個別基準「木材」に記載の認証材(FSC、PEFC、SGEC)と、前述の認証材ではない木材を使用している場合があり、認証材でない木材を使用する場合は個別基準「木材」の別紙に示す方法(上の図の右側)に基づき確認を実施している。」そして、「調達コードの伝達について、各工区事業者とも調達コードを調達先に伝達しており、「調達コードを協力会社に送付し適宜説明実施」「調達コードに則った調達ができることを前提に協力会社を選定」などの回答があった。」

と記載されています。

素晴らしい取組なんだけど、具体的にどのようにやっているのですか?!これが訴求されていけばば万博のレガシーですよー

ワーキンググループでも、具体的な事例をもっと公表するように!という指摘が委員からありました。

少し心配なのは、その下の、②その他の調達状況についてに記載されていることです

建設材料【良い取組事例】には、
•構造材、仕上げ材等で認証材を使用、認証材でないものは調達コード別紙に基づき確認
•FSC、SGEC認証材を使用、証明書で確認
•認証材を使用、又は調達コード別紙で確認。使い分けはどちらを入手しやすいかによる(施工業者によって変わる)
別紙による確認については、木材納入事業者の納品書で合法材を確認。また、木材を調達する現地工場に訪問してヒアリングと実態確認を行っている。

良い事例なのに、①しかやっていないんですか?②から⑤がどのように処理されているのか?少し心配!是非確認をお願いしたいですね

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通報受付体制(グリーバンズメカニズム)

資料の6ページに■専用の通報受付窓口設置というシステムの説明があります

調達コードの不遵守に関する通報を受け付け、その迅速かつ適切な解決に向けて必要な対応を公平かつ透明性をもって実施するための専用の通報受付窓口を2024年7月に設置。

なんだそうです。

すごいですね!

木材調達のレガシーを作る意味でも、フル活用が必要かもしれませんね。

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