途上国における森林減少による排出の削減:行動を刺激するためのアプローチ(2006/12/10) |
以下は、気候変動枠組み条約第13回締約国会合における決議、Reducing emissions from deforestation in developing countries: approaches to stimulate action の仮訳です。
途上国における森林減少による排出の削減: 締約国会合は、 該当する条約の規定、とりわけ2条、3条1,3及び4項、並びに4条1(a)〜(d)、3、5及び7項を想起し、 地球規模での人為的な温室効果ガス排出への、森林減少による排出の役割を認知(acknowledge)し、 森林劣化もまた排出を導くものであり、かつ、森林減少による排出を削減する際には対処される必要があることを認知し、 途上国において森林減少を削減するための、並びに、森林炭素蓄積を保持及び保全するための、努力と行動が既に行われつつあることを認識(recognize)し、 森林減少及び森林劣化について、問題の複雑さ、異なる国情、及び多様な要因(drivers)を認識し、 条約の究極目標に達するための一助として、途上国における森林減少及び森林劣化による排出を削減するための更なる行動の潜在的な役割を認識し、 途上国における森林減少及び森林劣化による排出を削減するための更なる意味ある行動を取る緊急の必要性を断言(affirm)し、 途上国における森林減少及び森林劣化による排出の持続的な削減は、資源の安定的かつ予測できる利用可能性を要することに留意(note)し、 途上国における森林減少及び森林劣化による排出の削減は、副次的な便益(co-benefit)を増進できる(can)ことを、また、関連する国際条約及び協定の目標や目的(aims and objectives)を補完することがある(may)ことを認識し、 また、途上国における森林減少及び森林劣化による排出を削減するための行動が取られる際には、地域及び先住民共同体のニーズが対処される必要性を認識し、 1. 森林減少及び森林劣化による排出を削減するため自ら実施している進行中の努力を、締約国がさらに強化及び支持するよう要請し、 2. すべての締約国に対して、そうする立場にあるならば、能力強化を支持し、技術援助を提供し、技術移転、とりわけ、データ収集、森林減少及び森林劣化による排出推計、モニタリング並びに報告を改善するためのものを促進し、また、森林減少及び森林劣化による排出を推計及び削減するための途上国の組織的なニーズに対処するよう奨励し、 3. さらに、森林減少及び森林劣化による排出を削減し、延いては持続可能な森林経営により森林炭素蓄積を強化する視点から、締約国が、各国の国情に該当する森林減少の要因(drivers)に対処するための行動の範囲(range)を探求し、オプションを特定し、実証行動を含めた行動に着手することを奨励し、 4 将来の締約国会合決定を予断することなく、この決定の附属書に定められた指標的指針(indicative
guidance)を、実証行動に着手し、また、その範囲を評価するための補助器具として使用することを締約国に奨励し、 5. 締約国、特に条約の附属書IIに記載されている締約国に対し、上記パラグラフ1〜3に言及された行動に関する努力を支持するための資源を動員するよう要請し、 6. 条約の非附属書T締約国が「土地利用、土地利用変化及び林業に関する良好手法指針[1]」を適用するよう奨励されていることにも留意しつつ、森林減少による温室効果ガス排出報告のための基礎として、最新の報告ガイドライン[2]の利用を奨励し、 7. 科学技術補助機関会合(SBSTA)に対し、途上国における森林減少及び森林劣化による排出を削減することを目的とした様々な政策的アプローチ及びポジティブ・インセンティブに関する方法論的事項についてのプログラムを、関連する文書[3]に留意しつつ、引き受けて着手するよう求め、その作業には、次の事項を含め、 (a)
SBSTA28にて検討する集成文書に編纂されるよう、締約国に対し、2008年3月21日までに、未解決の方法論的事項、とりわけ、@森林被覆並びにそれに付随する炭素蓄積及び排出の変化の評価(assessments)、A持続可能な森林経営に起因する増分の変化、B参照排出レベルを含めた、森林減少による排出の削減の実証、C森林劣化による排出の削減の推計及び実証、C排出の移出を含めた、国全域及び国内地域の各アプローチの含蓄、D上記パラグラフ1、2、3及び5に関連する行動の有効性を評価するオプション、E行動を評価(evaluate)する基準、にどのように対処するかについての意見を提出するよう要請すること。 (b)
事務局に対し、補助的財源の利用可能性を条件として、上記パラグラフ7 (a)に特定された方法論的事項についてのワークショップをSBSTA29前に開催し、そのワークショップについて、SBSTA29での検討に供するために報告書を作成すること。 (c)
SBSTA29において、上記パラグラフ7 (b)に言及されたワークショップの成果を踏まえ、方法論的アプローチの開発を進めること。 8 SBSTAに対し、上記パラグラフ7 (a)〜(c)に言及された作業の成果について、可能な方法論的アプローチに関する何らの勧告を含めて、COP14に報告することを求め、 9. 該当する機関及び利害関係者に対し、途上国における森林減少及び森林劣化による排出削減に関する締約国会合の将来の何らの決定を予断することなく、上記パラグラフ1、2、3及び5に関連する努力を支持すること、及び、対応する情報を事務局に提供することによりSBSTAとこれら努力の成果を共有することを、要請し、 10 事務局に対し、補助的財源の利用可能性を条件として、締約国、該当する機関及び利害関係者から発出された情報を参照可能とするウェブ・サイトを開発することによって、上記パラグラフ3、5、7及び9に関連するすべての締約国、とりわけ途上国の行動を支援することを求め、 11. 途上国における森林減少及び森林劣化による排出の削減に関係する事項についての政策アプローチ及びポジティブ・インセンティブについての決定X[4]/CP.13に基づく更なる検討、並びに、途上国における保全、森林の持続的経営、及び森林炭素蓄積の強化の役割に、留意し、 12 さらに、途上国における森林減少及び森林劣化による排出の削減に関係する事項についての政策アプローチ及びポジティブ・インセンティブに対処する際には、上記パラグラフ3に記述された努力が考慮されるべきことに留意する。 附 属 書 指標的指針(Indicative guidance) 1.
実証行動は受入国の承認を得て着手されるべきであり、 2.
排出の削減または増加の推計は、結果に基づき、実証可能、透明、及び検証可能であるべきであり、その全期間において(over time)一貫して推計されるべきであり、 3.
決定のパラグラフ6において記述された方法論の使用は、排出の推計及びモニタリングの基礎として奨励され、 4.
国全域の実証行動による排出削減は、国全域の森林減少及び森林劣化からの排出に基づいて評価されるべきであり、 5.
国内地域の実証行動は、その実証のために用いられた境界の範囲内で評価されるべきであり、また、付随する排出の移出も評価されるべきであり、 6.
国情を考慮しつつ、実証行動の結果として得られる排出の削減及び増加は歴史的排出量に基づくべきであり、 7.
国内地域[5]アプローチが適用される場合には、国全域のアプローチ、参照レベル及び推計の開発における一段階を成すべきであり、 8.
実証行動は、とりわけUNFF(国連森林フォーラム)、UNCCD(国連砂漠化対処条約)及びCBD(生物多様性条約)の関連条項を念頭に置いた、持続可能な森林経営と整合しているべきであり、 9.
行動を実施して得られる経験は、ウェブ・プラットフォーム[6]を通じて報告され、また、参照可能とされるべきであり、 10.
実証行動の報告は、行動の説明及びそれらの有効性を含めるべきであり、その他の情報を含んでもよく、 11.
独立した専門家によるレビューが奨励される。 −−−−− [1] 決定13/CP.9。 [2] この決定の時点において、条約の非附属書T締約国からの国別報告ガイドラインの最新のものは、決定17/CP.8にある。 [3] FCCC/SBSTA/2006/10, FCCC/SBSTA/2007/3, FCCC/SBSTA/2007/MISC.2及びAdd.1, FCCC/SBSTA2007/MISC.14 及びAdd.1〜3並びにhttp://unfccc.int/methods_and_science/lulucf/items/3757.phpにある2006年8月30日から9月1日にイタリア国ローマにおいて開催された「森林減少による排出の削減に関するワークショップ」のために準備されたバック・グラウンド・ペーパー。 [4] 本決定案はCOP議題7の下で検討される。 [5] 国境の中において実施される行動。 [6] この決定のパラグラフ10に言及されているとおり事務局により開発される。 以上 本仮訳作成・掲載に当たり林野庁研究保全課の塚田さんに大変お世話になりました。記して謝意を表します。
kokusai2-21<fccccop13> |
■いいねボタン
|