ニュースレター No.201 2016年5月28日発行 (発行部数:1390部) | ||||||||||||||||||||||||||||||
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このレターは、「持続可能な森林経営のための勉強部屋」というHPの改訂にそっておおむね月に一回作成しています。 情報提供して いただいた方、配信の希望を寄せられた方、読んでいただきたいとこちら考えて いる方に配信してます。御意見をいただければ幸いです。一般社団法人 持続可能森林なフォーラム 藤原 |
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フロントページ:G7伊勢志摩サミットと森林の課題(2016/5/28)
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5月26日27日に開催された伊勢志摩サミットでの討議結果をまとめた伊勢志摩首脳宣言が公表されました。 グレンイーグルスサミットが日本の違法伐採問題やその後の各国の取組に大きな影響を与えたように、G8/7サミットは地球環境問題の中の森林問題の取組に大きな役割を果たしてきたことに、このサイトでも注目してきました(主要国サミットと森林行動プログラム) この数年サミットの首脳宣言に違法伐採という言葉がでてこなかったので、(最後は2009年イタリアラクイラサミット:イタリアの主要8カ国首脳会議ラクイラサミットと森林問題勉強部屋関連ページ)、合法伐採木材流通利用促進法が意識して成立したといわれていた今回のサミット宣言文を注目していました。 今回の宣言で森林の管理に関係ある箇所は以下の通りです。
5つのセクションの最後「開発」の中に「持続可能な開発のための2030 アジェンダ」という標題のもとに、「我々の共同の対応における重要な要素は,・・・持続可能な森林経営及び違法伐採の根絶を含む。」とされています。 このセクションが途上国の援助に関する記載が中心になっているところが、気にはなりますが、久しぶりに違法伐採問題という国際課題が主要国サミット首脳宣言の中に顔を出しました。 ホスト国の日本の合法伐採木材流通利用促進法成立が国際貢献したともえいるでしょう。今回の法律が、どんなインパクトを加えられるのか注目されます。 (採取産業透明性イニシアティブ(EITI)) 関連して、このところの、サミットの文章を見ると、腐敗対策の中の採取産業透明性イニシアティブ(EITI)に注意が払われています。違法伐採問題とも関係のあるアイテムで、勉強部屋でも注目してきました。主要8カ国首脳会議ラクイラサミットと森林問題 (2008/7/13) 日本の外務省の関連ページを見ると石油採取企業、鉱物資源採取企業などが関係していますが、EUでは森林産業の関係者協力している仕組みですIllegal Logging Portal。注目していきましょう。 chikyu2-7(iseshima) ■いいねボタン
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合法伐採木材流通利用促進法成立、その意義と課題(その1目的規定・事業者登録)(2016/5/27)
G7サミットに向けて我が国の違法伐採問題への取り組みをアピールすると準備されてきた、合法伐採木材等の流通及び利用の促進に関する法律案が13日参議院で全会一致で採択され、成立しました。 合法伐採木材等の流通及び利用の促進に関する法律案(本文・要綱) (目的規定の意義)
どの法律も最初の、その法律も目的が書いてあるものです。 これを図にすると下図のようになります。 あらためて、条文を読んでみて、二つの点に気が付きます。 (我が国の違法伐採リスク) 冒頭に「我が国又は外国における違法な森林の伐採」とあるように、国内の違法伐採のリスクをにも向けていることです。 これは、欧州木材規則や、レーシー法にかけている点です。 違法伐採問題がグローバルな課題となったのは、途上国の熱帯林問題から始まったものですが、どこの国でも森林の管理はなかなか難しい課題。森林のガバナンスを確保するために、合法伐採木材の流通と利用が重要な役割を果たすという重要な視点です。消費者を森林のガバナンス問題に巻き込んで課題に迫る。 (自然環境の保全に配慮した木材産業の発展のツールとしての登録制度) 木材産業は消費者が必要とする建築材、消費財を効率的に提供し、それの見返りに対価を得るビジネスですが、リスクを認識し、自然環境の保全に配慮した木材産業を発展される、法律の目的っが宣言しています。そのために「木材関連事業者による合法伐採木材等の利用の確保のための措置」がどられるのですが、その内容が第6条の「木材関連事業者の判断の基準となるべき事項」と、第8条「木材関連事業者の登録」です。
今後、政省令によって上記の「木材関連事業者が合法伐採木材等の利用を確保するために取り組むべき措置」がきめられ、その措置をとっている事業者が、登録されるという仕組みになっていいます。 この登録が、木材業者事業者が一枚の証明書を求めるだけでなく違法伐採のリスクを減らすために一定の努力を要求する(DDSへの対応)、川下の建築業者などが合法性が証明された木材を基本的な調達方針とする、など、大きな役割を果たす可能性があります。 上記の「木材関連事業者が合法伐採木材等の利用を確保するために取り組むべき措置」がどのように政省令によって規定されるのか?注目されます。 また、合法性証明のサプライチェーン管理にどのように関係づけられるのかなど、よく分かりにくい点が残されてります.。林野庁のガイドラインが提起した、業界団体の社会的責任を基盤とした体制をどう発展させるのかがポイントかと思います。 ガイドラインにもどつくサプライチェーン管理の弱点は、各方面から指摘されているところです。(違法行為の黙認 日本の自主的制度は違法木材取引 を見逃している グローバル・ウィットネス報告書) この法律が業界団体認定のサプライチェーンをステップアップするために、うまく使われ、日本発のスタンダードとしてグローバルな意義を発揮できることを、期待します。 (つづく) boueki4-59(sinhou1)■いいねボタン
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春・林業経済誌と市民ー『林業経済』誌編集後記(2016年4月号)(2016/5/26)
roomfj <ringyoukeizaishi/hensyukoukin> ■いいねボタン
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東京オリ・パラ持続可能性に配慮した木材の調達基準(案) (2018/5/28)
東京オリンピック・パラリンピック組織委員会が標記の意見募集をしている(いた)のに対して、意見をまとえてみました。(タイミングを失して意見提出はできず) ①本調達基準の対象を限定的とせず、広く適用する、②厳しい木材利用調達方針を要求すると、木材以外の建築材料や家具などが選択されてしまう可能性があり、そのことを懸念を払しょくするため木材利用推進の趣旨を加える、③持続可能性の担保する、④国産材の優先は地球環境への配慮でのあることを明確にするため、加筆する、といったものです。
(参考) 国際環境NGO FoE Japan、地球・人間環境フォーラム、熱帯林行動ネットワーク(JATAN)声明 “持続可能な”木材調達基準とは呼ばないで!! 違法な木材さえも調達可能なオリパラ組織委員会調達基準 kokunai3-49<olypara1> ■いいねボタン
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5月24日に新たな森林・林業基本計画が閣議決定されました。 林野庁の関係ページ 意見提出したものがどのようになったかみてみます。森林・林業基本計画(案)に対する意見の概要がネット上に公開されています 100件の意見が寄せられ、趣旨を取り入れているもの33、趣旨の一部を取り入れているもの45、修正するもの7、その他今後の検討課題15となっています。
100の指摘事項の7つが原案の修正の根拠となっていますが、その一つが勉強部屋の提案です。 (持続可能な開発目標と森林林業基本計画) 国際的な持続可能な開発の議論が、途上国の援助だけでなく、国内の森林管理の政策にもしっかり関係させるべきだというのが、勉強部屋のモチーフの一つになってきました。その文脈で、昨年国会で決定されたSDGsを国内政策の中にも位置づけるべき、との主張でした。 今回修文さSDGsが記載されたのは、「国際協力の推進」の項目なのですが、これは海外の森林管理の話だけでなく、国内森林の管理をしっかりして国際的なリードをするという意味合いも持たせてある、ととることと理解をします。 (燃料材の需給問題) 4の意見の燃料材の需給問題はたくさんの意見が出されたもので、全体として今後の検討課題とされています。 輸入バイオマスの動向は海外のマーケットに与える影響としても重要になる可能性があるので、注目すべきだと思います。 kokunai1-16<kihonkeikaku2016-2> ■いいねボタン
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持続可能な森林経営のための勉強部屋201号編集後記(2016/5/28)
タックスヘイブン(租税回避地)は大企業や金持ちが課税を逃れるために税率の低い国に利益を移し課税を逃れるしくみ。法人税を高くすると低い国に企業が移転するから法人税を減税するとどどこの政府も言っています。パナマ文書事件で、国という社会秩序が地球を分断している否定的な側面が見えてきます。 森林の取り扱いがおかしい国から輸出される安い違法伐採木材が世界を席巻し、森林管理がうまくいかなくなるのと同根。 他方で、関税をなくし国境をなくしていく取組の一つがTPP環太平洋パートナーシップ協定、「モノだけでなく、サービスや投資の自由化を進め、さらには知的財産、電子商取引、国有企業の規律、環境など、幅広い分野で21世紀型ルールを構築する経済連携協定(TPP政府対策本部)」です。 この中になぜ地球森林条約や法人税を原則同率にするという法人税協定がないでしょうか? 自らのビジネスの障害となる国境措置は取り払い、自らの利益になる国境措置は温存するという自分本位な人たちの思い通りにならないよう、多様な立場の国際的連帯が必要です。 勉強部屋もその一端を担ぎます。 konosaito<hensyukouki> ■いいねボタン
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