ニュースレター No.096 2007年8月12日発行 (発行部数:1350部) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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このレターは、「持続可能な森林経営のための勉強部屋」というHPの改訂にそっておおむね月に一回作成しています。 情報提供して いただいた方、配信の希望を寄せられた方、読んでいただきたいとこちら考えて いる方に配信しています。御意見をいただければ幸いです。 |
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フロントページ:CASBEEすまい戸建<暫定版>によせて(その1)(2007/8/12)
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昨年6月に試行版いらい作成中に2回の素案が公開されるのは、CASBEE他のバージョンに比べると異例の手続きであり、戸建て版についての反響が大きい証拠だと思います。 (CASBEEすまい(戸建)暫定版についてから全文がダウンロード出来ます) CASBEEの全体は評価の対象を建築物の環境効率(BEE)という指数に統合する考えに立っており、下図に示す6の環境因子を分子側Q(建築物の環境品質・性能)と分母側L(建築物の外部環境負荷)に分類し、ΣQ/ΣLを住まいの環境性能効率としています。 このうち、木材や森林に関係する項目は以下に示すとおりです。特に住宅資材としての木材の環境的側面について重要なのは、Q3.4の「地域の山林から産出される木材資源の活用」、LR2.1の「持続可能な森林から産出された木材の利用」です。この点を見ていくと、「建築関係者の環境へのこだわり」という絶好の枠組みにも関わらず、森林や木材のサイドの主張が体系的に展開出来ていないというもどかしさを感じます。
1 持続可能な森林から産出された木材の取り扱い この点についての記述は以下の通りです。
昨年発表された「木材・木材製品の合法性、持続可能性の証明のためのガイドライン」(以下ガイドラインと呼ぶ)が大きな位置を占めているのは現時点で大切なことです。 その上で、ガイドラインに基づいて証明された「持続可能な森林から産出された木材」が、若干不明確になっていることが、いろんな波紋を投げかけています。 (ガイドラインによる「持続可能な森林」から産出された木材) ガイドラインでは「持続可能な森林経営の行われている森林を第三者が評価・認証」している森林としてFSC、SGECなどの制度による認証森林を例示しています。 また、業界団体の認定を得て事業者が行う証明方法としては、伐採段階で、伐採業者が原木の伐採箇所を記載するとともに、「原木が持続可能な森林経営が営まれている森林から産出されたものである旨を証明書に記載する」ことを証明の連鎖の出発点とするとしていますが、何が持続可能な森林経営なのか明確な定義を示していません。 他方現在国有林材や都道府県有林材の一部が持続可能な森林経営が営まれていると宣言して販売されているので、それらの木材は「持続可能な森林から産出された木材」だとして業界団体の認定事業者によって流通している可能性があります。 (「日本国内から産出された針葉樹」の持続可能性) そのような宙ぶらりんの実態を反映した記述が「日本国内から産出された針葉樹材」を持続可能な森林より産出した木材とするという部分です。第三者による明解な持続可能な森林から産出した木材が「わずかである」ため、「現実的な」対応として次善の策が提案されているものです。 この記述につは、賛否両論のあるところでしょう。国内の林業関係者にとってはメリットの多いものですし、また伐採された森林が環境に負荷を与えている程度や識別の可能性などを考慮すれば「国産針葉樹材」を抜き出して持続可能とする記述は一つの知恵といって良いかもしれません。 ただし、持続可能な森林の国際的な議論が地球サミット以来積み重ねられ、森林の状況の他にマネジメントの状況を評価するというコンセンサスになっていることを考慮すると、ある地域に生育する特定の樹種を持続可能だという技術基準に同意することはなかなか勇気のいることです。 また、この記述については、@「ISO の環境ラベルの一般原則 <ISO14020(JIS Q 14020)>」などが要求する内外無差別(同第二原則)の関係、A最近問題になっている再造林放棄地など国内の森林の持続可能性についての指摘がされている(九州・四国等における再造林放棄地の対策に関する質問主意書、同答弁書)など、いくつかの問題点を指摘することができます。 (林業サイドからの明確なメッセージが必要) CASBEEの当該部分の記述は森林認証材が流通が未だ限定的な現状から出発していますが、@持続可能な森林経営の国内外の森林への評価、A合法性や持続可能性を証明する取組の現状など総合的に検討した上で、林業・木材産業の分野での取組を一歩前に進めるというメッセージとして重要な意味を持っています。 CASBEE事務局と林業関係者の十分な連携の下に、合法性を証明した木材を供給する努力を評価しながら、持続可能な森林経営についての明確な定義を明確にした、明確なメッセージが発信される必要があると思います。 2 地域の山林から産出される木材資源の活用 以下次号につづく kokunai3-32<CASBEEzan> |
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参議院選挙と各党の森林林業政策(2007/8/12) 参議院選挙結果の原因がいろいろ議論されていますが、「民主党の農業政策が一定の役割を果たした」との指摘があります。(農家、民主党案に一定の理解 自民“牙城”の農業票不調 (共同通信)) 選挙で政策が議論されるのは好ましいことです。ウェブ上の各党の政策一覧表
kokunai6-10<saninsen> |
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IPCC第四次報告書第三作業部会報告書2007/8/12 5月に公表されたIPCCの標記報告書は我が国の森林政策にも大きな影響を持つと考えらるので、森林関係の暫定訳を掲載します。 温暖化問題についての国際的な専門家が科学的な研究の収集、整理を行っている、「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」が、この春第4次評価報告書をとして公表しました。(環境省IPCC第四次報告書について) 最近の日本の森林政策が気候変動条約の国際的枠組みの中で議論されることが多いので、森林林業関係者としても、この面での最新情報をしっかりとらえておく必要があるでしょう。 IPCCの報告書は三つの分科会によって作成され、第1作業部会は「自然科学的根拠」、第二作業部会は「影響、適応、脆弱性」、第三作業部会が「気候変動の緩和策」であり、森林政策にとって重要なのは第三部会報告書です。 第3作業部会報告書は政策担当者向け要約Climate Change 2007: Mitigation of Climate Change Summary for Policymakersの原文がIPCCホームページの関連ページからダウンロード出来ます(こちらから) また、政策担当者向け要約の仮訳が財団法人地球産業文化研究所から提供されています(こちらから) 本文はフルテキストWORKING GROUP III FOURTH ASSESSMENT REPORT Pre-copy edit versionはIPCCホームページの関連ページからダウンロード出来ます。(こちらから) 現在全体の日本語訳は提供されていませんが、第9章林業の要約部分の暫定訳を提供して頂きました。(林野庁研究保全課松本康裕専門官が、自身の訳を、報告書の共同執筆者の一人である森林総研の松本光朗室長にチェックして頂いたものです。両松本さんに深く御礼をいたします)
kokusai2-17<IPCC4_3bukai> |
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