気候変動枠組み条約COP19の中の森林吸収源(2014/1/19)(1/29改訂、2/11再改訂)

昨2013年11月11日から23日まで、ポーランド・ワルシャワで、国連気候変動枠組条約第19回締約国会議(COP19)、京都議定書第9回締約国会合(CMP9)等の会議が開催されました。

途上国が参加しない京都議定書に対して、すべての国が参加する新たな枠組みの議論(ダーバンプラットフォーム)がどこまで進むのか注目されていた会議ですが、「2020年以降に始める地球温暖化対策の次期枠組みに向け、すべての国が温室効果ガス削減の目標や貢献策を作ることで合意した」(大会記者発表)とされました。

国連気候変動枠組条約第19回締約国会議(COP19)京都議定書第9回締約国会合(CMP9)等の概要と評価(日本政府代表団)
温暖化ガス削減、自主目標導入で合意 COP19 (11/24日経)
COP19合意文書採択 15年の早期に温室ガス削減策(朝日)

公式ページ(英語)

会議の中での森林に関する議論の結果をの概要を紹介します。

国際緑化推進センター(JIFPRO)のCOP19等報告会(森林分野))、、気候変動枠組み条約COP19,CMP9ワルシャワ会合における関連の議論、林野庁森林利用課佐藤雄一を参照しました。ありがとうございました。

目次

(森林分野の合意事項、途上国における森林減少・劣化に由来する排出の削減等、REDD+のためのワルシャワ枠組み the Warsaw Framework for REDD Plus合意)

この会合で、森林分野の議論の中心は、途上国が自国の森林減少劣化に由来する排出量を削減する努力に対してインセンティブを提供する枠組み(REDD+)です(途上国の森林管理を世界中で支援する法的な仕組みが、初めてできるかーREDD+の先にあるもの)が、途上国の参画が次期枠組みのカギをにる中で、REDD+について議論は多くの次期枠組み議論の中でも重要な役割をもっているものです。

REDD+が次期枠組みの中で法的な位置づけをもって規定されるようになるためには、①森林の状況を監視する仕組み、②吸収量の測定報告検証MRVの仕組み、③努力の基礎となる通常の排出レベルの決定手続き、④炭素固定以外の森林の機能(セーフガード)についての情報開示の仕組み、⑤森林減少劣化の要因(ドライバー)とその対策の評価手法の五つの技術課題の検討が必要とされてきました(カンクン合意(2010年))。

このうち、積み残しとなっていた①、②、⑤についての議論が進み、全体としての合意にいたりました。

森林の減少劣化に由来する温室効果ガスの排出削減に関する政府間の合意(プレスリリース)
PRESS RELEASE Governments in Warsaw make breakthrough in agreements to cut greenhouse gas emissions from deforestation

REDD+のためのワルシャワ枠組み the Warsaw Framework for REDD Plus

  項目  合意文書名とリンク(英文)(和訳  備考
技術的課題に関する合意   
   森林の状況を監視する仕組み  Modalities for national forest monitoring systems (55 kB)  透明性、一貫性、MRVに適した情報提供、さまざまな森林タイプに応じた対応可能
  吸収量の測定報告検証MRVの仕組み  Modalities for measuring, reporting and verifying (36 kB)  活動結果の測定報告検証は2年に一度の報告書で開示
   努力の基礎となる通常の排出レベルの決定手続き  Guidelines and procedures for the technical assessment of submissions from Parties on proposed forest reference emission levels and/or forest reference levels (85 kB)  参照レベル策定のガイドラインを決定、評価チームの人選、年一回の評価会合など
   炭素固定以外の森林の機能(セーフガード)についての情報開示の仕組み  The timing and the frequency of presentations of the summary of information on how all the safeguards referred to in decision 1/CP.16, appendix I, are being addressed and respected (19 kB)  活動開始直後に国別報告書等で関連情報開示、提出頻度は国別報告書の頻度に応じ
   森林減少劣化の要因(ドライバー)とその対策の評価手法  Addressing the drivers of deforestation and forest degradation (56 kB)  関係機関に要因対策と継続を奨励、当該国にその結果の活用を奨励
政策的課題についての合意   
   支援の調整や組織に関する検討   Coordination of support for the implementation of activities in relation to mitigation actions in the forest sector by developing countries, including institutional arrangements (64 kB)   途上国に窓口を指定。支援調整に関する情報教諭、ニーズの特定など必要事項の整理
  REDD+活動の完全実施促進のための結果にもっと付く資金に関する作業プログラム  Work programme on results-based finance to progress the full implementation of the activities referred to in decision 1/CP.16, paragraph 70 (75 kB)  資金を申請する途上国は、モニタリング体制、セーフガード情報などすべて事前提出、情報公開のためのハブを開設、資金常設委員会に検討を要請
合意文書の仮訳PDF版の入手を希望される方は、下記宛電子メールでご連絡下さい。

独立行政法人森林総合研究所 REDD研究開発センター
E-mail: redd-rd-center(at)ffpri.affrc.go.jp ※(at)は@に置き換えて下さい。

(植林CDMについて

途上国の植林活動の先進国の京都議定書の約束の中で位置づけるCDMの仕組みについては、日本のように第二約束期間に参加しない国は、途上国の植林活動のクレジットを自国の目標達成に取得することは可能だが、そのクレジットを国際取引に遣うことはできない、といった仕組みが今までの会合で決まってきましたが、植林CDMのクレジットの非永続性対応などの技術的な議論がされました。

(土地セクター及び森林にかかるハイレベルパネル)

11月18日(月)COP19会場内でポーランド主催により、標記会合High Level Panel on the role of the land sector and forests at COP19/CMP9が 共同議長: Niinistoフィンランド環境大臣、Witoelarインドネシア環境大臣約65ヶ国、200名程度の参加で、開催されました。

「2020年以降の枠組みにおける土地セクターの潜在的役割についての意見交換」が目的ですが、気候変動にこだわらず、地球環境問題に関する森林分野の国際協力の枠組み作りに関する包括的なレベルの高い会合で注目されます。

議長非公式サマリーをCOP議長へ報告 ハイレベルからのメッセージ

  • 森林を含む土地セクタ は気候変動対策上重要 森林を含む土地セクターは気候変動対策上重要
  • その緩和・適応のポテンシャルを発揮させるため、全ての国に適用される将来の枠組の一部として検討する必要
  • 食糧安全保障、エネルギー、生態系保全等にも配慮した包括的なアプローチをとるとともに 各国の配慮した包括的なアプローチをとるとともに、各国の行動にインセンティブを与えるようなルールとすべき。

High Level Panel on the role of the land sector and forests at COP19/CMP9,
More on the High Level Panel Event on the Land Use Sector and Forests

内容は目新しいものではありませんが、途上国と先進国が共同議長をして、双方を含む「全ての国に適用される将来の枠組」作りをしようとしていることは、1992年の地球サミットの交渉時先進国が提案した森林条約が途上国の反対あえなく法的拘束力のない声明となったことを考えると、20年を経てきた、大きな時代の流れだといえるでしょう。

(先進国 森林等吸収源 先進国の森林等吸収源について(LULUCF))

京都議定書第二約束期間、条約に基づく報告など、先進国の森林吸収源に関する議論でも、一定のコンセンサスの前進がありました。

 条約に基づくインベントリ報告について、表様式を含む報告ガイドラインに合意
Decision 24/CP.19 Revision of the UNFCCC reporting guidelines on annualinventories for Parties included in Annex I to the Convention
報告の様式
Use of the 2006 IPCC guidelines for national greenhouse gas inventors and revision of the UNFCCC reporting guidelines for Annex I Parties to the Conventionから、CRF Tables for SBSTA 39 (Final versions) Set 2 - AFOLU を選び、TABLE 4 SECTORAL REPORT FOR LAND USE, LAND-USE CHANGE AND FORESTRYの一連の様式

 京都議定書に基づくインベントリ報告について、第2約束期間 則したのルールに則した表様式、IPCCが作成した算定 ため が作成した算定のためのガイダンスの採択等に合意
Decision 6/CMP.9 Guidance for reporting information on activities under Article 3, paragraphs 3 and 4, of the Kyoto Protocol
報告の様式
KPLULUCF CRF Tables

いずれも2015年4月提出のインベントリ報告から適用
 2020年以降の新たな枠組みにおける森林等吸収源のより包括的な吸排量の計上等については、今次会合では議論せず 月、6のSBSTA40に先送り
Land use, land-use change and forestry under Article 3, paragraphs 3 and 4, of the Kyoto Protocol and under the clean development mechanism

kokusa2-46(unfcccCOP19)


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