気候変動枠組み条約COP27と森林(2)ー森林関連分野の概要(2023/2/15)

ご案内のように、11月6日(日)から11月20日(日)、エジプト(シャルム・エル・シェイク)において、国連気候変動枠組条約第27回締約国会議(COP27)が開催されました。

国連気候変動枠組条約第27回締約国会議(COP27)、京都議定書第17回締約国会合(CMP17)、パリ協定第4回締約国会合(CMA4)について【11/6~11/20 エジプト・シャルム・エル・シェイク】(環境省)
国連気候変動枠組条約第27回締約国会議(COP27) 結果概要(外務省)
UNFCCC COP27特集(IGES)
“パーマクライシス”下で開催されたCOP27は成功か?失敗か?(国立環境研究所)
SHARM EL-SHEIKH CLIMATE CHANGE CONFERENCE - NOVEMBER 2022

このページでも、COP27の冒頭で開催された森林と気候リーダーズ・パートナーシップ(Forests and Climate Leaders’ Partnership: FCLP)については、報告しました。

報告①COP27における森林関連分野の動き
川島 裕氏(林野庁 森林整備部 森林利用課 森林吸収源情報管理官)
報告②REDD+, GCF, JCM等の動向
石川 貴之氏(林野庁 森林整備部計画課 国際森林減少対策調整官)
報告③CCOP27におけるサイドイベントの開催等について
平田泰雅氏(森林総合研究所 研究ディレクター)
報告④JICAの参画したサイドイベント報告
野田英夫氏(JICA地球環境部次長(森林・自然環境グループ長))

それでは、本体のCOP27で議論された内容で森林に関係あることがらを、1月25日開催された(ちょっと遅かった)に開催された、「フォレスト―カーボンセミナーCOP27等報告会」に出席してたので、その報告(右の表)(の主として林野庁出席者からの報告)に基づいた報告します。

(COP27の概要)

左は日本政府のプレゼン資料にあった、COP27結果概要です。

① COP27全体決定「シャルム・エル・シェイク実施計画」、
②2030年までの緩和野心と実施を向上するための「緩和作業計画」
③ロス&ダメージ支援のため、基金の設置を含む資金面の措置を講じること
④6条(市場メカニズム)実施のための詳細ルール四つの主な交渉結果

だそうですが、最初の2つが川島報告、4番目が石川報告だと思います

順番に説明しますね

(シャルム・エル・シェイク実施計画と森林)

COP27の一番のトピックスが「主に科学的知見と行動の緊急性、野心的な気候変動対策の強化と実施、エネルギー、緩和、適応、ロス&ダメージ、早期警戒と組織的観測、公正な移行に向けた道筋、資金支援、技術移転、パリ協定第13条の強化された透明性枠組み、グローバル・ストックテイク(GST)、パリ協定第6条(市場メカニズム)、海洋、森林、非国家主体の取組の強化等を含む内容」のこの決定

上の図は川島報告の中で示された、この合意事項の中に記述している、森林に関する事項のリストです。

パリ協定の気候目標を達成するため、「温室効果ガスの吸収源及び貯蔵庫として機能する森林」「自然及び生態系を保護、保全及び回復」など、重要性が強調され。また。、条約のもとで、合意されている途上国支援をしていく場合、「REDD+、途上国における持続可能な森林経営と森林炭素吸収量の増大、統合的で持続可能な森林経営のための緩和・適応の合同アプローチ」などを再認識しすること」。などが記載されています。

あまり、新しいことははいっていないみたいです。

(熱帯林を含む途上国支援のための枠組み・資金計画など)

石川報告「REDD+、JCM、GCF等の動向」は途上国支援の枠組みREDD+と、JCM(二国間クレジット)、GCF(緑の気候ファンド)といった、途上国の森林支援の具体的なツールの動向と、会議での議論の内容についての説明でした。

COP26でREDD+に向けてお資金プログラムの内容を議論しよう(パリ協定第6条4項(国連管理型メカニズム)となっていて、議論を続けましたが、方法論の要求事項などまとまらず、今後の検討事項になったそうです。

でも、全体として、どんなことを対象として資金協力の枠組みがどのように動いているのかが、よくわかる説明でした。

左の図は、企業の排出削減行動を、社会的な活動にしていく、道筋を描いています。


(損失と損害ロス&ダメージと森林)

今回の会合の一般的な評価で重視されたのが、損失と損害(ロス&ダメージ)に関する新たな資金制度が生まれたということです。(「損失と被害」で成果を上げたCOP27-支援の基金新設、企業に影響は(日経ENG)

損失と損害ロス&ダメージとは「一般的には、サイクロン、干ばつ、熱波などの異常気象と、海面上昇、砂漠化、氷河後退、土地劣化、海洋酸性化、塩害などのゆっくりと起こる変化の両方への対応」のことだそうです。

ですが、今回の報告の中にそのことが入っていませんでした。

それで、質問の時間に「今回の大きなテーマであったロス&ダメージは森林にどんな関係があると考えられますか?」と聞いてみました。

答え:「温暖化被害などと森林の関係はまだ、はっきりと整理されていないが、適応策のなかに森林のさまざまな機能がかかわっているので、損失と損害の対応策の選択肢のなかに、森林が入ってくると思う」という回答がありました。

(まとめ、生物多様性との統合的対処など))

以上ですが、今回のCOP27で森林に関して、すごく重要なことが新たに決まったということではないようですね。((ロス&ダメージ以外)他の温室効果ガス削減の「30年目標の強化」などの議題では実り少ない結果となった。(日経ESG))

依然として、GHG排出量問題の中で農業・林業・土地利用問題は大きな課題であること(右図)を再認識し、頑張っていきましょう、ということでしょうか。

ただ、川島報告最後のページが「生物多様性と気候変動への統合提起対処」というタイトルだったことが印象的でした。(左図)

決議のあちこちにそのことが記載してあります。

この2つを統合的対処をするためには、森林セクターが欠かせない!!ということですよね。

森林と気候リーダーズ・パートナーシップ(Forests and Climate Leaders’ Partnership: FCLP)はできたし、

主役の登場の前触れです。

今後ともフォローしてまいります。

kokusai2-88<fccccop27repo>

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