ニュースレター No.178 2014年6月27日発行 (発行部数:1170部) | |||||||||||||||
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このレターは、「持続可能な森林経営のための勉強部屋」というHPの改訂にそっておおむね月に一回作成しています。 情報提供して いただいた方、配信の希望を寄せられた方、読んでいただきたいとこちら考えて いる方に配信しています。御意見をいただければ幸いです。藤原 |
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フロントページ:地球環境の研究の新たな枠組みFuture Earthと森林(2014/6/27)
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日本森林学会の報告でも紹介された(臨床環境学からFuture Earthへ)、Future Earthは、「「国際的な学術機関である国際科学会議(International Council for Science: ICSU)やファンディング機関の集まりであるベルモント・フォーラム(Belmont Forum)が中心となって進めている、地球規模での環境変動に対処し、持続可能な発展を推進するための新たな学術ププログラム」( Futureearth HOME )であり、文部科学省、学術会議などが日本の積極的な参画を提案しているものです。 フューチャーアースをどう進めていくべきか~文部科学省の取組~ 持続的な地球環境のための研究の進め方について中間とりまとめ(論点整理)平成25年8月2日、文部科学省科学技術・学術審議会、 研究計画・評価分科会、環境エネルギー科学技術委員会、持続可能な地球環境研究に関する検討作業部会 提唱されている三つの統合研究テーマは: ②の「食糧、水、生物多様性、エネルギー、資源、その他の生態系機能・サービスの持続可能で確実で正当な管理運用に関する知識」のどれをとっても森林が深くかかわってくることからみても、全体のプロジェクトの中で、森林分野の研究と関連した社会システムの連携が大切な意味をもつことは明らかです。 このプロジェクトの将来のアウトプットの中に、「森林分野の持続可能な管理に関するグローバルなシステムの提案」などが念頭におかれることを期待しますが、研究プログラムや、移行委員会のメンバーにIUFROの関係者など森林の専門家が入っていないようなので、心配です。(Draft initial design report 17th April 2013 p.89The members of the Transition Team) そういえば、文部科学省の「持続可能な地球環境研究に関する検討作業部会の委員」にも森林分野の研究機関の関係者はいませんね。 Future Earthがこれからどの程度のものに発展していくのかは、先が見えませんが、新たな挑戦が森林分野の研究と行政のグローバルな進展に一石を投じるようなものになることを期待します。 学術フォーラム「Future Earth:持続可能な未来の社会へ向けて」(日本学術会議)(2013/6/13) chikyu1-25(fuearth) |
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最近の木質バイオマス事情ーバイオマス白書2014から(2014/6/27) バイオマス資源のビジネス可能性を幅広くカバーしている、バイオマス産業社会ネットワーク(BIN)の情報発信の中心であるバイオマス白書が公表されました。(BIN主催との研究会に出席したのを機会に関連した動向を紹介します。) バイオマスの持続可能性を念頭にビジネスの現場に密着しながら行政と少し距離を置いた形で情報発信しているこの情報誌が、固定価格買取制度などの最近の動きを、先発している欧州の実績と比較しながら、評価しています。 木質バイオマスの特性から、熱エネルギーが中心、それとタイアップした中小規模発電が本命で、規模別の価格設定は必要という主張は傾聴に値します。 ウェブ上で概要が分かる丁寧なページがつくられているので、こちらからどうぞ
(持続可能性の評価) FITについては、とりあえず、「建設予定の80を超える大型の発電施設にどのように原料調達をはかるか」、ということが大きな問題であり、そのことが中心課題になることが予想されますが、九州のようにその中で、バイオマスの原点である「原料の持続可能性」について、忘れられないようにしっかりした、議論が進むことが重要だと思います。 白書でも、「再生可能なエネルギーなら何でもよいのか?」、という、議論が進んでいることが紹介されており、関連するいくつかのサイトを紹介しておきます。 Assessing biofuels: towards sustainable production and use of resources(2009年、UNEP) Sustainable Bioenergy: A Framework for Decision Makers, (2007,UN-Energy) 「バイオエネルギーの温室効果ガス(GHG)排出削減能力は、バイオエネルギーのタイプによって大きく異なる。新たなエネルギー作物をつくるために森林が切り開かれるところでは、GHG 排出は化石燃料よりも増える可能性さえある。脅威にさらされた土地を保護し、社会的に受け入れられる土地利用を確保し、バイオエネルギー開発を持続的な方向に向ける新たな政策が実施されなければ、環境的・社会的損害が利益を上回る場合もあるだろう。 」 日本におけるバイオマスの持続可能な利用促進のための原理・原則 適切な FIT 制度の設計のために バイオ燃料の温室効果ガス削減効果に関するLCA ガイドライン、(平成22年3月、環境省) 発電利用に供する木質バイオマスの証明のためのガイドライン(全木連関連ページenergy1-15<BMhakusyo2014> |
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(東アジア木材消費市場を巡る違法伐採問題) 2009年のグレーンイーグルスG8サミットなどを契機として、日本のグリーン購入法の政府調達に合法性証明を求めるなど国際的な違法伐採問題への取組が進みましたが、近年米国、EU、オーストラリアなど新たな罰則付き法令が施行され新たなステップがとなっています。 巨大な中国市場という木材大消費市場の登場で、東アジア市場がこの問題に再びイニシアティブをとれるのかどうか、ということが話題になっています。 東アジアをとりまく木材の供給地域に関して、国際NGOがリスクをかけて行った調査報告書がウェブ上で公開されているので、紹介します。 《議員会館内セミナー》「違法伐採と日本市場」~ロシア・中国から日本への木材流通~ 門戸開放: ロシア産違法材の輸入を防ぐ ことのできない日本の失敗 生々しい調査報告です。全体の中でこのような事例がどの程度広がっているのか、ということについて関係者の認識の差は大きいと思いますが、政策の中枢から遠くは離れた地域に広がるロシア東アジア地域森林の管理がいかに難しいものか、その管理を進めるために消費側の協力体制がどのように構築されなければならないか、重い課題です。 プーチン大統領は、シベリアトラとアムールヒョウを守るための法令に署名したそうですが、森林管理のための予算は1990年代の10分の1になっているそうです。広大な東アジアのロシア森林。貴重な野生生物の生息地であるとうだけでなく、循環資材の供給基地として大切な資源がしっかり守られるように、生産国(露と消費国(日・中)との連携が必要でしょう。 (輸入合板に対する違法材規制が日本の合板需要・合板用丸太需要に与える影響) 違法伐採対策を進めると、日本の国産材の需要量がどの程度増えるのか?違法伐採対策が日本の林業の支援の不可欠な要素であることを説明するときに重要なポイントです。 法政大学の島本教授とNGO方々の標記研究成果が、ウェブ上で公開されています。 輸入合板に対する違法材規制が日本の合板需要・合板用丸太需要に与える影響(日本林業経営者協会(季間誌杣径、3月号) データの制約からマレーシアの合板だけの影響を分析していますが、合板用原料の国産材の需要量が1割以上増えるのだそうです。 メインの流れである中国からの木材製品に影響まで考えると、違法伐採対策は国内の木材市場に巨大なインパクトとなる可能性があります。 boueki4-51(eastasiawood) |
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