木材の炭素蓄積を吸収源としてカウントする仕組み(2010/7/18)
地球温暖化防止に関する森林吸収源の議論の中に伐採木材製品に固定された炭素を含める議論が京都議定書の次の枠組み作りなどの中で進んでいます(小サイトコペンハーゲン会合の中の伐採木材製品についての合意など)が木材に固定された炭素量を吸収源の評価というというフローなのかでどう評価するためには工夫が必要です。
海外の排出量取引などの仕組みの中で、木材の炭素量を排出削減の中で評価する方法が既に取り入れられています。
世界でもっとも早く温室効果ガス取引を立ち上げたシカゴ気候取引所(CCX)のシカゴ気候取引所森林吸収源オフセットプロジェクトの例を紹介しましょう。
シカゴ気候取引所(CCX)は世界で最も早く北米では唯一の温室効果ガス(GHG)取引システムであり、世界中のオフセットプロジェクトを包括している。メンバーとなっている団体は、2010年までに2000年比で6%の排出削減を約束している。約束の達成手段として、CCX上で排出削減プロジェクト及び森林プロジェクト由来の排出権クレジットの売買が行われている。森林プロジェクトとしては、新規植林、再植林、持続的森林管理、そして長期保存木材製品(Long
Lived Wood Products: LLWP)が認められている。
LLWPは、認証を受けた持続可能な管理の行われている森林由来の伐採木材が対象となる。他プロジェクト由来のクレジットとの等価性を確保するため、100年後に利用されているあるいは埋立地に残っていると推定される固定量がクレジット量として計算される。また、クレジットの権利は、伐採木材を算出した森林の土地所有者であるという点も特徴的である。FSCあるいはPEFCの認証を受けた持続可能な管理が行われている森林が対象となる。計上に際しては、それら森林から搬出された木材あるいは一次製品の量を把握し、製品の種類と地域別に整備されているデフォルトの減衰率(下表)を用いて100年後に利用されているあるいは埋立地に残っている固定量を推定する。
表 CCXのLLWPの計算に用いられる100年後の固定量の割合
地域
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針葉樹丸太
製材用
|
針葉樹丸太
パルプ用
|
広葉樹丸太
製材用
|
広葉樹丸太
パルプ用
|
Northeast
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0.318
|
0.09
|
0.316
|
0.261
|
North Central
|
0.346
|
0.092
|
0.297
|
0.304
|
Pacific
Northwest (East)
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0.337
|
0.337
|
0.265
|
0.265
|
Pacific
Northwest (West)
|
0.409
|
0.076
|
0.207
|
0.207
|
Pacific
Southwest
|
0.355
|
0.355
|
0.265
|
0.265
|
Rocky
Mountain
|
0.367
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0.367
|
0.265
|
0.265
|
Southeast
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0.336
|
0.141
|
0.304
|
0.188
|
South Central
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0.334
|
0.162
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0.285
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0.176
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出典:CCX offset project protocol: Forestry Carbon Sequestration (2009)
原典は Technical Guidelines for Voluntary Reporting of Greenhouse Gas Program. Part I Appendix Forestry.Table 1.6 Average disposition patterns of carbon as fraction in roundwood by region and roundwood category. Pages36-48 March 2006
平成21年度みなとモデル炭素固定認証制度設計支援業務委託報告書を参考にした。
森林炭素固定プロジェクト手続規程(Chicago Climate Exchange Forestry Carbon Sequestration Project Protocol)参照
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ある森林から評価期間中に伐出される木材に応じて今後百年間に固定される量を推定し、その分は大気中に排出されない量として森林の吸収機能に付加をしておくという考えのようです。
地域によっては製材用の丸太とパルプ用の丸太の100年後の炭素固定量が同じ数字になっていたり少しおかしい所がありますが、とりあえず大胆に既存のペーパーから仮説を作成するというところでしょうか。
原典となるエネルギー庁の温室効果ガス報告技術ガイドライン Technical Guidelines for Voluntary Reporting of Greenhouse Gas Programでは、地域ごと丸太の種類ごとに、利用されるもの、廃棄されて埋められるもの(この数量が大きい)、エネルギーになるもの、エネルギーとならずに焼却・腐植するものなどの量が1年目から100年目まで掲載されています(36頁から48頁
table1-6)。
さらにその原典は米国のフォレストサービスあたりのようです。それにははたどり着けませんでしたが、製材や合板、紙などの製品ごとに100年間にわたる生存割合などの調査が行われているようです。
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