ニュースレター No.061 2004年9月12日発行 (発行部数:1070部) | ||||||||||||||
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このレターは、「持続可能な森林経営のための勉強部屋」というHPの改訂にそっておおむね月に一回作成しています。 情報提供して いただいた方、配信の希望を寄せられた方、読んでいただきたいとこちら考えて いる方に配信しています。御意見をいただければ幸いです。 |
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フロントページ:二酸化炭素吸収源としての伐採木材製品(2005/9/12)
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気象変動枠組み条約の「伐採後の木材製品に関するワークショップ」(UNFCCC workshop Harvested Wood Products)が8月30日から9月1日にかけて、ノルウェイのリレハンメルで開催されました。 京都議定書で温暖化ガスの吸収源としての森林の評価方法では伐採した場合、排出と見なされるのですが、木材や紙製品として蓄積される二酸化炭素を評価すべきだという主張に基づき、そのカウント方法についての議論が進められています。今会合は、条約の事務局が関与した重要な技術会合でした。 京都議定書によって、森林の吸収源としての推計、報告、計算の方法が決められたことにより、日本の森林政策に重要な影響があったことを考えると、ポスト京都議定書における木材の取り扱いにより、木材の消費や貿易政策に大きな影響が出てくる可能性があります。 会議に出席した、森林総研の外崎さん、環境研の橋本さんから話をきくことができ、小HPとしても関連資料の整理を試みてみました。 伐採木材を条約上どう評価するかという手法が、現在のところ4つテーブルに上っています。現在京都議定書で採用されているIPCCの暫定法(the IPCC default approach)と、1998年のセネガル専門家会合で提案された大気フロー法(the atmospheric-flow approach)、同蓄積変化法(the stock-change approach)、同生産法(the production approch)の三つです。(それぞれについては小HPポスト京都議定書の吸収源対策にむけてー秋の学会から(2003/10/14)で簡単な説明がしてあります。くわしくは、外崎真理夫(2004)、福田淳(2004)、セネガル専門家会合報告書(英文)) 今回の会合は、昨年(2003年)9月の開催されたボンにおける専門家会合(会合の概要)を受けて12月の第19回条約科学技術補助機関会合(SBSTA)に提出されたテクニカルペーパーをベースにして、@伐採後の木材の推計、報告、計算の範囲と定義、A伐採後の木材の複数の計算手法による、先進国途上国別の影響、持続可能な森林管理とバイオマスの利用、輸出国輸入国及び貿易などに及ぼす影響、B木材製品の推計報告手法に関する事項、を議題として議論されました。(1−2ヶ月後に結果の報告書が提出される予定) 提示されている評価の方法は、輸出国の輸入国にとって全く逆の利害関係になるため、議論には政治的な要素をはらんでいますが、信頼性のあるモニタリングができるか、締約国が責任を持った管理ができるか、持続可能な森林経営のインセンティブになるか、木材の耐久利用の促進になるか、貿易の増加による輸送ネルギーの排出をもたらさないか、などの基準による、落ち着いた議論の展開が必要だと思います。 蓄積された木材が持続可能に生産されたものかどうかといった点から、森林認証制度の議論が気候変動枠組み条約上で進展する可能性もあります。また、木材の蓄積量と輸送過程のエネルギーの比較という形で、ウッドマイルズの議論の発展にも関係してくる可能性もあります。 【参考資料】 最近、日本語の情報も提供されるようになってきました。以下は必読文献です。 外崎真理夫(2004)「『伐採木材』に関する専門家会合」、木材工業 Vol.59、No.1(筆者と日本木材加工技術協会の承諾を得て提供します本文pdfファイル) 福田淳(2004)「気候変動枠組み条約における伐採木材製品の取り扱いに関する考察」、林業経済 Vol.57、No.5(04年8月)(概要pdfファイル)(本文テキストは筆者本人に請求下さい) 橋本征二(2004)「日本における伐採木材のマテリアルフロー・炭素フローデータブック」、地球環境研究センター、国立環境研究所(地球環境研究センターのHP解説ページ ダウンロード元) (過去40年間の伐採木材の木製製品、紙製品、埋立地中廃棄物等としてのストックの経年変化を推定しています) Sandra Brown, Bo Lim and Bernhard Schlamadinger(1998)"Evaluating Approaches for Estimating Net Emissions of Carbon Dioxide from Forest Harvesting and Wood Products (森林伐採および木材製品から排出される二酸化炭素の純排出量の推計に関する評価手法」の報告書(英文))(三つの手法が提案されたオリジナル報告書) 条約事務局(2003)Estimaton Peporting and Accounting of Harvested Wood Products (FCCC/TP/2003/7) (伐採木材製品の今回の会合のベースとなった技術報告書)(今回号で使われたプレゼンテーション用のソフト) 同会議に関する条約事務局のHP |
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国際熱帯木材機関第36回理事会の結果(2005/9/12) 国際熱帯木材機関(ITTO)の第36回理事会は、7月20日(火)〜23日(金)までの4日間、インターラーケン(スイス)において開催されました。また、理事会に引き続き、7月26日(火)〜30日(金)までの5日間、ジュネーブ(スイス)において、国際熱帯木材協定(ITTA)の第1回改定交渉が開催されました。 主な内容は以下の通り 持続可能な木材生産及び貿易との関連における森林法の施行(議題14) 事務局より、熱帯木材製品に関する輸出入データのケース・スタディーの進歩状況について報告、EUから「違法伐採対策に係るEU行動計画」(大綱)などの報告がありました。 CSAG(市民社会諮問委員会)及びTAG(貿易諮問委員会)によるパネル・ディスカッションー森林法とガバナンス、違法伐採とそれに関連する貿易ー(議題15)の報告があり、熱帯林に関する基礎データの整備とデータの質の向上、熱帯林に関する法律・規制の見直し、合法的な伐採とそれに関連する貿易を促進するための国際的な取り組みに加え、国家規模や地域規模の取り組みの重要性について説明が行われました。 持続可能な森林経営のための基準・指標(議題17) 2004年3月にフィリピンで開催されたFAOとITTOによる基準・指標に関する合同専門家会議の報告がありました。 熱帯林認証の段階的アプローチ 全認証森林の中で、熱帯林が10%にも満たない現状の中で、途上国の現状にあわせた段階的アプローチを検討しており、いくつかの案を含む段階的認証制度の手順に関する報告書と、費用効果分析の報告書が提出され議論されました。 林野庁プレスリリース ITTOホームページ36回理事会会議資料 Earth Negotiation Bulletin(英文の会議要録) 理事会 改訂交渉会議 |
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日本の認証森林の現況表(2005/9/12) 9月現在の我が国の第三者認証森林についてのデータをまとめてみました。 FSCによる認証森林18件・189326ha、SGECによる認証森林3件・1529haとなっています。 詳しくはエクセル表を資料室におきます。こちらからどうぞ。 |
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国連森林フォーラム(UNFF)第四回会合の結果 少々旧聞になりますが、5月にジュネーブで国連森林フォーラムの第四回会合がありました。地球サミットの森林原則声明のフォローアップを国連として正規に行うきわめて重要な位置づけを持った会議です。 しかし、気候変動枠組み条約、生物多様性条約など地球サミットで平行して議論された枠組みと比較すると、少し寂しい展開です。近い将来、ここから森林条約などの重要な次のステップが生み出される可能性が見えにくいので、あまり関心が示されなくなっています。 現実の厳しさを正確に見ておく上でも小HPでは結果をフォローしておくことにします。 今回の会合では、重点課題である@森林に関する科学的知見、A森林の社会的・文化的側面、Bモニタリング・評価・報告及び持続可能な森林経営の基準・指標、C資金及び環境に優しい技術の移転、に関する「森林政府間パネル及びフォーラム(IPF/IFF)行動提案」の実施を促進するための決議を採択しました。 また、2005年の国連森林フォーラム第5回会合(UNFF5)で行われる森林に関する国際的枠組の実効性の評価について、その促進を図るための決議をしました。最後の会議は条約についての議論となります。 以上に会わせて、小サイト内の解説ページ「地球サミット森林部分のフォローアップの状況」 をアップデートしました。 資料 林野庁プレスリリース(5/28):国連森林フォーラム第4回会合(UNFF4)の結果概要について 国連森林フォーラム第4回会合報告書 United Nations Forum on Forests Report on the fourth session (6 June 2003 and 3 to 14 May 2004)(公式サイトよりダウンロード、小HP資料室) 国際NGO団体IISDが運営する地球交渉回報(Earth Negotiaton Bulletin)による会議詳報 |
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