ニュースレター No.102 2008年2月13日発行 (発行部数:1350部)

このレターは、「持続可能な森林経営のための勉強部屋」というHPの改訂にそっておおむね月に一回作成しています。

情報提供して いただいた方、配信の希望を寄せられた方、読んでいただきたいとこちら考えて いる方に配信しています。御意見をいただければ幸いです。 
                                                    藤原

目次
1 フロントページ:ウッドマイレージがグランプリ:ストップ温暖化一村一品大作戦で京都北桑田高校が快挙(2008/2/10)
2 「バイオマス・バイオ燃料の持続可能性」(2008/2/10)
3 水とウッドマイルズが結ぶ隣県連携(2008/2/10)
4 グリーン購入パワーの指標、エコプロダクツ展の来場者データ(2008/2/10)

フロントページ:ウッドマイレージがグランプリ:ストップ温暖化一村一品大作戦で京都北桑田高校が快挙」(2008/2/10)

2月9日-10日の両日東京で開催された、ストップ温暖化大作戦〜CO2削減「一村一品プロジェクト」〜の全国大会で、京都府北桑田高校森林リサーチ科の「地元の木を使って「ウッドマイレージ」を減らそう!」が全国1070件の提案のトップに立つグランプリを獲得しました。
地元の京都新聞:京都府立北桑田高校が最優秀賞ーCO2削減の全国大会


京の建築文化を支えてき北山林業地域にある北桑田高校は、木材の地産池消がウッドマイレージ(木材の輸送距離)を短縮してCO2排出を削減することに着目し、京都府から「府内産木材 取扱事業体」として認定を受け(学校では初)、木製品販売時に「地元産木材を使用するとどれだけCO2排出が削減できるか」というPR活動をしています。
京都府北桑田高校森林リサーチ科の「地元の木を使って「ウッドマイレージ」を減らそう!」

私も京都代表の発表時間にあわせて短時間参加させてもらました。「地元の木を使うという」ことがCO2の排出量と結びつく、わかりやすさが、評価されたのだと思いますが、高校生の気持ちの入った演技力もトップクラスで立派だったです。

ストップ温暖化大作戦が「地域における温暖化防止の取組をより一層推進することを目的」とする環境事業ですから、すべての事業にどの程度CO2が減ったかが評価されると同時に、創意工夫、普及可能性、プレゼンテーションの力などが評価されるのだと思います。

各地で都道府県産材の普及推進に取り組んでいますが、京都府・木材業界・地球温暖化防止センター一緒になった「木にも人にも地球にもよい」という京都府産材のアピールは、地元材普及という取組がローカルな取組でなく、グローバルな広がりをもったものであることを、示しています。

全国から集まった47の取組には、岐阜県東濃ひのき製品流通協同組合の「木くずを使った木質バイオマス発電「森の発電所」で、CO2削減。」、岡山県銘建工業の「真庭地域の木質バイオマス資源で、エコ発電とCO2削減。目標、日本一のバイオマスタウン!」など木材業界の健闘も目立ちました。

energy1-51<anoeco2008>


「バイオマス・バイオ燃料の持続可能性」(2008/2/10)


1月15日に日本エネルギー学会バイオマス部会が主催する第三回バイオマス科学会議が京都で開催され、その中の「バイオマスバイオ燃料の持続可能性」というタイトルのパネル討議に参加する機会がありました。

科学者会議のプログラムに並んだ研究発表リストを見ると、当該分野は資源、政策、技術の三つの分野に分かれるようですが、ガス化、液体燃料、マテリアル変換といったバイオマス資源利用の利便性・効率性を図るための工学的・技術的な課題についての報告が並んでいます。

地球温暖化問題を背景にして、バイオマスブームというべき状況の中で、エンジニア系の研究が活性化していることを示していますが、それらの研究者が、食糧をエネルギー資源とすることの問題点、バイオマス資源の持続可能性について社会的な関心を持ち始めていることに対する対応です。
会議の概録はこちら

「バイオマス・バイオ燃料の持続可能性」
    [司会・モデレータ]松村 幸彦(バイオマス部会幹事、広島大学 教授)
    [パネリスト]
      匂坂 正幸 ((独) 産業技術総合研究所 ライフサイクルアセスメント研究センター)
      森本 慎一郎 ((独)産業技術総合研究所 技術情報部門)
      泊 みゆき (NPO法人バイオマス産業社会ネットワーク)
      藤原 敬 ((社)全国木材組合連合会 常務理事)
             木質バイオマス資源の供給過程での環境負荷の評価について
[趣旨] 近年、バイオマスの持続可能性についての議論が重視されている。バイオマス利用は、再生可能、 炭素中立という特徴に基づいて持続可能な社会のマテリアル・エネルギー源として期待されているが、プランテーションのための肥料の生産、 森林の伐採、輸送に伴う燃料消費などから、その持続可能性が改めて問い直されているためである。生産、加工、輸送、利用の流れの中で、エネルギー、 温室効果ガス、生物多様性などの持続可能性をどのように評価し、判断するべきかを、バイオマスの持続可能性について 検討を進めている各分野のメンバーの意見を踏まえて議論する。

「木質バイオマス資源の供給過程での環境負荷の評価」についてというタイトルで報告しました(概要はpdfファイル)。

建築材料としての木質バイオマス(木材)で先行している森林認証制度を紹介するとともに、輸送過程の環境負荷と、世界の森林とバイオマス供給力、について検討してみました。

(木質バイオマス燃料の輸送距離の環境負荷の推定)

木材チップは石油と比べると、エネルギー密度は4-5分の1(単位重量当たりであり単位容積当たりとするとさらにその差は拡大する)であり、このエネルギーを使って自動車輸送した場合、木材チップでは2700キロメートルを超えると、輸送エネルギーを負担できなくなる。その上製造過程でエネルギーが必要なので、カーボンニュートラルといっても遠距離を運ぶ場合、大きな負担となります。

発熱量を100とした場合、加工過程で10のエネルギーを使い、輸送過程では、20から35程度のエネルギーを消費することにり、木質バイオマスエネルギーを供給する場合、可能な限り地場産の原料を使用することの重要性がります。

この部分の内容は、NPO法人バイオマス産業社会ネットワーク(BIN)が最近公表したバイオマス白書に投稿しました。(こちらから
(本サイト内「輸入材ペレットと地域材ペレットのエネルギー収支」参照)

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水とウッドマイルズが結ぶ隣県連携(2008/2/10)

1月23日山梨県の森林総合研究所でウッドマイルズ研修会が開催されました。

山梨県は15万ヘクタールの県有林をFSCに認証することで、日本の森林認証の導入に大きな役割を果たしが、この県有林を含む山梨県産材を、東京都民、神奈川県民に利用してもらう、ということを考えた場合、ウッドマイルズという考え方が重要な役割を果たすという考えです。

折からの降雪という条件でしたが、県内の行政や木材の関係者はもとより、神奈川県からも建築関係者がみえて、県内の建築事例を事前にウッドマイルズ発表がされるという、準備の行き届いた研修会でした。

山梨県産材健康住宅研究会のサイトから
「各地で広がる県産材利用の運動に地球環境の視点を入れると格段に運動の広がりがでて、隣県との連携につながる」「ウッドマイルズは地域材利用を地球環境問題から訴え「地域材利用推進」と「県境を越えた環境にこだわる消費」を結ぶツールである 」というのがかねてからの研究会の主張です。

山梨県の取組が実を結び、隣県の方々との連携が進むことを期待しています。

そういうイベントがあった次の週の2月3日、横浜市内で開催された、横浜の水源となっている山梨県内の水源林をフィールドにした「道志水源林ボランティアの会」の総会で話をさせていただく機会がありました。

横浜市水道局は山梨県道志村に保有している約2,800haの水源林を、水源かん養機能の高い森に再生させるため、民有林の所有者・道志村等と連携して、市民ボランティアの手で民有林を整備する「道志水源林ボランティア事業」を平成16年度から市民協働事業として実施してきたのですが、その登録された方が自主的につくったNPOなのだそうです。(水道局のページ

「流域」というコンセプトで長年培ってきた両県の連携事業が、市民参加の事業となってきたわけですが、地球環境という視点を含めて、あらたなネットワークとして広がっていくことを期待します。


kokunai3-34<rinsetukennet>


グリーン購入パワーの指標、エコプロダクツ展の来場者データ(2008/2/10)

小サイトでは日本のグリーン購入のパワーを示す指標として、エコプロダクツ展の来場者参加団体数の推移を示してきましたが、2007年12月に開催された最新のデータを、事務局に確認しましたので、掲載します。

参加団体 入場者数
1999 274 47.449
2000 305 67.838
2001 350 88.604
2002 370 100.483
2003 416 114.060
2004 453 124.829
2005 502 140.461
2006 572 152.966
2007 632 164.903
前年比 110% 108%


kokunai2-34<ecopro2007>

最後までお読みいただきありがとうございました。

最後までお読みいただきありがとうございました。

藤原敬 fujiwara@t.nifty.jp

 

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