ニュースレター No.091 2007年3月11日発行 (発行部数:1350部)

このレターは、「持続可能な森林経営のための勉強部屋」というHPの改訂にそっておおむね月に一回作成しています。

情報提供して いただいた方、配信の希望を寄せられた方、読んでいただきたいとこちら考えて いる方に配信しています。御意見をいただければ幸いです。 
                                                    藤原

目次
1.
違法伐採対策推進国際セミナー2007の結果2007/3/10)
2. ウッドマイルズ出版記念セミナー2007/3/10)
3. 中国の森林認証とSGEC・PEFC(続き)2007/3/10)
4. 「緑の消費者の台頭と山林への期待」2007/3/10)

違法伐採対策推進国際セミナー2007の結果2007/3/10)

「日本の木材調達政策に対する世界の対応」というテーマを掲げた、違法伐採対策推進国際セミナー2007in東京が2月26/27日東京ビックサイトで開催されました。

全木連の違法伐採総合対策のサイト「合法木材ナビ」にその詳細が公表されています(こちら)。

テーマにあるように、日本市場に木材を供給している世界8カ国から違法伐採された木材を排除するために合法性をどのように担保しているのか、について説明をうけ、それを巡って議論をしようという、試みでした。

個人的に事務局に深く関わっていたのでどんな評価か気になります。

300人をこえる参加者が集まり、、熱心に二日間の議論をフォローして頂いただきました。その6割が木材業者でしたが、違法伐採問題という問題提起がビジネスに影響を与えるようになってきたということを実感させるものでした。

各地域で取り組んでいる証明制度について、一つのセミナーで一刀両断に評価するのは難しいことですが、今回のセミナーのポイントは、一定の様式で報告してもらうことでした。(違法伐採対策推進国際セミナー2007in東京における報告者の留意事項

合法性をどのようにチェックしているかという基本となる点はもちろんですが、「現在の証明書のシステムの問題点と今後の改善すべき課題」といった項目で、システムに対する批判および問題点の認識、改善の手続きなどについても、記述するように要請しているところがポイントです。

今回は、実行委員長の新潟大学荒谷教授、東大の永田教授、北大の柿澤教授、森林総研の藤間さんに手分けしてチェックをして頂きましたが、直前に提出されたものもあり、当日配布の段階ではまだ未定稿ものです。(合法木材ナビ発表資料一覧に当日配布版とプレゼンで使用したスライドがすべて掲載されています)

「国際セミナーをきっかけとしてGoho-wood認証システムのネットワークを作ろう」という「荒谷委員長のまとめの発言(Seminar statement)」を発信しています(こちら)。今回の発表資料が出発点となり、合法木材ナビが各国の合法証明制度のプラットフォームとなるように運営出来ればと考えています。

ご期待下さい。

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ウッドマイルズ出版記念セミナー2007/2/18)

3月下旬に「ウッドマイルズ 地元の木を選ぶこれだけの理由」という本が農文協から出版になります。会員の16名の共同執筆によるものです(目次)。森林所有者から建築関係者、行政、研究など幅広い筆者の顔ぶれがウッドマイルズの可能性を象徴しています。

4年前に発足したウッドマイルズ研究会は会員約100名、ニュースレター200通という団体に育ちました。本部が岐阜県にあり、京都を中心に地域材のウッドマイルズ評価という強力な運動が展開していることもあって、研究会のセミナーは関西、中京圏で開催されてきました。ウッドマイルズの書籍出版という機会に、初めて東京都内で記念セミナーを行うことになりました。(詳細はこちら

会場で出版したばかりの書籍をお渡しします(会費3千円は書籍代込み)。たくさんの皆さんの参加をお待ちしています。

(日時)2007年3月24日(土)15:15〜17:30 (開場受付 14:45〜)
             ※ 13:00〜14:30 求道会館建物一般公開
(場所)求道会館大会堂(東京都文京区本郷6丁目20番5号)
(定員)50名

(プログラム)
<開会挨拶> 熊崎実/岐阜県立森林文化アカデミー学長(ウッドマイルズ研究会会長)
<リレー講演>
@ウッドマイルズとは何だろう〜森林と消費者の距離が明かすもの
   藤原敬/(社)全国木材組合連合会常務理事(ウッドマイルズ研究会代表運営委員)
A近くの山の木は環境にやさしい〜木造住宅の新たな環境指標
   滝口泰弘/NPO法人WOOD AC代表理事(ウッドマイルズ研究会事務局長)
B木の家づくりとウッドマイルズ〜民家型構法から森林文化アカデミーの木造教育へ
   三澤文子/岐阜県立森林文化アカデミー教授(ウッドマイルズ研究会運営委員)
C林業政策とウッドマイルズ〜京都府産木材認証制度の取組
   白石秀知/京都府農林水産部林務課課長補佐(ウッドマイルズ研究会運営委員)
<特別コメンテーター> 
   長谷川敬/長谷川敬アトリエ代表取締役(ウッドマイルズ研究会顧問、東京の木で家をつくる会前代表))


セミナー詳細案内・申込書は→こちら

『ウッドマイルズ 地元の木を選ぶこれだけの理由』
著者/ウッドマイルズ研究会  発行/農文協(社団法人農山漁村文化協会)  定価/1,750円
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第1章 ウッドマイルズとは何だろう
・日本はウッドマイルズ大国−森林と消費者の距離が明かすもの(藤原敬)
・近くの山の木は環境にやさしい−木造住宅の新たな環境指標(滝口泰弘)
第2章 木の家づくりとウッドマイルズ
・「地元の木」を使った住まいを設計する(田村宏明)
・「あなたの家の柱は、どこからやってきましたか?」(榎本崇秀)
・近くの山の丸太から生まれた子どもたちの活動拠点施設」(滝口泰弘)
・家具に地域の木を使う(石井学・石井愛)
・民家型構法から森林文化アカデミーの木造教育へ(三澤文子)
第3章 各地の地産地消運動のなかで
・持続可能な滋賀県への挑戦(山口美知子)
・越後杉の誕生−地域材を活かす(二野宮雅宏)
・循環可能な森づくり、家づくり−北海道下川町(相馬秀二)
・身のまわりの木材を探れ−岐阜木材探偵団(坂崎有祐)
第4章 環境を守るウッドマイルズ
・企業の社会的責任とウッドマイルズ(澤田順子)
・ウッドマイルズを環境負荷価値へ(渕上佑樹)
・環境運動とウッドマイルズ(野池政宏)
・国際的な環境運動−ウッドマイルズの活動(藤原敬)
第5章 林業政策とウッドマイルズ
・ウッドマイレージCO2認証制度(京都府産木材認証制度)の取組(白石秀知)
・研究面での取組(立花敏)
・日本の林業政策を評価する(藤原敬)
・ウッドマイルズと木材供給者の責任(熊崎実)
第6章 ウッドマイルズの広がりと展望
・ウッドマイルズ研究会の3年間(藤原敬)
・建築物を評価するツールとしてのウッドマイルズ(藤原敬)
・県産材、地域材を普及するツールとしてのウッドマイルズ(藤原敬)

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中国の森林認証とSGEC、PEFC(その2)2007/2/18)

1月の下旬中国の国家林業局の森林認証を所管している方々からの招待を受け、北京市内で日本の森林認証について意見交換をする機会がありました。(前回からのつづき)

私とともに招待された、PEFCアジアプロモーションズ武内事務局長の発表資料の一部の日本語版を、いただいたので、掲載します。

PEFC森林認証プログラム(概論編)
国際市場の中のPEFC

汎欧州森林認証システム(Pan Europian Forest Certification System)から出発したPEFCは、米国、カナダ、オーストラリアなどを取り込み 今では、Programme for the Endorsement of Forest Ceritification(森林認証承認計画)の略称です。世界22カ国の森林認証を相互承認して認証面積約1億9,311万ヘクタールというマンモスネットワークになっています。

極東の日本SGECと中国で新しくできる認証制度との関係がPEFC側からみると大きな課題たといえます。

(つづく 次回は中国の認証制度の紹介)

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「緑の消費者の台頭と山林への期待:持続可能な森林から生産された木材からウッドマイルズまで」2007/3/10)

明治15年に創刊以来1400号を重ねる大日本山林会の会誌「山林」3月号(1476号!)に表記小論を掲載して頂きました。

編集部のご了解を得て、冒頭部分を再録します。

昨年の12月13日から三日間東京ビックサイトでエコプロダクツ2006が開催された。「エコプロダクツ(環境配慮製品・サービス)の普及とビジネスチャンスを拡げることを目的」(開催趣旨)としたイベントに550社、15万人が集まった。自動車会社、石油・ガスなどのエネルギー企業、家電メーカーなどが自社製品の環境配慮をアピールすべく大きなブースを展開していた。開設以来8年間の入場者と参加団体の推移を図1(こちら参照)に示すが、最近お目にかかれない見事な右肩上がりのグラフとなっており環境配慮型ビジネスが大きな潮流となっていることがわかる。

木材は現在の大量消費型社会が成立する前の、間違えなく持続可能な社会であった時代から人々の生活と生産を支える主要資材としての役割を果たしてきており、再生可能、「カーボンニュートラル」な環境配慮型資材(エコマテリアル)として「エコプロダクツの原点」といってよいはずである。ところが、エコプロダクツ展の参加団体のデータベースで木材というキーワードで検索してみると、2003、04年はわずか2社(その中の一社は「非木材紙普及協会」?!)。全木連が参加し始めた一昨年からは増えたとはいえエコプロダクツ2006では550社のうち9社である。

「エコプロダクツの原点」にかかわる林業・木材業界にとってグリーン購入を求める購入者と関係をどのように築いてくかは重要な課題である。小論では、その点について、木材のグリーン購入にとって重要な建築関係の環境性能を評価する試みと、木材側への要求、そして木材側の取組を紹介する中で、検討していきたい。

kokunai3-30 <sanrin0703>


最後までお読みいただきありがとうございました。

藤原敬 fujiwara@t.nifty.jp

 

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