持続可能な森林経営の実現のための政策手段に関する勉強部屋
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ニュースレター 038
2002年10月11日
630部発行
このレターは、表記HPの改訂にそっておおむね月に一回作成しています。情報提供していただいた方、配信の希望を寄せられた方、読んでいただきたいとこちらで勝手に考えている方に配信しています。表記HPも併せてご覧下さい。御意見をいただければ幸いです。 藤原
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フロントページ:一枚のグラフの説得力
「環境と森林」有識者懇談会の最終報告
環境経済・政策学会大会関係報告(seeps2002 その1)
森林管理における国際的レジームの成立条件に関する検討(seeps2002 その2)
日本における木製品の炭素収支(seeps2002 その3)
フロントページ:一枚のグラフの説得力new(2002/10/11)
北海道大学で開催された環境経済政策学会のシンポジウムで基調報告にたった北海道大学小野有五教授は、冒頭一枚のグラフを示しました。南極のヴォストーク基地でボーリングした氷柱に封入された二酸化炭素濃度の分析結果を、他の観測結果とあわせてまとめたグラフでです。
昨年の7月アムステルダムで開催されたシンポジウムでBerrien Moore教授が公表した、オリジナルな図を掲載します。
←こちらをクリック、出典 Berrien Moore III(2001)
過去40万年間、大気中の二酸化炭素の濃度は周期的な増減を繰り返し(それが気温の変動と同調している)、その変動幅は180ppmv(百万分の1体積比率)から280ppmvの間に収まっています。そして20世紀になってから、大気中の二酸化炭素濃度は過去40万年間で初めて変動幅を離脱すると同時に、増加の一途をたどっているというものです。
化石資源にどっぷりと浸かった20世紀の後半の生産消費パターンによって、地球に存在していたある種の制御システムが崩壊の危機に立っていることを示しています。
様々な圧力を排除しながら気象変動枠組み条約が力を得たのは、このような地道な蓄積に支えられてのことだと思います。科学的な知見が世界の政治を動かす可能性があるということを示すグラフです。
「環境と森林」有識者懇談会の最終報告new(2002/10/11)
農林水産省(林野庁)と環境省の行政関係者で構成する「地球環境保全のための森林保全整備に関する協議会」と、その元に設置された有識者による「地球環境保全と森林に関する懇談会」(木村尚三郎座長)の検討結果が、9月26日の第四回協議会の結果として公表されました。
地球温暖化と生物多様性という森林の地球的な共有資源としての側面を管理する国際課題に照らして、国内森林政策の課題を提示するのが協議会と懇談会の課題でした。
林野庁と環境省が連携したこと、基本資料が全てオープンになっていることなどが特徴です。
関連した両省のサイトに掲載されている資料を再構成して一覧表にしてみました。
会合名 日付 資料名 議事関係 政策資料 とりまとめ 第四回協議会 9/26 議事次第 最終報告書(骨子・本文・概要) 第四回懇談会 9/14 議事次第 [PDF(9KB)] 現地視察の概要(高知県檮原町)[PDF(431KB)]
平成15年度概算要求の概要[PDF(228KB)]地球環境保全と森林に関する懇談会報告(案)[PDF(30KB)] 第3回協議会 7/25 議事次第 [PDF(8KB)]
出席者一覧 [PDF(6KB)]
地球温暖化防止に貢献する森林県連合政策提案 (複数資料組)
・ 政策提案イメージ図 [PDF(257KB)] ・ 政策提案体系図 [PDF(316KB)] ・ 主な政策提案 [PDF(157KB)] ・ 「緑の雇用」による地域活性化 事例:和歌山県 [PDF(91KB)] ・ 「国の地球温暖化及び平成15年度予算に関する緊急政策提言」 [PDF(57KB)]
懇談会中間とりまとめ(骨子) [PDF(18KB)]第2回協議会 7/11 議事次第
山下環境副大臣、岩永農林水産大臣政務官
奈良県森林地域視察概要 [PDF(9KB)]山下環境副大臣、岩永農林水産大臣政務官
奈良県森林地域視察概要 [PDF(9KB)]第3回懇談会 6/11 議事次第 [PDF(6KB)] 懇談会 中間とりまとめ(案) [PDF(35KB)]
委員の主な発言概要 [PDF(11KB)] 第2回懇談会 6/5 議事次第 [PDF(6KB)] 温室効果ガス削減の全体像 [PDF(50KB)]
森林吸収の具体的考え方について [PDF(133KB)]
森林の整備・保全の方向について
1/4 [PDF(136KB)]
2/4 [PDF(220KB)]
3/4 [PDF(224KB)]
4/4 [PDF(253KB)]懇談会の論点について [PDF(9KB)]
委員意見概要案(第1回、第2回) [PDF(10KB)]第1回懇談会 5/28 議事次第
懇談会について [PDF(7KB)]
懇談会委員名簿 [PDF(6KB)]地球温暖化について [PDF(92KB)]
森林吸収源対策について
1/5 [PDF(49KB)]
2/5 [PDF(159KB)]
3/5 [PDF(278KB)]
4/5 [PDF(319KB)]
5/5 [PDF(149KB)]
生物多様性の現状と課題 [PDF(332KB)]
森林植生の分布状況第1回懇談会発言の整理 [PDF(15KB)]
第1回協議会 5/21 議事次第
協議会について [PDF(7KB)]
懇談会について(案) [PDF(7KB)]
懇談会メンバー(案)
環境経済政策学会大会の関係報告リストnew(2002/10/11)
環境経済政策学会2002年大会から(1)
9月28日29日の両日、環境経済・政策学会の大会が北海道大学を会場として開催されました。
このサイトに関係する発表を一覧すると以下の通りです
題名 報告者 所属 備考 森林林産物を直接対象とした報告 森林の公益機能の環境経済的評価手法開発
マレーシアの熱帯林を例として坂上雅治 日本福祉大学 現代中国の緑化政策
森林環境をめぐる政治経済構造平野悠一郎 東京大学 財産区有林の管理実態に関する環境経済学的考察
岩手県江刺市・滋賀県甲賀町の財産区有林を事例として三俣学 京都大学 森林管理における国際的レジームの成立条件に関する検討 藤原敬 森林総研 日本における木製品の炭素収支
リサイクル。長寿命化、貿易のインプリケーション橋本征二 国立環境研 バックグラウンドに関する報告 環境容量からみた世代間・地域間公平問題の現状とあるべき姿に関する一考察 泉浩二 三井共同建設コンサルタント 環境影響物資の限界費用を用いた環境配慮商品の社会的効果の測定 岡敏弘 福井県立大学 仮想ランキングによるエコツーリズムの需要予測 拓植隆宏 神戸大学 東アジア諸国の貿易自由化と環境政策の発展 原嶋洋平 拓殖大学 温暖化対策関連 CDMをめぐる国際情勢と日本の対応 山口光恒 慶応大学 京都メカニズムに対する公的資金活用方法について 明日香壽川 東北大学
森林管理における国際的レジームの成立条件に関する検討new(2002/10/11)
環境経済政策学会2002年大会から(2)
小生も表記報告をしました。熱帯林問題が地球環境問題として浮上してから20年間の経過から、森林管理の国際化の条件を検討するものです。
国際関係学での国際レジーム(体制)論は問題領域ごとに国際協力を分析するために使い始められたものです。資源管理の主権を持つ資源国が国際管理を受け入れる条件の一つは先進国の緑の消費者の動きであることを示します。
概要はこちら。また、使用した資料を資料室からダウンロードできるようにしています。
日本における木製品の炭素収支new(2002/10/11)
環境経済政策学会2002年大会から(3)
200ほどある大会報告中で、直接将来の森林林業政策に影響を及ぼしそうな課題を取り扱ったのは国立環境研究所橋本研究員の表記発表でした。
京都議定書の森林の吸収源のとらえ方は不十分で、林産物として固定される部分をどうカウントするかはIPCCでの今後の検討課題になっています(IPCCダカール会合など)。
2013年以降の第2約束期間に向けて枠組みが国際的に議論されるわけですが、我が国にどのようなインパクトを加えるかシュミレーションをしながら我が国もその議論に参加していく必要があります。
この報告は、今後の議論のテーマがどのへんにあるか示唆するものです。
概要はこちら。
藤原敬
〒356-8687 独立行政法人 森林総合研究所
電話 0298-73-4751 FAX 0298-73-3795
email mailto:takashi.fujiwara@nifty.com
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