温暖化対策の中で森林の置かれた状態(2008/3/16)
植林プロジェクトはCDMプロジェクト
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最近気候変動枠組み条約のCOP13の報告会(JIFPRO主催COP13等報告会)に出席する機会があり、この条約の執行にかかるデータを見ていて、最近益々大きな関心が持たれている地球温暖化対策の中で、森林吸収源の位置づけにはシビアな面があることを再認識させられました。

そのデータとは、この条約の柔軟性の目玉となっているCDM(先進国と途上国が共同で事業を実施し、その削減分を投資国(先進国)が自国の目標達成に利用できる制度)で、現時点で世界中で登録されているプロジェクトが953ある中で、植林のプロジェクトはただ一つしかないということです。(3月15日条約事務局関連ページ

最も多いのはエネルギー産業の655、次は廃棄物処理の257です。

CDMプロジェクトは以下の基準で専門の機関で厳正に審査されることになっています。

(a) 各関係締約国によって承認された自主的な参加
(b) 気候変動の緩和に関連する実質的で、測定可能な長期的利益
(c) 認証された事業活動がない場合に生じる排出削減に対する追加的な排出削減
(京都議定書第12条5項)

温暖化防止条約の主旨として当然な、このような一般的な基準を当てはめた場合、例えば、「既存の火力発電所に変えて水力発電所をつくる」といったエネルギー産業部門のプロジェクトに比べ、植林計画は、@吸収量の具体的な計測が難しい(測定可能性)、A山火事や自然災害のリスクを排除して長期的な利益を見通すことが難しい(永続性)、B植林した土地が植林しない場合にどのようになるかの推定が難しい(追加性)、というそれぞれの技術的ハードルが結構大きいということだと思います。

条約事務局でも小規模植林の場合の簡易な手続きなどを設定して、この辺のギャップを埋めていく作業をしているようです。

炭素吸収量の推定方法などの蓄積が必要なかもしれません。

ただし、さらにいえば、地球規模の持続可能な森林への投資を、地球温暖化対策という他人の土俵で実現することの問題点が現れているといえます。

持続可能な森林管理に関する国際コンセンサスを森林条約という形で実現することの重要性を認識する必要があります。

参考資料

京都メカニズム情報プラットフォーム
林野庁CDM植林ヘルプデスク

条約事務局CDMトップページ


kokusai2-22<ARCDM>

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