ニュースレター No.174 2014年2月15日発行 (発行部数:1170部) | |||||||||||
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このレターは、「持続可能な森林経営のための勉強部屋」というHPの改訂にそっておおむね月に一回作成しています。 情報提供して いただいた方、配信の希望を寄せられた方、読んでいただきたいとこちら考えて いる方に配信しています。御意見をいただければ幸いです。藤原 |
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フロントページ:木材利用ポイント事業の目的、海外の関係者との会話(2014/1/19)
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昨年から始まった日本の木材利用ポイント事業が何を事業の目標としているのか。 WTOの「関税及び貿易に関する一般協定」で規定されている「いずれかの締約国の領域の産品で他の締約国の領域に輸入されるものは、その国内における販売、販売のための提供、購入、輸送、分配又は使用に関するすべての法令及び要件に関し、国内原産の同種の産品に許与される待遇より不利でない待遇を許与される。」(第三条四項)との関係での議論が、WTOや国際的なマスコミの場で展開されています。 (WTOの物品理事会) WTO設立協定で、多角的貿易協定の実施に関することをつかさどるとされる物品の貿易に関する理事会(Council for Trade in Goods) (物品理事会)の7月と10月の会合で、日本の木材利用ポイント事業が議論されました。
また関連して同理事会の場で、カナダから質問書が提出され、日本からの回答、再質問書が提出されています。 事業の目的、対象樹種の特定の方法などにについての質問です。 その回答を通じて、日本側は「この事業の目的は、木材の利用促進を通じて、森林の適切な経営と保全、地球温暖化の防止及び循環社会の造成、並びに地域社会の振興に資すること」「対象地域材には海外の木材も含まれる」とし、「地球温暖化防止、循環社会のために、対象地域材は持続可能の認められるもので、かつ、樹種別の蓄積増加を要件とした。」としています。 (海外の業界紙による木材利用ポイント) 業界紙にもいくつかのニュースが掲載されています Japan's "wood stimulus programme": threat or opportunity for
EU timber exports? IHB the tinbernetwork どちらの記事にも、TPP交渉にあたって木材業界に犠牲を払わせる代償、といった「背景説明(?)」がついています。 (木材利用ポイント事業の対象地域材) 木材利用ポイント事業の内容について公開されている情報は以下の通りです。 焦点は、ポイントの対象っとなる対象地域材です。
(米国産ベイマツが対象地域材認定) 昨年の暮れ、対象樹種に米国産ベイマツが追加されました。 対象地域材の樹種及び対象工法の申請等に係るガイドラインに基づき、対象樹種の申請書が提出され、「第三者委員会である基金管理委員会において、対象地域材の樹種の要件が満たされているかについて、木材、建築、学識関係等の委員により、中立かつ客観的に審査をした結果」のようです。 ポイントの発行対象となる時期などについては今後公表されるそうです。 (米国ワシントン大学CINTRAFOR) 米国のシアトルにあるワシントン大学が林産物の国際貿易研究センターCente for Intenationl Trade in Forest Products四半期ごとのニュースを送ってきますが、その最終号のDierctor's Notes のタイトルは、CINTRAFOR Succeeds in Gaining the “Local Wood” Designation for Douglas-fi r in Japan 上記のベイマツの追加についてです。 その過程でCINTRAFORが貢献したことが記載されています。今後都道府県レベルの手続きが順調に進むように、引き続き協力をしていく予定」としています。 (税金の使い道の判断基準) 米国産のベイマツが木材利用ポイントの対象地域材になったことについては、貴重な税金の使い道として、否定的な意見が支配的といってよいでしょう。 ただし、WTO協定の3条4項の規定は、大変の犠牲を払って第二次大戦後に到達した、国際的なコンセンサスであり、日本の施策が世界をリードするうえで欠かせない視点です。 エコポイント制度などから始まった消費者の特定の消費に対するポイント制度は、その商品が売れるということが主目的でなく、その過程で、あるコンセプトの商品を普及・定着する手段としての意味をもったものです。 制度全体のコンセプトについての国際的なアナウンスがどうなるか、ということは、常に制度設計の場合の基礎となるものと考える必要があると思います。 画期的な制度である木材利用ポイント事業が求めるコンセプトがグロ―バルな意義をしっかりと踏まえて展開されることを望みます。 kokunai11-10(WpointinWTO) |
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気候変動枠組み条約COP19の中の森林吸収源続き(2014/1/19) 昨2013年11月11日から23日まで、ポーランド・ワルシャワで開催された、、国連気候変動枠組条約第19回締約国会議(COP19)、京都議定書第9回締約国会合(CMP9)等の会議の森林分野の議論について森林分野の合意事項、途上国における森林減少・劣化に由来する排出の削減等REDD+についての技術課題の合意(REDD+のためのワルシャワ枠組み)について、報告しました。 その後、森林総研のREDD研究開発センターから連絡をいただき、合意文書の仮訳PDF版を作成したので、「入手を希望される方は、下記宛電子メールでご連絡下さい。」との、案内をうけました。 独立行政法人森林総合研究所 REDD研究開発センター 記事の参考にさせていただいた、国際緑化推進センター(JIFPRO)のCOP19等報告会(森林分野))、気候変動枠組み条約COP19,CMP9ワルシャワ会合における関連の議論、林野庁森林利用課佐藤雄一がアップされているので、参照下さい。 気候変動枠組み条約COP19でのその他の森林に関する議論について、続きを書きます。 (土地セクター及び森林にかかるハイレベルパネル) 11月18日(月)COP19会場内でポーランド主催により、標記会合High Level Panel on the role of the land sector and forests at COP19/CMP9がu 共同議長: Niinistoフィンランド環境大臣、Witoelarインドネシア環境大臣約65ヶ国、200名程度の参加で、開催されました。 「2020年以降の枠組みにおける土地セクターの潜在的役割についての意見交換」が目的ですが、気候変動にこだわらず、地球環境問題に関する森林分野の国際協力の枠組み作りに関する包括的なレベルの高い会合で注目されます。 議長非公式サマリーをCOP議長へ報告 ハイレベルからのメッセージ
High Level Panel on the role of the land sector and forests at COP19/CMP9, 内容は目新しいものではありませんが、途上国と先進国が共同議長をして、双方を含む「全ての国に適用される将来の枠組」作りをしようとしていることは、1992年の地球サミットの交渉時先進国が提案した森林条約が途上国の反対あえなく法的拘束力のない声明となったことを考えると、20年を経てきた、大きな時代の流れだといえるでしょう。 (先進国 森林等吸収源 先進国の森林等吸収源について(LULUCF)) 京都議定書第二約束期間、条約に基づく報告など、先進国の森林吸収源に関する議論でも、一定のコンセンサスの前進がありました。 n 条約に基づくインベントリ報告について、表様式を含む報告ガイドラインに合意 二か月にわたった「気候変動枠組み条約COP19の中の森林吸収源」以上です kokusa2-47(unfcccCOP19-2) |
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森林政策と「森林・林業再生プラン」―「森林経営計画」の意味(2014/2/15) 元の林野庁次長、現在財団法人日本農業研究所専務理事田家邦明氏から、標記の論文をお送りいただきました。 同研究所研究報告「農業研究」第26号に掲載されたもので、関連ページからダウンロードできます。森林政策と「森林・林業再生プラン」―「森林経営計画」の意味―(田家邦明) 民主党政権が打ち出した、森林・林業再生プランは、森林経営計画制度を一つの目玉とし、「森林計画制度等の制度面から路網・作業システム整備、人材育成などの実践面も含め、森林・林業政策を全面的に見直す」(森林・林業再生プラン概要)として、助成要件の中で計画策定に関する事項を強化しつつ、計画制度の運用の中で、施業の集約化と路網整備を誘導しようというものでですが、この論文では多くの所有者が誘導の範囲から外れる可能性があることを指摘しています。 日本の林業の現場をの重要なポイントを踏まえた「森林・林業再生プラン」が、政権交代の中で、闇に葬られるようなことなく、施策の結果について幅広い議論が必要です。この論文のような骨太な議論が学会の関係者も巻き込んで行われることを期待します。 政策形成の背景に関する解説書としても参考になります。 kokunai(taie1) |
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